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ホテルが高くて泊まれない?“人気観光都市協力料”で居住者割を実現する方法

インバウンド経済は、日本の将来を支える成長の柱のひとつだとGenZeeは思っています。だからこそ、その成長が本格化する前に、制度や環境を丁寧に整えておく必要があると感じています。

オーバーツーリズム問題を考える②

前回の記事「インバウンドと円安の時代に、“日本人割”は差別ではない」では各種観光施設において訪日旅行者向けに”ツーリズム協力料”を設けることを提案しました。今回は、宿泊施設における“居住者優遇”と“ツーリズム協力料”の考え方について、GenZeeなりに考えてみました。

1. 「行きたいけれど、泊まれない」

「ホテル代が高すぎて、旅行をあきらめた」。
そんな声を、最近よく耳にします。

京都、箱根、札幌、高山――いずれも人気観光都市として国内外から人が集まります。けれど週末や連休のホテル代を見ると、京都中心部の繁忙期では平均5万円である一方で同時期に地方の宿は1万円となっているケースも少なくありません。特にファミリー層や学生にとっては、かなりの負担です。

「混雑している」「宿が取れない」「高すぎる」。
その結果、国内の人々が“旅を遠ざける”ようになってはいないか。
そんな懸念を、私は少しずつ強く感じるようになりました。

2. インバウンドの追い風と、国内旅行者への逆風

インバウンド観光の急回復は、間違いなく明るい話題です。
円安の追い風もあり、観光業は活況を取り戻しつつあります。特に人気観光都市には、多くの外国人旅行者が戻ってきました。

一方で、日本に暮らす人たちが旅行をしようとすると──

  • 「宿が高すぎて手が出ない」

  • 「予約が埋まっていて泊まれない」

  • 「あえて混雑の中に行こうと思えない」

と感じるケースが増えています。
観光地は賑わっているのに、日本人が旅行をあきらめてしまっている。
そんな矛盾が、今の日本各地で起きているように思います。

3. 人気観光都市の課題:「旅に出られない」地域住民

さらに問題は、旅行者だけではありません。
京都や札幌のような観光都市に“暮らす人”たちもまた、不便を感じ始めています。

  • 近隣のビジネスホテルが高騰して、親戚や友人を招きにくくなった

  • 繁忙期は飲食店や交通機関が混雑して、日常生活にも支障が出る

  • 学会や出張など「仕事のための宿泊」すら確保しづらいことも

観光都市としての成功が、「住みにくさ」や「旅にくさ」を生み出す逆説
これがオーバーツーリズムの一側面でもあります。

4. 一方で、地方には空いている宿がある

その一方で、地方都市や過疎地域には、空いている宿泊施設がたくさんあります。

たとえばGenZeeが以前訪れた東北地方や四国の遍路道沿いの町や延岡市(宮崎県)。それぞれ観光資源は豊富なのに、平日はほとんど人がいない。宿も空いている。商店街のシャッターが閉まり、昼間からパチンコ店だけが賑わっている。

日本国内には豊富な「旅の需要はある」のに、「供給場所が集中しすぎている」のです。このアンバランスを解消するには、価格や制度を通じて、旅先を分散させる設計が必要ではないでしょうか。

5. 「ツーリズム協力料」という制度を、宿泊にも

そこで、前回の記事で提案した「ツーリズム協力料」という考え方を、宿泊施設にも応用できないかと考えました。

ポイントは、「居住者に優しい制度」でありながら、外国人旅行者にとっても納得感のある仕組みにすることです。

たとえば、あるホテルの価格設定を次のようにする案です:

  • 基本宿泊料金:15,000円(国内居住者向け)

  • ツーリズム協力料:+5,000円(海外からの観光客向け)

海外旅行者にとって、1泊20,000円という価格は決して高くありません。特に日本のホテルは、世界的に見てもまだ“安くて清潔”だと評価されています。

一方で、日本国内に住む人にとっては、「いつもの価格」で泊まれるようにする。
この差を、値引きではなく“協力料免除”という形で表現するのがポイントです。

6. 拝観料と違って、宿泊には名目が立てにくい?

ただし、ここで一つ留意点があります。
文化財や史跡の拝観料であれば、「維持管理のため」という明確な名目が立ちますが、宿泊施設にはそうした公共的な要素が見えにくい。

そのため、「外国人だけ高くするなんて差別だ」と誤解される可能性もあります。

それを避けるためには:

  • 「協力料は観光都市の持続可能性のために使われる」と明示する

  • その分を清掃スタッフの人件費やインフラ維持費に充てると説明する

  • 「地域の文化や生活環境を守るため」という共感軸を強調する

など、納得されやすいメッセージ設計が重要になります。

7. 制度として実現するために必要なこと

この制度を実際に導入しようとすれば、いくつかのハードルがあります。

  • オンライン旅行サイト(OTA)で「協力料込み価格」をどう表示するか

  • チェックイン時に、どうやって“居住者”を証明してもらうか(マイナンバーカード、免許証、保険証など)

  • 多言語対応、FAQ整備、現場スタッフの混乱防止策

こうした点を丁寧に設計すれば、運用は十分に可能だと思います。
特に全国統一ではなく、「京都市」「札幌市」など一部の人気観光都市から段階的に導入すれば、モデルケースとしても機能するでしょう。

8. 地方への旅を“仕組みで”後押しする

さらに、もう一歩踏み込んで考えるなら、地方都市・過疎地域の宿泊施設には協力料を設定せず、むしろ「ゼロ円明示」するのもひとつの手です。

「ここは協力料が不要です。ようこそ、もっと気軽に旅を」。
そうした明示が、価格以上の心理的後押しになるかもしれません。

加えて、交通費支援、平日ワーケーション割引、地元住民との交流型宿泊など、「関係人口づくり」へとつながる取り組みも並行して進められると理想的です。

おわりに:だれにとっても旅が続く社会のために

インバウンド経済は、日本の将来を支える大きな力です。けれどその影響で、日本人が旅をあきらめてしまうようでは、本末転倒だと思うのです。

「日本に住む人にも、旅はひらかれていてほしい」
「地方に暮らす人たちにも、旅人とつながる機会がある社会であってほしい」

そしてもうひとつ。

より多くの日本人や日本に住む人々が、自分の目で日本の魅力を見つけ、それを自ら海外に発信していけること。
それこそが、観光立国を持続的に成長させるための、本当の土台になるのではないかと思います。

そのためのひとつの仕掛けとして、「人気観光都市協力料」という制度が、役に立つかもしれない。そう思って、この考察を書いてみました。


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