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【3つのお題に空想のひらめきを第47回】空に落ちた国.世界のはじまりの音.泣き虫な太陽|ショートショート


タイトル:空に落ちた国の誕生日

その国は、空に落ちてきた。

誰も見ていない夜のあいだに、
ひとつの世界が、そっと浮かんだまま現れた。

重力に逆らうように、
空に“落ちて”きた国。

そこでは、すべてのはじまりに音がある。

風が吹くとき、
花がひらくとき、
誰かが生まれるとき。

どれも、小さな音を持っている。

それを「世界のはじまりの音」と呼んでいた。

ある日、その国の太陽が泣いた。

理由は、誰にも分からない。

ただ、光が少しだけにじんで、
空に淡いしずくが浮かんだ。

「またか」

人々は困ったように空を見上げる。

泣き虫な太陽は、ときどきこうして涙をこぼす。

そのたびに、空の色が少し変わる。

やわらかく、にじんで、
どこかやさしい色になる。

その日、ひとりの子どもが生まれた。

誕生日。

小さな声が、
空に溶ける。

その瞬間、
ひとつの音が鳴った。

聞いたことのない、
でもどこか懐かしい響き。

世界がはじまったときのような、
静かな震え。

太陽は、少しだけ泣きやんだ。

光が、ゆっくりと整っていく。

「きれい」

誰かがつぶやく。

空に落ちた国は、
今日も少しずつ続いていく。

何かが終わるたびに、
何かがはじまる音を響かせながら。

誕生日は、
ただ生まれる日じゃない。

世界が、もう一度はじまる日なのかもしれない。

泣き虫な太陽は、
それを知っているみたいに、
やさしく光っていた。


おしまい


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