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私は最後のひと巻の世話人

うちには妖怪がいる。ひと巻残しの妖怪だ。


我が家は4人家族。
トイレットペーパーのホルダーは
なぜか2個並び。


奥は予備。
手前のペーパーは順調に減る。


手前のペーパーの厚みが
5mmくらいにやせ細ると
新品だった、予備のペーパーに動きが出る。


丸々としていた予備のペーパーも
だんだんとやせ細っていく。



いままでは、

「誰だよ、ひと巻残しのヤツは」

と、どうでもいい事にモヤつき
痩せている子を使いきり
また新しくセットしていた。


でも。


そうすると、今度は手前の
新しくセットされたペーパーが減り始めるのだ。



予備としてセットされていたけれど、
やせ細ってしまったペーパー。



ちょっと前まで、
めちゃくちゃ利用され、痩せたのに。

もう
だれも、見向きもしてくれない。



そうすると、またその痩せた子を
私が使い、丸々した子をセットする。
当然のように、その子がまた痩せていくのだ。




なんなんだ、このサイクルは!!


私は、最後のひと巻の世話人ではない。


トイレットペーパーは、
すぐ設置できる場所にある。


(ちぇっ、また私だよ)


心が狭い母。


でも、さすがに毎回だと
モヤつきが増幅する。



(よし。交換しないで様子を見よう)
 


手前の子はいつものとおり、
5mmくらいの厚さになった。



予備の子が痩せていく。
こちらも5mmに近づいていく。



そうすると、不思議なことが起きる。
あれだけ豪快に順調に
痩せていたペーパーの動きが鈍る。



おそらく、丸々しているときは
余裕をもって使っているのだろう。
だって、いきなり痩せ方が鈍るのだ。



どう考えたっておかしい。
急に節約モードに入る。



まだ、放置しておく。



奥の5mmが少しずつ削れると
手前の5mmも少しずつ削れる。



これはもう誰が、どのタイミングで
使うかにかかっている。



まるで心理戦。




トイレに入るたび、ちびちび減る様子に
ニヤッとしながら観察していた。



いよいよ、時が来そうだな。
そのタイミングで自分がトイレに入った。




両方とも、もう限界を迎えそう。
でも、まだイケるかな。



ピッ



ぺーパーを引っ張った。


ペリッッ


(・・・・・・)


手に取れたのはひと巻すらない
かけらのペーパー。



「やられたーーーーーー!」



今回は完全に私が敗北した。


ひと巻の妖怪は、進化して「ひと巻」ならず
1/4ひと巻の妖怪に成長していた。



会社にもいる、ひと巻の妖怪はもっと凶悪だ。
会社の女性陣は15人ほど。

 
2つあるホルダーの、ひと巻すら残さないのだ。
空になっている。


芯を利用しろというのか…


不思議と家でも、会社でも
ひと巻の妖怪は必ずいる。
それなのに、妖怪探しをすると
口々にみんな、ペーパーを交換しているという。


そんなわけあるかーーい!
私が交換しているんだから。



家でも会社でも、5mm残しで
たまに観察をする。


そうすると、職人によって
また1/4にあたってしまうのだった。

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しつこい家庭教師勧誘に、弟が東大生設定になった
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