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スタッツで見る今年のオールブラックス候補たち

プレーオフに向けて、スーパーラグビー・パシフィックも残すところあと僅かとなりました。

ここまで来ると、各チームの順位争いやプレーオフの行方と同じくらい、ニュージーランド国内で熱を帯びてくるのがオールブラックス選考です。

誰が今年の代表スコッドに入るのか。どの若手が初選出されるのか。
そして、これまで名前の挙がってきた選手たちは、本当に今年も選ばれるのか。

しかし、2026年の選考は、これまでとは少し違う見方が必要になりそうです。

その理由の一つが、新たにオールブラックスのヘッドコーチに就任したデイブ・レニーHCの「しがらみのなさ」です。

レニーHCは、本人も就任会見でおっしゃっていましたが、ニュージーランド国内の既存の序列や、過去の代表実績、スーパーラグビー各チームとの距離感に深く縛られていない立場にあります。もちろん、代表経験やビッグマッチでの実績が軽視されるわけではありませんが、今年の選考でより重要になりそうなのは、

今のスーパーラグビーでどれだけプレーを見せいてるかのように思います。

1Newsによれば、レニーHCは代表候補選手たちをかなり細かくチェックしており、接点後にどれだけ早く起き上がり、再びプレーへ戻れるかまで分析対象にしているとされています。つまり、派手なトライやランメーターだけでなく、キャリー、タックル、ラインアウト、オフロード、そして繰り返しプレーに関わる力が、これまで以上に意味を持つ可能性があります。

さらにレニーHCは、元オールブラックスHCのグレアム・ヘンリーさんをセレクターに加え、60人以上のスーパーラグビー選手について検討を進めているとも報じられています。これは、とくに厳しい日程となる南アフリカへのツアー対策を含め、固定された序列をそのまま引き継ぐのではなく、かなり広い範囲から選手を洗い直していることを示す材料です。

だからこそ、今回は、2026年5月18日時点にはなりますが、Super Rugby Pacific公式Player Statsを検証しながら、NZクラブに所属している選手のみを対象としたスタッツ的観点でどの選手が名乗りを上げているのか見ていきたいと思います。

・トライ数で目立つ選手

トライ数ランキングで最も強烈な光を放つのは、ハリケーンズのWTBフェヒ・フィネアンガノフォです。

フェヒ・フィネアンガノフォ:16トライ(全体1位)
所属:ハリケーンズ

ジョシュ・ムービー:12トライ(全体2位)
所属:ハリケーンズ

サミソニ・タウケイアホ:9トライ(全体3位タイ)
所属:チーフス

ケイレブ・クラーク:7トライ(全体5位タイ)
クイン・トゥパエア:7トライ(全体5位タイ)
AJラム:7トライ(全体5位タイ)
ケイレブ・タンギタウ:7トライ(全体5位タイ)

フィネアンガノフォの16トライは、今季スーパーラグビー全体で最も得点に直結している数字です。同じハリケーンズのモービーも12トライで全体2位に入っており、ハリケーンズの全体77トライのうち2人で約36%を占めています。

一方で、タウケイアホがフッカーで9トライを記録している点も重要です。途中出場が多いながらも、ゴール前、モール、セットプレー周辺での強さがそのまま数字に出ていると見ていいでしょう。

ただし、フィネアンガノフォについては、すでにニューカッスル・レッドブルズと2年契約を結んでおり、NZRのスティーブ・ランカスターCEOは契約買い取りについて「基本的にそういうことはしない」という趣旨の説明をしています。一方で、少なくとも今年についてはまだオールブラックス選考の対象になり得える為、今年経験させておいてもいいのでは?という論調も出てきています。

・獲得メーターで目立つ選手

獲得メーターでも、フェヒ・フィネアンガノフォが強烈な光を放っています。

フェヒ・フィネアンガノフォ:905m(全体1位)
所属:ハリケーンズ

ケイレブ・クラーク:660m(全体6位)
所属:ブルーズ

ケイレブ・タンギタウ:640m(全体7位)
所属:ハイランダーズ

ジェイコブ・ラトゥマイタヴキ=ニープケンズ:613m(全体8位)
所属:チーフス

ジョシュ・ムービー:610m(全体9位)
所属:ハリケーンズ

フィネアンガノフォは、トライ数だけでなく獲得メーターでも全体1位です。これは、最後にボールを受けて仕留めているだけではなく、自分で前進し、相手守備を下げていることを示しています。

クラークは660mでNZ勢2番手。突出した全体1位ではありませんが、トライ、獲得メーター、クリーンブレイク、ディフェンダー突破の各項目に顔を出しており、総合的な前進力を示しています。

