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【3つのお題に空想のひらめきを第35回】二度と会えない約束.最後に一つだけ叶う願い.名前を失った星|ショートショート


タイトル:名を失くした星の約束

それは、二度と会えない約束だった。
エデンの園の外れで、君は空を指さし、
最後に一つだけ叶う願いがあるなら、これを開けて」と言った。

渡されたのは、パンドラの箱。
軽くて、冷たくて、
なぜか懐かしい匂いがした。

空には、名前を失った星がひとつ瞬いていた。
昔は呼び名があったらしい。
けれど、誰かが願いを使い果たした夜、
星は名を手放し、ただの光になった。

箱を開ければ、世界は変わる。
閉じたままなら、君は戻らない。
迷いは短かった。
だって、約束は約束だから。

蓋が開くと、
希望も絶望も、音も色も飛び出さず、
ただ一行の文字が浮かんだ。

――「願いは、手放すことで叶う」

次の瞬間、星が微かに脈打ち、
名を持たないまま、少しだけ明るくなった。
君の姿はなかった。
けれど、園の風はやさしかった。

それ以来、夜空を見るたび思う。
会えなくなっても、
約束は光になる。
名を失くしても、
願いは残る。

箱は空だ。
けれど世界は、
ちゃんと前に進んでいる。


おしまい

パンドラの箱


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