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【3つのお題に空想のひらめきを第26回】星屑のティアラ.紅の羽を持つ時鳥.こぼれ月の魔法瓶|ショートショート

タイトル:星屑のティアラと後悔の契約


星屑のティアラをかぶった少女・ミレアは、塔の最上階で 紅の羽を持つ時鳥 を待っていた。
こぼれ月の魔法瓶を胸に抱え、
決めたはずの願いを、何度も心の中で反芻しながら。

そこへ——
黒い霧が床の隙間からしゅるりと立ち上がった。

「どうも、ご機嫌よう」
赤い瞳と笑みを先に浮かべた男が現れる。
名前は メフィストフェレス。
契約と代償を司る悪魔。

「時鳥を待つなんて、純粋だねえ君は。
 ほら、僕ならもっと早く、もっと確実な未来をあげられるよ。
 月の雫なんかより、ずっと強い力で」

ミレアは魔法瓶をぎゅっと抱きしめる。
「……代わりに、何を奪うつもりなの?」

メフィストフェレスは肩をすくめ、
まるで「天使の悪戯」を語るように優しい声で答えた。

「うーん……“後悔”かな。
 君の胸の奥でまだ燻ってる、あの重たいやつ。
 全部、僕が食べてあげるよ。
 悲しみも迷いも、きれいに消してあげる。
 どうだい?」

ミレアの目が揺れる。
それは、求めていた誘惑そのものだったから。

——その時。

紅の光が割って入るように差し込み、
時鳥 が羽をひらりと広げて降り立った。

「悪魔と契約するほど君は弱くないよ、ミレア」
時鳥は鋭く鳴きながらメフィストをにらんだ。

「代償に後悔を差し出したら、
 “学んだこと”まで奪われてしまう。
 それは未来を歩く力ごと、消えるってことだ」

メフィストフェレスは微笑んだまま、
細い指で空中にサインのような軌跡を描く。

「やれやれ、時鳥はいつも真面目だ。
 でもね、未来は甘くない。
 君の願い、叶えたいなら……
 月の雫じゃ足りないよ?」

ミレアは息をのみ、ティアラを外した。
そして、こぼれ月の魔法瓶の蓋をゆっくり開けた。

青白い光があふれ、
揺れながら膨らみ、ミレアの周りに漂う。

彼女は震えながら言った。
「……強い力はいらない。
 私、自分で進んだ道を覚えていたいの。
 後悔して、泣いて、また立ち上がる道を」

時鳥が微笑む。
メフィストフェレスは一瞬だけ、興味深そうに目を細めた。

「ふぅん……いいね。
 そういう子は、後の人生で必ず面白いことをやらかす。
 僕はそういうの、嫌いじゃないよ」

霧のように消えながら、彼は囁いた。

「じゃあまた。君が本当に迷った時に、呼びなよ——
 その星屑のティアラが、僕に道を示してくれるから」

静寂だけが残り、
時鳥はそっとミレアの肩に乗った。

「行こう。魔法瓶の残り火が消えないうちに。
 君の未来は、君が選んだ想いで光る」

ミレアはティアラを再び頭にのせ、
一歩を踏み出した。

その足元に、星屑がぽつり、ぽつりと咲いていく。


おしまい


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