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air_mezzanine
【毎週ショートショートnote】下僕並べ|ショートショート
タイトル:マカロン城のパーティータイム
空に浮かぶマカロン城では、
毎晩パーティーが開かれる。
招待客は、王様ひとり。
あとは全員、下僕。
そういう決まりだった。
下僕たちは朝から忙しい。
椅子を並べる。
紅茶を淹れる。
花を飾る。
そして最後に、
一列に整列する。
これを“下僕並べ”という。
王様は高い椅子に座って、
満足そうにうなずく。
「うむ。本日のパーティータイムを始めよう」
拍手。
拍手。
拍手。
でも、ある日。
新人の下僕が小さく手を挙げた。
「質問です」
空気が止まる。
王様が眉を上げる。
「なんだ」
新人は首をかしげた。
「王様、楽しいですか?」
静かになる。
王様は答えない。
新人は続ける。
「みんな並んでるだけですよ?」
下僕たちはざわついた。
そんなこと、考えたこともなかった。
王様はしばらく黙って、
窓の外を見た。
雲。
夕焼け。
空。
それから、小さく言った。
「……そうかもしれん」
翌日。
マカロン城は少し変わった。
下僕並べは廃止。
代わりに、席が丸く置かれた。
王様も下僕も関係なく座る。
マカロンを食べる。
紅茶を飲む。
話す。
笑う。
誰かが歌う。
王様は驚いた。
昨日までより、ずっと賑やかだった。
パーティーの終わり。
王様はマカロンを頬張りながら言った。
「なるほど」
下僕たちを見る。
みんな笑っている。
「パーティーって、並ぶものじゃなくて混ざるものだったのか」
その日から、
マカロン城の招待状にはこう書かれるようになった。
――身分不要。笑顔のみ持参。
空の上では、
今日も甘いパーティータイムが続いている。
了

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