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携帯が繋がらない

LIVEのチケットは抽選ではなく
電話をかけて早いもの勝ちで買っていた。

当時は、いろいろな噂があった。



公衆電話が一番かかりやすい。
携帯からが、かかりやすい。
警察署から一番近い公衆電話がいい。



でも一番確実は、
「NHKの時報が変わる瞬間にかける」。

これに、全力を注いでいた。



来日の推しのLive。絶対行きたい!




よし!ここは母親というカードを切ろう。
母親に公衆電話を担当してもらった。



片手には携帯。
反対側には家電。
両方とも一度かけておく。
あとは、リダイアルを押すだけ。



NHKの画面を見つめる。
1分を切った。


ドキドキドキドキ…
心臓の音が聞こえる気がする。


30秒切る。


ピッ、ピッ
秒針が12に近づく。


携帯と家電のリダイアルボタンに手をかける。


秒針が12を示すと同時に
私は両方のボタンを押した。





(RRRRR‥‥‥)



よっしゃ!すぐかかった!
やっぱり時報最強。



「チケットゲット~!!」

すぐに取れて浮かれていた。



(あ、お母さんに電話しきゃ)
母の携帯にかけた。


ツーツーツー…。


かからない。


また母の携帯にかける。


ツーツーツー…。


かからない。
いくらかけても繋がらない。




私は、5分もかからず争奪戦を勝ち抜いた。
無事チケットは手に入った。




______20分経過。

ツーツーツー…。



母の携帯は繋がらない。
伝えようにも母の携帯が、チケット予約電話状態。

しかも、どの公衆電話に行ったか分からない。


(………)


母は、公衆電話と携帯で
まさかのダブル電話をしていたのだ。


これは予想外だった。



____30分経過。
買えなかった、と
ぐったりして母が戻ってきた。



「お母さんの携帯がまるで
 チケット予約みたいになってたよ」
と、買えたことも伝え、2人で笑った。


ネットで抽選も良いけれど
あのころ、ドキドキしてかけた電話が
たまに懐かしくなる。



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