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【3つのお題に空想のひらめきを第55回】風船で旅するクジラ.雲に住む音楽家.虹色の温泉|ショートショート
タイトル:空を渡るクジラの地図
昔、空にも大航海時代があったという。
海ではなく、雲の海を渡る旅人たちの時代だ。
その先頭を泳ぐのは、一頭の大きなクジラ。
背中には色とりどりの風船で旅するクジラとして知られ、何百もの風船をつないで大空を進んでいた。
ある日、クジラは雲の上から美しい旋律を耳にする。
音のする方へ向かうと、そこには雲に住む音楽家がいた。
音楽家は雲を楽器にして、風を弓のように操りながら演奏している。
「その曲は誰のため?」
クジラが尋ねると、音楽家は笑った。
「道に迷った旅人のためさ。」
すると旋律は風に乗り、雲をゆっくり動かし始めた。
その先に現れたのは、七色に輝く湖。
近づいてみると、それは空に湧く虹色の温泉だった。
温泉に浸かった鳥は羽が七色に輝き、
疲れた風は優しいそよ風へ変わる。
クジラも尾びれを浸すと、長い旅の疲れがふっと消えていった。
音楽家は楽譜を閉じて言う。
「本当の宝物は、地図には載らない。」
クジラは大きくうなずく。
そして再び風船を揺らしながら、まだ誰も知らない空へ旅立った。
その後ろには、音楽が虹を描き、雲が静かに道をつくっていく。
だから今でも、夕暮れの空に風船のような雲が浮かぶ日は、空のどこかでクジラが新しい航路を見つけた合図だと言われている。
おしまい

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