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「現場は変わらないと思っていた」 第1話 普通の新人監督
陽菜と初めて会った日のことは、正直覚えていない。
そのくらい印象はなかった。
現場には毎年のように若い監督が入ってくる。
正直、みんな同じに見えていた。
上司に言われたことを、そのまま職人に伝えるだけ。
「これ、やってください。」
でも、それが何なのか。 どうやってやるのか。 何が必要なのか。
そこまで考えている人は少なかった。
だから俺は、「また同じか」と思っていた。
たぶん、陽菜も最初はそうだった。
いつの間にか、うちの担当グループになっていた陽菜。
最初は、言われたことを伝えるだけだった。
でも現場では、それだけじゃ仕事は進まない。
「この状態でやれるの?」
「足場がないのに、どうやって作業するの?」
「先にこっちを終わらせてもらわないと無理だよ。」
「こんなに材料が置いてあったら仕事にならない。」
そんなやり取りは毎日のようにあった。
大学を出たばかりの女の子に強く言っても仕方ない。
そう思いながらも、俺は理由を説明していた。
すると、陽菜は他の新人とは少し違った。
分からないことを、そのままにしなかった。
「○○さん、この状態でできますか?」
「何が必要ですか?」
そうやって、自分から聞いてきた。
そのときはまだ、
「あぁ、この子は少しマシかもしれない。」
そのくらいにしか思っていなかった。
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