椿の花あれこれ
きょうは椿の花にあれこれ思いを馳せてみたいと思います。
椿は、まだ寒い時期から4月頃まで紅や白の花をつけますが、この花が咲くと春を感じます。
わたしが椿と聞いていつもイメージするものにはふたつあって、ひとつは日本の古典、もうひとつは髪飾りです。
まず古典のほうから。
『古事記』下巻は、仁徳天皇に関する記述からはじまります。その正妻(大后)である石之日賣命(いはのひめのみこと)は、あるとき宴につかう御綱柏を取りに船で出かけます。その帰路で、自分の留守中にほかの女性と親しく過ごしている仁徳天皇の話を聞いて怒り、せっかくの御綱柏を海に投げ捨て、宮に帰らず、川を上っていきます。
是(ここ)に、大后 大(いた)く恨み怒りまして、其の御船に載せたる御綱柏(みつながしは)は悉く海に投げ棄(う)てたまひき。故(かれ)、其地(そこ)を号(なづ)けて御津前(みつのさき)と謂ふ。即ち宮に入り坐(ま)さずて、其の御船を引き避(よ)きて堀江に泝り、河の随(まにまに)山代に上り幸(いでま)しき。此の時に歌ひ曰(たまひし)く、
都藝泥布夜 々麻志呂賀波袁
迦波能煩理 和賀能煩礼婆、
迦波能倍迩 淤斐陁弖流
佐斯夫袁。佐斯夫能紀、
斯賀斯多迩 淤斐陁弖流
波毗呂 由都麻都婆岐、
斯賀波那能 弖理伊麻斯
芝賀波能 比呂理伊麻湏波、
淤富岐美呂迦母。
(つぎねふや やましろがはを
かはのぼり わがのぼれば、
かはのべに おひだてる
さしぶを。さしぶのき、
しがしたに おひだてる
はびろゆつまつばき、
しがはなの てりいまし
しがはの ひろりいますは、
おほきみろかも。)
ところで、「ツバキ」を表す文字「椿」は、国字(日本で作られた漢字)だといわれています。
ツバキの語源には、光沢のあるさまを表す古語「つば」に由来し、「つばの木」で「ツバキ」になったとする説。
「艶葉木(つやはき)」や「光沢木(つやき)」の意味とする説。
朝鮮語(原文ママ)の「ツンバク(Ton baik)」からきたとするなど諸説ある。
漢字の「椿」は、日本原産のユキツバキが早春に花を咲かせ春の訪れを知らせることから、日本で作られた国字と考えられている。
一方、中国で「椿」は「チン(チュン)」と読み、別種であるセンダン科の植物に使われたり、巨大な木や長寿の木に使われる漢字で、『荘子』の「大椿」の影響を受けたもので国字ではないとの見方もある。
・・・・・・(後略)・・・・・・
中国では「椿」は日本人がイメージする「ツバキ」とは異なる木、「椿(チュン)」を指すそうです。
・中国を原産とするセンダン科の落葉樹。春先に見られるカラフルな新芽を観賞または食用とするため庭木として利用される。日本へ渡来したのは江戸時代以前で、主に本州以南に植栽される。まっすぐに伸びる太い幹からウルシに似た葉を生じるのが特徴。
・・・・・・(中略)・・・・・・
・チャンチンという奇妙な名前は中国名「香椿(シャンチュン)」が転訛したものだが、椿(ツバキ)との直接的な関係はない。なお、中国ではツバキを「山茶花」と表記し、椿は単独でチャンチンを指す。
『古事記』にあらわれる「葉広斎真椿(はびろゆつまつばき)」は、日本原産の椿なのか、中国の椿をイメージしているのか、どちらでしょう……。
実景を詠んだものとすれば、これは日本原産の木を表しているということになります。
ちなみに、椿より前に歌に現れる「さしぶ」は「烏草木」という木で、日本のブルーベリーとも呼ばれています。枝が華奢で葉が可憐な常緑樹です。だから、実景の可能性が高いかもしれませんね。
もしかしたら、実景(それほど高くない木)に巨木のイメージを重ねて表現されているのかもしれません。
と、いろいろな読み方ができてしまうのが文学のおもしろいところでもあり、怖いところでもあります。
余談ですがツバキは「海石榴」とも書きますよね。
食いしん坊のわたしとしては「柘榴(ザクロ)」や「蕃石榴(バンシルー、グァバの別名)と関係があるの? というのが気になるところ。でもまだ調べていません。
わたしはザクロもグァバも大好きだから、ツバキに惹かれるのも当然なのかも……と思ったりもします。
さて、もうひとつの髪飾りですが、これは ALEXANDRE DE PARIS の "カメリアバレッタ"です。
なんともいえず、人をうっとりさせる髪飾りだな……と思います。バレッタには 6cm もあります。
ちなみに、カメリアシリーズには "ポニー" と呼ばれるヘアゴムもあります。こちらもすてきですね。
https://alexandredeparis.co.jp/item?category_id=2&order_by=1&sold=1&from=header_keyword_tag
わたしは エリザベス・テイラーが大好きなのですが、彼女はこの創業者の友人であったそうです。映画のヘアセットだけでなく、きっと髪飾りもつけていただろうなと思うと、なんだかうれしくなります。
History|ALEXANDRE DE PARIS(アレクサンドル ドゥ パリ)
椿の花は、実際に見ても麗しいですが、イメージのなかでもひときわ麗しいな、とあらためて思うのでした。
※トップ画像は #zenpaku さんの作品をお借りしました。サンティアゴ・デ・コンポステーラの椿だそうです。
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければ応援お願いします
♡心が躍ります♡