第三話 ユウ|新しい春
第三章 ユウ先輩編
第三話 「ユウ」
サークルに入ることを決めた私たちは、
数日後、入部説明会へ向かった。
教室へ入ると、
前の方にハヤト先輩が座っていた。
「おっ!」
私たちに気づくと、大きく手を振る。
「来た来た!」
「ちゃんと入ってくれたんだな。」
「よろしくお願いします!」
合宿のときと変わらない笑顔に、
少しだけ緊張がほぐれた。
教室には、
同じように入部を決めた一年生が
少しずつ集まっていた。
私たちも前の方の空いている席に座り、
説明会が始まるのを待った。
「文化祭は交代で店番して…」
「夏には合宿もあるから。」
部長がサークルの活動内容を説明を始めた。
隣ではユリがメモを取っている。
そのときだった。
教室の後ろのドアが静かに開いた。
「すみません。遅れました。」
一人の先輩が入ってくる。
私は何気なく顔を見た。
……誰だろう。
そのままハヤト先輩の近くの席へ座る。
「やっと来たか。」
ハヤト先輩が笑う。
「悪い。」
短くそう言って、その先輩は隣に腰を下ろした。
ふと、その人の手が目に入った。
白いシャツを腕まくりした腕。
机の上に置かれた、
すらっと長い指。
――あ。
あの手だ。
新歓の日。
私の左手のすぐ近くに、
何気なく置かれていた手。
あのときと同じだった。
「ユウ、これ資料な。」
「ありがと。」

――ユウ。
その日、
私は初めて、その人の名前を知った。
第四話へ続く
