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【3つのお題に空想のひらめきを第52回】地下に眠る太陽.歌う湖.銀色の橋|ショートショート


タイトル:地下に眠る太陽のナビゲーター

昔々、世界には二つの太陽があった。

ひとつは空を巡る太陽。

もうひとつは地下に眠る太陽

地下の太陽は光を失い、深い眠りについたと言われている。

だから夜が生まれた。

だから人々は星を見るようになった。

私はナビゲーターだった。

失われた道を探し、

忘れられた場所へ旅人を導く仕事だ。

ある日、一通の依頼が届く。

「地下に眠る太陽を見つけてほしい」

依頼主は白髪の少女だった。

私は地図を広げる。

だが目的地はどこにも記されていない。

代わりに一行だけ書かれていた。

歌う湖を探せ』

旅は七日続いた。

森を越え、

山を越え、

霧の谷を越える。

そして八日目の朝。

私たちは歌う湖へ辿り着いた。

湖面には波がない。

風もない。

それなのに歌声だけが響いている。

まるで湖そのものが歌っているようだった。

少女は目を閉じる。

すると湖の中央が光り始めた。

ゆっくりと現れたのは一本の橋。

銀色の橋だった。

月明かりを集めて編んだような美しい橋。

橋は湖の向こうではなく、

湖の下へ続いていた。

私たちは歩き出す。

一歩。

また一歩。

銀色の橋は地下深くへ伸びている。

やがて巨大な空洞へ辿り着いた。

そこには太陽があった。

金色ではない。

優しい琥珀色の光を放つ、小さな太陽。

まるで眠る子どものようだった。

少女は静かに近づく。

そして囁く。

「お迎えに来たよ」

その瞬間。

太陽が目を開いた。

光が溢れる。

世界中の夜空へ、

新しい星々が生まれていく。

私は驚いて少女を見る。

彼女は微笑んだ。

「私は星のナビゲーターなの」

その姿は少しずつ光へ変わっていく。

少女は最後に空を見上げた。

「夜があるのは寂しいからじゃない」

「迷った誰かが星を見つけられるようにだよ」

そう言い残し、

彼女は無数の星となって夜空へ散った。

今でも歌う湖のほとりに立つと、

銀色の橋が見えることがある。

迷った旅人だけに。

そして橋の先では、

地下に眠っていた太陽が静かに微笑んでいるという。


おしまい


*下記企画に参加させて頂きました*


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