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「未完成の神話」 Episode2 青春

「ナル、お前はあいつを選んだ」
「…この話…前も聞いた…」
「知ってる」
男は海岸の岩に腰掛けた。
波が同じところを行ったり来たりしていた。
「…海が綺麗すぎて…空が落ちてきたみたいだね」
「…そうだな」
海の独り言が静かに続いた。
空を仰ぎながら果実を口にするナルに、男が言った。
「……お前、食べるのほんと遅いな」

海が一瞬、静かになったー

「お前!食べるのほんっとに遅いな!」
花がきっちりと植えられ神殿のような佇まいの城内に、訓練を終えた軍人たちが行き交っている。
その中で、独特の雰囲気を放つ2人の軍人がいた。
彼らの瞳は宝石のようで、この景色の色彩を豊かにしていた。
一方は、深い闇のような青色、そして一歩は南国の海のように輝くターコイズブルー。
一方は銀色の髪を肩まで伸ばし、春風でなびかせている。
一歩は、少しくせのある黒髪に、大きな体が目立つ。その体を遠慮なく組んだ相手の肩に寄りかからせて歩いている。
「…急に、なに。」
「俺なんて一口なのに、お前いつまで食ってんの」
「一口一口心こめて食ってんだよ」
小さな口に、クッキーのかけらが放り込まれた。
「うっ…おい!」
「心をこめて放り込んでやったぜ!」
「くっそ…てめえの口にも入れてやる…」
ドタバタと暴れ回る彼らの後ろから声が追いかけてきた。
「ナル〜!オッド〜!」
彼は手を振りながら彼らに追いついた。
春のような笑顔とピンクがかった髪色と、それらに相反する厚いマフラーを弾ませて走っている。
「ハニ。」
「ハニキス、おっす」
「僕の作ったお菓子食べてくれてるん」
ハニはずり落ちた眼鏡を直しながら嬉しそうに声を弾ませる。
「うん。うまかった。ありがとうハニ」
ナルはハニに笑顔を向けて肩に腕をかけた。
ハニキスは眼鏡の奥の細い目をさらに細めた。
「いいえ。また作るね」
「俺も食いたい、もっとでかいのがいい」
オッドが後ろから大股で追いかけている。

3人は肩を並べて歩き始めた。
空は昼の太陽の光と混ざり合い水彩の青のようだ。
「午後からの会議は夜の街についてだったな」
ナルがぽつりとつぶやいた。
「俺、あまり興味ねえな」
「てめえはねえよな」
「あん?」
睨み合う2人の間の空気は夏のように熱い。
「でも、僕も、あまり具体的なイメージがなくて、図書館で調べても資料があまりないから…」
2人の間にそよ風を運ぶハニキスである。
「そうだよな。ハニ。夜の街は足を運ばないと分からないものだから…」
「ナルは、よく行くの?」
「いや…」
城内に鐘の音が響きわたる。
白い鳥が、さっと空の上に飛んでいった。
軍人たちの足が急足になり、城内に静寂が訪れた。


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