第四話 もう一度届いたメール|10年越しの答え合わせ
ナオ君とのメールが終わってから、
半年が過ぎていた。
季節も変わった。
高校三年生になった。
私は元通りの高校生活を送っていた。
最初の頃は、
携帯が鳴るたび期待していた。
もしかしたら…..。
そんなことを思ってしまう自分がいた。
でもメールは来なかった。
だから私は少しずつ、
ナオ君とのことを心の奥にしまい込んだ。
終わったんだ。
そう思うことにした。

そんなある日だった。
「リオ?久しぶり!」
駅で友達に呼び止められた。
ナオ君と同じ高校に通っている、
中学校の同級生だった。
「ナオキがまたリオと
メールしたがってるみたいだよ」
一瞬、何を言われたのか分からなかった。
「え?」
聞き返してしまう。
「だから、ナオキ。知ってるでしょ?」
友達は当たり前みたいに言った。
「今一緒のクラスなんだけどさ。
リオ知ってる?って聞かれて。
メール辞めたことを後悔してるって言ってた。」
胸が大きく跳ねた。
なんで?
それが最初に浮かんだ言葉だった。
だって終わったはずだった。
「前に好きだった子が忘れられない」
そう言ったのはナオ君だった。
私は振られた側だった。
なのに。
どうして今さら?
正直、嬉しかった。
でも同時に、
信じられなかった。
その話を聞いた日の帰り道、
私はずっとそのことを考えていた。
あの子とはうまくいかなかったのかな。
付き合えなかったのかな。
それとも付き合ったけど別れたのかな。
分からない。
でも。
もし本当なら、
少しだけ嬉しい。
そんな自分がいた。
数日後。
私はマユと遊んでいた。
話の流れで、その噂のことを打ち明けた。
「この前友達に会ったんだけど」
私は何気ないふりをして言う。
「ナオ君がまたメールしたいって言ってるらしい。」
マユは驚いた顔をした。
「え?」
その反応で分かった。
どうやらマユも知らなかったらしい。
私は少し恥ずかしくなった。
やっぱりただの噂だったのかな…。
そう思っていた。
でも、マユに話したのは、
何かを期待していたからなのかもしれない。
それから数日後だった。
帰る準備をしていると、
誰かがバタバタと音を立てて走ってきた。
「リオ!」
マユだった。
息を切らしながら、
「やっぱりホントだった!」
私はぽかんとする。
「え?」
「ナオキ!」
マユがニヤリとする。
「またメールしたいんだって!」
世界が少しだけ明るくなった気がした。
終わったと思っていた。
もう二度と来ないと思っていた。
なのに。
また始まる。
そんな予感がした。

その日の夜。
久しぶりに
”あのメロディー”
が流れた。
画面には、見慣れた名前が表示されていた。
ナオ君ーーー。
半年ぶりなのに、
心臓はあの頃と同じように速くなる。
「久しぶり」
たったそれだけのメールだった。
でも。
その一言だけで十分だった。
終わったと思っていた恋が、
もう一度動き始めた気がした。
そして私たちは、
前より少しだけ近い距離でメールをするようになった。
気づけば、
また寝る前までやり取りをする日々が戻っていた。
そんなある日。
ナオ君からメールが届く。
『今度会わない?』
私は画面を見つめたまま固まった。
会う。
つまり。
二人きりで…。
私は急に緊張してきた。
だって。
写メでしか知らなかった人に、
本当に会う日が来るなんて思っていなかったから。
【第五話へ続く】
「はじめてのデート」