タンギタウも640mで全体7位。クリーンブレイクとディフェンダー突破でも上位に入っているため、単なるランナーではなく、自分で崩せる外側の選手として数字を残していました。ただし、左アキレス腱の完全断裂による長期離脱があるため、2026年の初回スコッド争いからは大きく後退したと見るのが現実的です。

・キャリー数で目立つ選手

キャリー数で、目立った数字を出してているのは、ハイランダーズのティモシ・タヴァタヴァナワイとクルセイダーズのレスター・ファインガアヌクです。

ティモシ・タヴァタヴァナワイ:139キャリー(全体2位)
所属:ハイランダーズ

レスター・ファインガアヌク:137キャリー(全体3位)
所属:クルセイダーズ

クイン・トゥパエア:127キャリー(全体4位)
所属:チーフス

ジョーディー・バレット:121キャリー(全体8位)
所属:ハリケーンズ

サミソニ・タウケイアホ:117キャリー(全体10位)
所属:チーフス

タヴァタヴァナワイの139キャリーは、NZ勢では最上位です。単にボールを持つ回数が多いというより、チームの攻撃の中で何度も接点に投入され、前進役を任されていることを示しています。

ファインガアヌクも137キャリーで全体3位。ウイング、センター、さらにチーム事情によってフランカー的な役割まで経験していることを考えると、この数字はかなり面白いです。単なる外側のフィニッシャーではなく、コンタクトエリアで何度も使われる選手になっています。

トゥパエアの127キャリーも、ミッドフィールドの選手としては強い数字です。相手守備にぶつかりながら前に出る役割を担っていることが分かります。

タウケイアホが117キャリーでトップ10に入っている点も見逃せません。フッカーでこれだけボールを持っていることは、攻撃関与の高さを示しています。

・クリーンブレイクで目立つ選手

ここでも、しっかり数字を残しているのは、フェヒ・フィネアンガノフォです。

フェヒ・フィネアンガノフォ:21(全体1位)
所属:ハリケーンズ

ケイレブ・タンギタウ:18(全体2位)
所属:ハイランダーズ

ケイレブ・クラーク:15(全体3位タイ)
所属:ブルーズ

セヴ・リース:14(全体5位タイ)
所属:クルセイダーズ

ウィル・ジョーダン:13(全体7位タイ)
チャイ・フィハキ:13(全体7位タイ)
ジョシュ・モービー:13(全体7位タイ)

フィネアンガノフォは、トライ数、獲得メーター、クリーンブレイクのすべてで全体1位です。これは今季の攻撃スタッツで最も活躍している選手ということになります。

タンギタウも18で全体2位。怪我がなければ、オールブラックス候補としてかなり大きく扱うべき選手でした。

クラーク、リース、ジョーダン、フィハキ、モービーも上位に入り、バックスリー候補の競争が相当激しいことが分かります。クリーンブレイクは、単に速いだけではなく、実際に守備ラインを破れているかを見るうえで重要な項目です。

・ディフェンダー突破で目立つ選手です

ディフェンダー突破では、かなりはっきりした差が出ています。

ティモシ・タヴァタヴァナワイ:79(全体1位)
所属:ハイランダーズ

レスター・ファインガアヌク:51(全体2位)
所属:クルセイダーズ

フェヒ・フィネアンガノフォ:45(全体3位)
所属:ハリケーンズ

ケイレブ・タンギタウ:43(全体4位)
所属:ハイランダーズ

ジェイコブ・ラトゥマイタヴキ=ニープケンズ:35(全体6位タイ)
クイン・トゥパエア:33(全体9位)
ケイレブ・クラーク:32(全体10位)

タヴァタヴァナワイの79はかなり強烈です。2位との差も大きく、接点で相手を壊す能力が大会全体でも突出していることを示しています。

ファインガアヌクが51で全体2位。キャリー、ディフェンダー突破、オフロードのすべてで上位に入っており、センターとしてもトップクラスのフィジカルランナーである事を示していると思います。

そして、ここでもフィネアンガノフォは、トライ、メーター、クリーンブレイクで1位に加え、ディフェンダー突破でも3位と恐ろしい活躍を見せています。

・ラインアウト獲得で目立つ選手

ラインアウト部門では、ロックとバックロー候補の価値が見えてきます。

サム・ダリー:51(全体2位タイ)
所属:ブルーズ

TKハウデン:51(全体2位タイ)
所属:ハイランダーズ

アントン・セグナー:50(全体4位タイ)
所属:ブルーズ

ジェイミー・ハンナ:50(全体4位タイ)
所属:クルセイダーズ

ジョシュ・ロード:39(全体10位)
所属:チーフス

ダリーさんとハウデンさんが、どちらも51で全体2位タイ。セグナーさんとハンナさんも50で全体4位タイ。ラインアウト獲得数はチーム構造にも左右されますが、トップ5圏内にNZ勢が4人入っているのは重要です。セグナーさんのようなバックロータイプがこの数字を残している場合、ラインアウトオプションとしての価値も見えてきます。

