第五話 久しぶり|10年越しの答え合わせ
第二章 ナオ君編
第五話 「久しぶり」
『またリオとメールしたいって、本当?』
画面を見つめたまま、
しばらく動けなかった。
クラスメイトに
何気なく口にしたあの一言。
まさか、
こんな形で返ってくるなんて思ってもいなかった。
返信画面を開く。
「違う。」
そう返せば、全部終わる。
……でも。
その一文字が打てなかった。
違わない。
またメールがしたい。
その気持ちは、本当だった。
だからといって、
「うん。」
その二文字を送る勇気もなかった。
終わらせたのは俺だ。
それなのに今さら、
「またメールしたい」なんて。
そんな都合のいい男にはなりたくなかった。
画面を閉じようとした、その時だった。
もう一通届く。
『正直に教えて😊』
思わず笑ってしまう。
マユらしい。
全て見透かされていた。
小さく息を吐いて、
短く返す。
『うん。』
送信。
すぐに返事が届く。
『やっぱり☺️』
その四文字を見ただけで、
少しだけ肩の力が抜けた。
続けてもう一通。
『だったら、自分から送ってあげて☺️』
その画面を、
しばらく見つめていた。
……それができたら、
こんなに悩んでいない。

送る。
送らない。
その答えだけは、
何日考えても変わらなかった。
アドレス帳を開く。
リオ。
その名前は、
あの日のまま残っていた。
消していなかったんじゃない。
消せなかった。
名前を押せば、
新しいメール画面が開く。
白い画面。
点滅するカーソル。
指だけが動かない。
「久しぶり。」
違う気がした。
謝るべきか。
理由を書くべきか。
何を書けば、
あの日のことをなかったことにできるんだろう。
そんな言葉、
あるはずなかった。
書いては消す。
また書いては消す。
時間だけが過ぎていく。
気づけば、
部屋は夕方になっていた。
最後に残ったのは、
たった四文字。
『久しぶり』
送信。
画面から指を離した瞬間、
胸が大きく鳴った。
これでよかったのか。
そんなことは分からない。
でも、
もう後戻りはできなかった。
あとは、
返事を待つしかなかった。
その数時間後、
一通のメールが届く。
第六話へ続く
リオ編も読んで、
答え合わせしませんか?
