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wakanomanimani
【3つのお題に空想のひらめきを第27回】時間がほどける朝.誰も呼ばなかった名前.帰らない光|ショートショート
タイトル:呼ばれなかった名前の朝
時間がほどける朝、森は音を失っていた。
時計は進んでいるはずなのに、影だけが立ち止まっている。
私はその森で、誰も呼ばなかった名前を胸にしまって歩いた。
呼ばれなかったからこそ、消えずに残った名前。
それは祈りにも似て、呪文にも似ていた。
空の奥に、帰らない光がある。
追いかければ追いかけるほど遠ざかり、
振り返れば、もう戻れない場所を照らしている。
私は知っている。
この世界で生き延びるために、
人はときどき姿を偽ることを。
花に似た毒、
無害に見える刃。
それはベイツ型擬態――
弱さが選んだ、賢い生き方。
朝は完全には始まらなかった。
でも、ほどけた時間の隙間で、
私はちゃんと息をしていた。
呼ばれなくても、帰れなくても、
それでも光のそばに立っている自分を、
少しだけ誇らしく思った。
おしまい

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