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第三話 ごめん|10年越しの答え合わせ

第二章 ナオ君編
第三話「ごめん」

一年生の頃、隣の席になった。

消しゴムを忘れた俺に、

「はい。」

そう言って、笑いながら貸してくれた。

たったそれだけのことだった。


でも、それから気づけば、

授業中も、休み時間も、

いつも目で追うようになっていた。

結局、何も伝えられないまま一年が終わった。

少し話せるようになっただけ。

それでも、あの頃の俺には十分だった。


二年生になって、クラスが離れてしまった。

時間が経てば忘れられる。

そう思っていた。

だからリオとメールを始めた。

少なくとも、自分ではそう思い込んでいた。


ある日の放課後。

校庭で友達と笑っている姿が見えた。

特別なことは何もない。

いつも通り笑っていただけだった。

それなのに、

俺の視線は離れなかった。

見えなくなるまで、

ただ目で追っていた。


……終わってなんか、いなかった。

胸の奥にしまったはずの気持ちは、

ずっとそこに残っていた。


そのとき、ポケットの中で携帯が震える。

取り出すと、

画面にはリオの名前が表示されていた。

『今日めっちゃ眠い😑半目』

思わず笑う。

『また夜更かしした?笑』

『してないし😂』

いつも通りのやり取りだった。


数分前まで、

別の子を目で追っていたことなんて、

リオは何も知らない。


そのまま何事もなかったように返事を打つ。

そんな自分が、

どうしても好きになれなかった。


リオは何も悪くない。

メールをしようと言ったのも俺。

毎日送るようになったのも俺。

それなのに俺は、

別の子への気持ちを抱えたまま、

リオと笑っていた。


もし立場が逆だったら。

好きな人を忘れられないまま、

誰かとメールを続けている相手を、

俺は信じられるだろうか。


答えはすぐに出た。

無理だった。


メールはそのあとも続いた。

「おはよう。」

「おつかれ。」

何気ないやり取りを交わすたび、

胸のどこかがチクリと痛んだ。


携帯を閉じるたびに思う。

このままでいいわけがない。

何日も悩んだ。

メールを書いては消し、

また書いては閉じる。

どれだけ考えても、

最後にたどり着く答えは一つだった。

傷つくとしたら、

原因は全部俺だ。

だから終わらせようと思った。


好きな人がいること。

その子をまだ忘れられないこと。

こんな気持ちのまま、

リオとメールを続けることはできないこと。

全部書いた。

送信ボタンを押す。


これで終わる。

そう思った。

……なのに、

苦しさは何ひとつ減らなかった。


しばらくして、

携帯が震える。

リオだった。

『短い間だったけどありがとう。

その子とうまくいくといいね。』

何度も読み返した。

責める言葉は、一つもなかった。

だから余計につらかった。


俺は最後に、

『こちらこそありがとう』

と返した。


それで、

リオとのメールは終わった。

終わらせたのは俺だった。

あのときは、

それが一番正しいと思っていた。


でも――

その選択が正しかったのかどうかは、

この時の俺にはまだ分からなかった。


第四話へ続く


リオ編も読んで、
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