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【風まかせ文芸部】真夜中の扇風機|エッセイ


タイトル:眠れない夜の相棒

真夜中の扇風機。

「ブーン」と一定の音を立てながら、静かに風を送り続けてくれる。

昼間はあまり気にならない存在なのに、夜になると不思議と頼もしく感じる。

眠れない夜は、時計の針の音や冷蔵庫の作動音まで気になってしまう。

そんな静けさの中で、扇風機だけは「ここにいるよ」とでも言うように、変わらないリズムを刻んでいる。

風は強すぎず、弱すぎず。

顔をなでるたび、張りつめていた気持ちが少しだけほどけていく。

子どもの頃は、その風に向かって「あー」と声を出して遊んでいた。

大人になってからは、そんなこともしなくなった。

けれど、真夜中になると、あの頃と同じ音を聞いていることに気づく。

時代が変わっても、部屋が変わっても、扇風機の音はどこか懐かしい。

眠れない夜を無理に終わらせようとしなくてもいい。

眠りは、追いかけるほど逃げていくものだから。

そんな夜は、扇風機の風に身を任せてみる。

焦らなくても、朝はちゃんとやってくる。

真夜中の扇風機は、今日も何も語らず、静かな風だけで「大丈夫」と伝えてくれている気がする。



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