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第九話 また会える|10年越しの答え合わせ

第二章 ナオ君編
第九話 「また会える」

携帯を開く回数が、

前よりずっと増えた。

着信音が鳴るたびに、

「リオかな。」

そう思ってしまう自分がいた。

実際、

その期待は何度も当たった。


映画へ行ってから、

リオのことを考えない日はなかった。

あの頃の俺たちは、

恋人みたいな時間を、

当たり前のように過ごしていた。

毎日のメール。

二回のデート。

ただ一つ、

「付き合おう。」

その一言だけがなかった。


高校三年の秋。

教室の景色が、

少しずつ変わっていった。

大学受験に向けて勉強する人。

就職の準備を始める人。

専門学校への進学を決める人。

みんなが、それぞれの未来へ歩き始めていた。


リオも例外じゃなかった。

受験が近づくにつれて、

リオとのメールは、

少しずつ減っていった。

二日に一回、

三日に一回。

気づけば、

着信音が鳴る回数は、

前より少なくなっていた。


そんな中、

自分の進路はというと、

ファッション関係の仕事に

就きたいと思っていた。

服を見ている時間は、

不思議と飽きなかった。

誰かを笑顔にできたり、

自信を持ってもらえたりする。

そんな仕事に就くのが夢だった。

高校から推薦をもらい、

ファッション専門学校の推薦入試を

受けることになった。


面接の日。

待合室で順番を待ちながらも、

頭に浮かぶのは、

なぜかリオだった。

受かったら、

一番に伝えよう。

それだけは、

面接が始まる前から決めていた。


数日後。

合格通知を受け取った。

家へ帰るより先に、

鞄から携帯を取り出した。

『推薦決まったよー!』

送信して、携帯を閉じる。


数分後。

着信音が鳴った。

『おめでとう‼️😊』

その一文を見た瞬間、

自然と頬がゆるんだ。

自分のことのように、

喜んでくれるリオ。

それだけで、

十分嬉しかった。


しばらく画面を眺めて、

もう一通メールを打つ。

『この前の映画、

ちょっと微妙だったじゃん』

送信すると、

すぐに返事が返ってきた。

『そう?私は楽しかったけどな😊』

『今度は違うやつ観に行こうよ』

送信ボタンを押したあと、

少しだけ緊張した。


返事を待つ時間は、

何度経験しても慣れなかった。


少しして携帯が震えた。

『行きたい😊』

思わず笑みがこぼれる。

でも、

続けて届いた一文を見て、

「そうだよな。」

と小さくつぶやいた。

『ごめん、受験が終わったら行こう😢』

リオにとって、

今は一番大切な時期だ。

俺はすぐに返信を打った。

『了解😊』


春になれば、

また会える。

受験が終わったら、

また映画へ行こう。


あの頃の俺は、

それが当たり前に叶う未来だと、

信じていた。

春は、もうすぐそこまで来ていた。

だけど、

約束は、

少しずつ遠ざかっていった。


第十話へ続く


リオ編も読んで、
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