見出し画像

【青ブラ文学部】私の読書法|エッセイ


タイトル:月暈の下で、私はページをめくる

私の読書法は、少し偏っている。

同じ作家の作品を続けて読む。
まるで、その人の呼吸に合わせて歩くみたいに。
文体のリズム、言葉の温度、間の取り方。
一冊目でノックして、二冊目で居間に通され、三冊目で台所の匂いまで知る。そんな感じだ。

気に入ると、一気に読む。
ページは階段じゃない。滑り台だ。
するすると、気づけば夜。
続きが気になり眠れなくなる。
「あと一章だけ」が、砂糖みたいに溶けて消える。

集中力は、そのときだけ異様に鋭い。
通知も、時計の針も、世界の雑音も遠くなる。
物語だけが、くっきりと浮かび上がる。

ふと顔を上げたとき、窓の外に月暈が出ていたことがある。
月のまわりに、やわらかな輪。
ああ、今の私はあの中にいるな、と思った。
物語の光の輪の内側で、守られているみたいに。

読書は、誰かになることじゃない。
誰かの世界を通って、ありのままの自分に戻ってくることだと思う。

泣いたり、笑ったり、心がざわついたり。
その全部が、自分の中にあったものだと気づく。

本を閉じると、部屋は静かだ。
でも、胸の奥は少しだけにぎやか。

私はまた、同じ作家の次の一冊を手に取る。
眠れなくなると分かっていても。

それでもいい。
月暈の下で過ごす夜は、少しくらい長いほうが、きっと豊かだ。



*下記企画に参加させて頂きました


☆次の作品はこちらです↓↓↓

前回の作品はこちらです↓↓↓

悠・恵 日常・ほのぼの↓↓↓1


最後までお読みくださり、ありがとうございます😊すず

いいなと思ったら応援しよう!

鈴蘭 読んで下さりありがとうございます!励みになります!