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世界から注目された戦後日本抽象|オノサト・トシノブから広がる前衛の流れ【買取井浦】

戦後の日本美術には、世界から注目されてきた抽象表現があります。

それは、ひとつの流派やスタイルにまとめられるものではありません。
円と色彩による幾何学的な抽象、身体ごと絵具に向き合った具体美術、書やいけばなと結びついた前衛表現、そしてパリでアンフォルメルと交差した画家たち。

戦後という大きな時代の転換点で、日本の作家たちはそれぞれの方法で「新しい表現」を探していました。

その流れの中で、円と色彩による独自の抽象世界を築いた作家が、オノサト・トシノブです。

■ オノサト・トシノブ|円と色彩の抽象

オノサト・トシノブは、戦後日本の抽象絵画を語るうえで欠かせない作家のひとりです。

単色で塗りつぶされた円と水平線・垂直線による「ベタ丸」から、画面全体を幾何学的に分割し、色彩によって円を浮かび上がらせる「分割円」へ。
オノサトの作品は、円というシンプルな形を通して、秩序、リズム、色彩の響きを追求していきました。

Toshinobu Onosato Red circle, 1957 Oil on canvas https://www.mutualart.com/Artwork/Red-circle/B800C7028A3D2712

戦後、ヴェネツィア・ビエンナーレやその他欧米の美術展に積極的に出品・参画。

群馬県立近代美術館でも、オノサトは「円をモチーフとした抽象絵画を描き続け、国際的にも高く評価された」作家として紹介されています。

また、東京国立近代美術館にも所蔵作品があり、日本の戦後抽象を代表する作家のひとりとして位置づけられています。

オノサトの作品は、一見するととても整然としています。
けれど、じっと見ていると、円と色の配置が画面の中で静かに動き出すような感覚があります。

冷たい幾何学ではなく、どこか人間的な呼吸を感じる抽象。
そこが、オノサト作品の大きな魅力です。

▶ オノサト・トシノブ作品の買取・査定|油彩・版画・戦後抽象の市場価値を解説


■ 具体美術|身体と素材から生まれた抽象

戦後日本抽象を語るうえで、具体美術協会も外せません。

白髪一雄は、床に置いたキャンバスの上で足を使って描くフット・ペインティングによって、絵画と身体の関係を大きく広げました。
元永定正は、流れる色や水、かたちのユーモアを通して、軽やかで自由な抽象表現を生み出しました。
田中敦子は、《電気服》に代表されるように、光、線、身体、回路のようなイメージを作品に取り込みました。

具体美術の作家たちは、単に抽象画を描いたのではなく、絵画とは何か、作品とは何かという問いそのものを広げた存在です。

オノサトの幾何学的な抽象とは方向性が違いますが、同じ戦後日本という時代の中で、世界に向けて新しい表現を示したという点ではつながっています。

▶詳しくはこちらの記事もご覧ください。


■ 書から広がった前衛

戦後日本抽象の面白さは、油彩やキャンバスの上だけにとどまらないところにもあります。

井上有一は、書を単なる文字表現ではなく、強い身体性を持つ抽象表現として切り拓きました。
墨、紙、筆、身体の動き。
そこには、文字でありながら、絵画としても見られるような迫力があります。。

日本の戦後抽象は、西洋の抽象絵画を追いかけただけではありません。
書やいけばなといった日本の伝統的な表現が、前衛美術と交差していったことにも大きな特徴があります。

▶詳しくはこちらの記事もご覧ください。


■ パリへ渡った作家たち|今井俊満と堂本尚郎

一方で、戦後の日本人作家の中には、パリへ渡り、ヨーロッパの抽象表現と直接向き合った人たちもいました。

今井俊満や堂本尚郎は、1950年代のパリでアンフォルメルの流れと関わりながら、それぞれの抽象表現を深めていきました。
アンフォルメルは、幾何学的な秩序よりも、素材感や行為、激しい感情表現を重視した抽象の動きとして知られています。

オノサトの円と色彩の世界。
具体美術の身体性。
井上有一や勅使河原蒼風の伝統と前衛。
そしてパリで展開したアンフォルメルの作家たち。

こうして見ていくと、戦後日本抽象は、ひとつの流派ではなく、多方向に開かれた豊かな表現だったことが分かります。

■ なぜ今、戦後日本抽象が面白いのか

戦後日本抽象の魅力は、作家ごとに方法がまったく違うところにあります。

オノサト・トシノブは円と色彩。
白髪一雄は身体と絵具。
田中敦子は電気と線。
井上有一は書と身体。
今井俊満や堂本尚郎はアンフォルメルの熱量。

それぞれが、日本の戦後という時代の中で、自分だけの抽象を探しました。

だからこそ、今見ても古びないのだと思います。
単なる流行ではなく、作家ごとに強い思想と方法がある。
このオンリーワンの表現が、国内外であらためて評価される理由のひとつではないでしょうか。


■ ご売却をお考えの方はご相談ください

戦後日本抽象の作品は、見た目だけでは判断しにくいものも多くあります。

一見すると「よく分からない抽象画」に見えても、作家名、制作年、技法、サイン、来歴、展覧会歴によって、市場での見られ方が大きく変わる場合があります。

オノサト・トシノブをはじめ、具体美術、井上有一、勅使河原蒼風、今井俊満、堂本尚郎など、戦後日本抽象の作品のご売却をお考えの方は、井浦にご相談ください。

作品全体、サイン、裏面、額裏、シール、証明書、図録や展覧会資料などの写真があると確認しやすくなります。

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