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【風まかせ文芸部】みかん|エッセイ
タイトル: 魔法瓶のとなりの栄養補給
私は冬になると、みかんをもらう。
自分で買うことはあまりないのに、なぜか毎年、誰かがくれる。
段ボールいっぱいだったり、紙袋にごろごろ入っていたり。
「食べきれるかな」と言いながら、私はちゃんと食べきる。
こたつはないけれど、
テーブルの上にみかんがあるだけで、部屋が少し丸くなる。
私はりんごをネットで箱買いする。
それはもう、計画的に。
しゃきっとした音が好きだから、少し硬めを選ぶ。
レビューを読みながら、「今回は当たりでありますように」と小さく祈る。
みかんは、もらうもの。
りんごは、自分で選ぶもの。
なんとなく、それが今の私に似ている。
私は最近、魔法瓶を持ち歩いている。
中身は白湯だったり、ルイボスティーだったり。
ふたを開けると、湯気が立ちのぼる。
それを見ると、「ああ、生きてるな」と思う。
派手なことは何もないけれど、
私はちゃんと栄養補給をしている。
甘さでほっとしたり、
しゃきっと目を覚ましたり、
あたたかさで内側をゆるめたり。
それは誰かに褒められるようなことじゃないけれど、
私は知っている。
こういう積み重ねが、
私を私にしている。
今日も私は、
もらったみかんを一つむき、
箱買いしたりんごを一つ切り、
魔法瓶のふたをそっと開ける。
静かな栄養
それで、だいたい大丈夫だと思っている。
了

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