Photo by
nanadays
【毎週ショートショートnote】勘当ガイドブック|ショートショート
タイトル:勘当専門ガイドブックの期末試験
その学校には、少し変わった“専門”がある。
――勘当専門。
家から縁を切られた人たちが、
どうやって生きていくかを学ぶ場所。
最初に配られるのは、
分厚い一冊の本。
勘当ガイドブック。
「これ、ほんとに使うの?」
思わず聞くと、
先生は静かにうなずいた。
「使わないで済むなら、それが一番いい」
教室は、どこか静かだった。
誰も軽くは笑わない。
それでも、
誰かのノートをのぞき込んだり、
小さく声をかけ合ったり、
そんなやりとりはちゃんとある。
普通の学校と、変わらないところもある。
期末テストの日。
問題用紙には、こう書かれていた。
――あなたが“ひとりになる”とき、
何を持っていきますか。
ペンを持つ手が、少し止まる。
答えは、ひとつじゃない。
正解も、不正解もない。
ただ、自分が選ぶだけ。
ガイドブックを開く。
そこには、いろんな人の選択が載っている。
必要なもの。
いらなかったもの。
あとから気づいたこと。
どれも、少しずつ違う。
私は、ゆっくりと書き始める。
物じゃなくてもいい気がした。
残しておきたいものは、
もっと別のところにある。
テストが終わる。
誰も答え合わせはしない。
それでも、
それぞれの中に、何かが残っている。
帰り道、ガイドブックを閉じる。
重たいはずなのに、
少しだけ軽く感じた。
この本は、
誰かと縁を切るためのものじゃない。
たぶん、
自分とつながり直すためのものなんだと思う。
了

*下記企画に参加させて頂きました*
☆次の作品はこちらです↓↓↓
前回の作品はこちらです↓↓↓
最後までお読みくださり、ありがとうございます😊すず
いいなと思ったら応援しよう!
読んで下さりありがとうございます!励みになります!