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【風まかせ文芸部】珈琲|エッセイ


朝いちばんに淹れる珈琲は、
まだ眠る世界をそっと起こすみたいに、静かに湯気を立てる。

カップを持つ手の温度で、
今日という日の輪郭が少しずつ見えてくる。

昨日の疲れも、考えすぎた夜も、
珈琲の苦みと一緒に喉の奥へ沈んでいく。

誰かと飲む珈琲もいいけれど、
ひとりで飲むときの味は、少しだけ特別だ。
それは孤独じゃなく、調律みたいな時間。

心の糸が少しゆるんで、
「大丈夫、今日もなんとかなるよ」って、
誰に言われなくても思える。

砂糖を入れる日もあれば、ブラックのまま飲む日もある。
どっちでもいい。
そのときの気分で決めればいい。

生き方も、たぶん同じ。
正しさよりも、自分の“ちょうどいい”がいちばん大事。

そんなことを考えながら、
カップの底に残った小さな泡を見つめる朝。
それが、私の日常の始まり。



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