Photo by
notebook23
【3つのお題に空想のひらめきを第36回】星を釣る漁師.風に名前をつける少女 .眠れない龍のための子守唄|ショートショート
タイトル:星屑のトリアージ
海は空よりも深く、空は海よりも重かった。
星を釣る漁師は、今夜も沖へ出る。
網ではない。彼が投げるのは、祈りだ。
眠れない龍の背に刺さった流星を、一本ずつ外すための。
龍は雲の上で身をよじる。
鱗が擦れ、夜が軋む。
そのたびに地上では悪魔が湧いた。
龍の悪夢が形を持つのだ。
悪魔狩りたちは地上戦を続ける。
血と煤の匂いの中で、彼らは選ぶ。
救う命と、見捨てる命。
それは戦場のトリアージ。
その町に、風に名前をつける少女がいる。
彼女は言う。
「これは“ほどける風”。こっちは“帰りたい風”」
名を与えられた風は、進路を変える。
暴れていた炎が一瞬だけ静まる。
漁師が星を釣り上げる。
光るそれは、龍のまぶたに落ちた棘だった。
少女は子守唄を口ずさむ。
それは眠れない龍のための子守歌。
だが本当は、悪魔狩りたちのための歌でもある。
選び続けた者の心が、壊れないように。
龍はようやく目を閉じる。
悪魔は砂のように崩れ、夜は軽くなる。
漁師は最後の星を見送る。
少女は最後の風に名をつける。
それはこう呼ばれた。
「赦し」。
夜明けは、静かに始まった。
おしまい

*下記企画に参加させて頂きました*
☆次の作品はこちらです↓↓↓
過去の作品はこちらです↓↓↓
最後までお読みくださり、ありがとうございます😊すず
いいなと思ったら応援しよう!
読んで下さりありがとうございます!励みになります!