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【シロクマ文芸部】白い息|エッセイ


子供の頃、冬になると白い息が楽しかった。
息を吐くだけで、そこに自分が「生きている」形が現れるのが不思議で、何度も何度も、わざと寒い空気を吸い込んだ。

雪の日は特別だった。
足音が消えて、世界が少しだけ優しくなる。

母が編んでくれた毛糸の手袋は、とても綺麗だった。
目がそろっていて、色も柔らかくて、まるでお店に並んでいるみたいだった。
セーターも、帽子も、マフラーも全部手編み。
母の手は魔法みたいだと、本気で思っていた。

友達に「いいなあ」「売り物みたい」と言われるたび、少し誇らしかった。
でもそれ以上に、私はそれが好きだった。
可愛くて、あたたかくて、なにより守られている感じがしたから。

白い息を吐きながら、手袋の中で指を動かす。
毛糸のぬくもりは、今でも記憶の中で生きている。

あの頃の冬は寒かったけれど、心はいつもあたたかかった。
白い息の向こうに、母の背中が今も見える気がする。


*下記企画に参加させて頂きました*


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