“できない”ではなく“違うだけ”:発達凸凹を『頭の中の左利きさん』と捉える【頭の中の左利きさんシリーズ③】
前回までの記事↓
私が勤めている病院では、
いくつかの検査を組み合わせて
発達凸凹を見ています。
その結果を報告書にまとめる
のですが、報告書には
診断基準(DSM-5)に基づき
例えば
『自閉スペクトラム症 の判定
感覚型:感覚回避型
サポートの必要度
:社会的コミュニケーション Lv1(支援を要する)
限定的反復的(こだわり)行動 Lv2(十分な支援を要する)』
のように記載しています。
当院での心理士の仕事は
様々な心理検査や
母子手帳、
園や学校からの情報提供書などの
検査外情報を組み合わせて、
一見すると発達凸凹にみえる特徴が
・本当に発達凸凹(ASD/ADHD/SLD/DCD陽性)
なのか
・愛着の問題や育ってきた環境によるもの
(ASD/ADHD/SLD/DCD陰性)なのか
などを鑑別して判定することです。
対して主治医の仕事は
・この「判定」を取って「確定」させること
・確定後に方針を組み立てて介入すること
という風に分担しています。
もし心理士が検査結果を誤って解釈したら、
主治医の方針をミスリードしてしまうので、
とても慎重に行っています。
結果を伝える際の診察の流れは、
はじめに心理士が検査結果を説明。
↓
その後診察で主治医が対応する。
という感じなので、
必然的に心理士が告知のような
役割を担っていたりします。
それゆえ。
私は、
検査の結果お子さんに
発達凸凹があると判定された際は、
報告書の説明後、
改めてお子さんに発達特性を
「頭の中の左利きさん」
として伝えています。
「あのね、
みんな生まれてから
死ぬまでずっと
持ち続けるものがあるの、
知ってる?」
「たとえば、
皮膚の色、瞳の色。
血液型。利き手なんかも
そう」
「そういう死ぬまでずっと持ち続ける
ものを特性っていうんだ」
「左利きはどの時代でも
どこの文化でも、生まれる
のは大体10人に1人
なんだって」
「そうすると、社会は沢山の
右利きさんが生活しやすいように
つくられるんだよね」
「たとえば、駅の改札。
あれは右利きの人が右手で切符を
入れやすいように設計されてあるんだよ」
「左利きさんは利き手じゃない右手を
使わなきゃ行けないから、実は大変なんだ。」
「そう考えると、左利きさんの方が生活
しづらいよね」
「でも、右利きさんに比べて
左利きさんが劣っているかって
いうと、そんなことないよね?」
「実は、こういう特性が物事を感じたり
考えたりする力にもあるんだ」
「頭の中の右利きさんは、いくつかのことを
同時に考えたり、記憶する時も1本のつながった線のように覚えておけたりするんだ」
「それに対して、頭の中の左利きさんは
一つのことにずーっと集中できたり、
記憶する時も一つ一つの出来事を点のように
覚えておけたりするんだ」
「周りが頭の中の右利きさん
だらけだと、ちょっと生活し
づらかったりする時もあるけど、
でも、頭の中の右利きさんに比べて
頭の中の左利きさんが劣っているかって
いうと、そんなことないよね?」
「左利きさんが左利き専用のハサミや
野球のグローブ、左利き専用の包丁を
当たり前に使うように、頭の中の
左利きさんもイヤーマフやタイマー、
気持ちがいっぱいになったときの
避難場所を当たり前に使うことができるんだ」
「今まで、そういう
『当たり前に使って良いもの』の
ことがよく分からなかったから、
きっととても大変だったよね」
「これからは、遠慮しないで
どんどん使っていってね」
「そして、困ったことがあったら
いつでもこころの病院に来てお話してね」
「前に、こころの病院は病気を治すところ
でもあるけど、みんなにどんな力が
あるかを調べる能力の発見所でもあるって伝えたよね」
「じつは、もう一つあるんだ」
「それは、みんなのお悩み相談所。
だから、困ったことがあったら
いつでもこころの病院に来てお話してね」
※「こころの病院=能力の発見所」についてはこちらの記事からどうぞ↓
今回もお読みくださり
ありがとうございました♪
