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cute_holly106
【風まかせ文芸部】翫味|エッセイ
タイトル:翫味という時間
翫味という言葉に出会ったとき、
少しだけ立ち止まった。
味わう、よりもゆっくりで、
楽しむ、よりも深い。
急がずに、
ただそのものと向き合う時間。
そんな響きがあった。
日々の中で、
私たちはどうしても効率を求めてしまう。
早く終わらせること。
分かりやすくすること。
次へ進むこと。
それは大切なことでもあるけれど、
ときどき何かを置いてきてしまう気もする。
翫味する、というのは、
その逆の動きなのかもしれない。
すぐに答えを出さず、
すぐに評価せず、
ただ感じる。
たとえば、
一杯のお茶の温度や香り。
何気ない会話の間。
読み返した言葉の余韻。
それらを、
そのままのかたちで受け取ること。
時間がかかるようで、
実はその時間こそが、
豊かさなのだと思う。
翫味は、
特別なものにだけ必要なものではない。
むしろ、日常の中にこそある。
見過ごしてしまいそうなものを、
もう一度手に取るための、
やさしいまなざし。
少しだけ立ち止まって、
ゆっくりと味わう。
それだけで、
同じ景色が少し違って見えることがある。
翫味する時間を持つことは、
自分の中に余白をつくること。
急がないことで、
見えてくるものも、きっとある。
了

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