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【3つのお題に空想のひらめきを第44回】星くずが降る駅のホーム.夜を集める古いポスト.もう一度だけ会えるなら|ショートショート


タイトル:暁に届くポートレート

星くずが降る駅のホームに、
その列車はやってくる。

時刻表には載っていない。
でも、夜を集める古いポストに手紙を入れた人だけが、
その存在を知っている。

――もう一度だけ会えるなら

そう書いて、投函する。

しばらくして届いたのは、
切符ではなく、一枚のポートレートだった。

古びた紙に映っていたのは、
眼鏡をかけた、見覚えのある横顔。

少しだけ笑っている。

胸が、静かに揺れる。

夜のホームに立つと、
星くずがやさしく降っていた。

列車が滑り込む。

扉が開く。

中に入ると、
時間の流れが少しだけ遅くなる。

座席の向こうに、
その人がいた。

ポートレートと同じ顔。
でも、少しだけ違う。

「……久しぶり」

声は、ちゃんと温度を持っていた。

言いたいことはたくさんあったのに、
言葉は不思議と少なくていい気がした。

ただ、同じ時間にいることが、
それだけで満たされる。

やがて、窓の外が淡くなる。

暁が近い。

「そろそろだね」

その言葉に、うなずく。

別れは、思っていたより静かだった。

もう一度だけ会えたことが、
ちゃんと形になって残るから。

ホームに戻ると、
ポートレートは少しだけ色を変えていた。

新しい光が、そこに混ざっている。

夜は終わる。

でも、集めたものは、
消えないまま残っていく。

眼鏡の奥のやさしい目を思い出しながら、
私はゆっくりと歩き出した。


おしまい


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