掌編「つくだに」#539
「虫食ってる時点で一緒だろ」
でもさあ、とぼくはご飯の佃煮のせを、箸先で検める。
「あ、またいた」
お茶碗から別皿にイナゴをまた一匹移しながら、
「それはそうなんだけど、気持ち的にいやなのもわかるじゃん。ぼくが許してるのはイナゴだけなのよ」
またいた。
「ダメだ、このイナゴ、集団で侵されてる」
「もういいじゃねえか」
友人が、歯に詰まった脚だか触角を爪楊枝でほじくりながらいう。
「気にすんなよ、佃煮につくダニくらい」
おわり
振り返りのコーナー(#538)
「振り返り」と題しつつ、毎回読み返しているわけではないです。自分のやつ読み返すの、基本3日は空けないとしんどい。致命的ミスがあったら、それはもう諦めます。