・オフロードで目立つ選手

オフロードは、接点後に攻撃を継続できる選手を見るうえで重要な項目です。

ティモシ・タヴァタヴァナワイ:18(全体1位)
所属:ハイランダーズ

ビリー・プロクター:16(全体3位タイ)
所属:ハリケーンズ

レスター・ファインガアヌク:16(全体3位タイ)
所属:クルセイダーズ

カラム・ハーキン:13(全体7位)
所属:チーフス

ジョーディー・バレット:12(全体8位タイ)
セヴ・リース:12(全体8位タイ)

タヴァタヴァナワイは、ディフェンダー突破79で全体1位、キャリー139でNZ勢最上位、さらにオフロード18で全体1位です。相手を壊すだけでなく、倒れながらもボールを生かす能力が高いことを示しています。

プロクターは、派手なトライ数ではなく、接点後に次の攻撃へつなげ役割を果たしている事がわかります。ファインガアヌクもランクインしており、キャリー、突破、オフロードのすべてで上位にいます。

・得点で目立つ選手

得点部門では、10番候補とトライゲッターの両方が上位に入っています。

ダミアン・マッケンジー:95点(全体1位タイ)
所属:チーフス

キャメロン・ミラー:83点(全体5位)
所属:ハイランダーズ

フェヒ・フィネアンガノフォ:80点(全体7位)
所属:ハリケーンズ

ボーデン・バレット:75点(全体8位)
所属:ブルーズ

ルーベン・ラヴ:71点(全体9位)
所属:ハリケーンズ

ジョシュ・モービー:60点(全体10位)
所属:ハリケーンズ

得点数はキッカーを務めているかどうかに大きく左右されるため、単純な攻撃力比較には使いにくい数字です。ただ、10番争いを考えるうえでは無視できません。

マッケンジーは95点で全体1位タイ。得点数はキッカーを務めているかどうかに左右されますが、それでも大会トップに並んでいる事実は無視できません。

キャメロン・ミラーは83点で全体5位。現時点で即オールブラックスの10番争いに入るかは別として、若い司令塔候補としてはかなり目立つ数字です。

フィネアンガノフォさんは80点で全体7位。キッカーではなく、16トライによって得点を積み上げている点が強烈です。

ボーデンとラヴもトップ10に入っており、10番争いという意味では、マッケンジーさんを含めた3人の得点状況は押さえておきたい材料です。

レニーHCはリッチー・モウンガさんについて、7月には使うつもりはなかったとしつつ、南アフリカ遠征ではチームに入れて準備させる構想があったことを明かしています。ただし、現状ではモウンガさんの選考資格をめぐる問題があり、レニーHC自身も、現在の10番候補としてボーデン・バレットさん、ダミアン・マッケンジーさん、ルーベン・ラヴさんの名前を挙げています。

しかし、ここに関しては、得点だけで優越はつけられないので、他のスタッツをしっかり調べて誰が現時点で10番争いのトップに立っているか次回書きたいと思います。

タックル成功数で目立つ選手。

タックル成功数では、フォワードの仕事量がはっきり出ています。

TKハウデン:189(全体1位)
所属:ハイランダーズ

サム・ダリー:163(全体2位タイ)
所属:ブルーズ

クリスチャン・リオ=ウィリー:137(全体9位タイ)
所属:クルセイダーズ

ハウデンが189という数字を叩き出してます。ラインアウト獲得でも51で全体2位タイに入っており、守備量とセットピースの両方で大会上位の働きを見せています。

ダリーもラインアウト獲得51、タックル成功数163で、空中戦と守備量の両方で強い数字を残しています。

リオ=ウィリーも137で全体9位タイ。フォワードの仕事量を見るなら、押さえておきたい名前です。

まとめ

プロップについては、この9項目のランキングだけではかなり見えにくいポジションなので、ご要望があればまた書きますが、今回の9部門のスタッツを見る限り特出していると言えるのは、この選手達です。

・フェヒ・フィネアンガノフォ

トライ数:16(全体1位)
獲得メーター:905m(全体1位)
クリーンブレイク:21(全体1位)
ディフェンダー突破:45(全体3位)
得点:80点(全体7位)

・ケイレブ・タンギタウ

トライ数:7(全体5位タイ)
獲得メーター:640m(全体7位)
クリーンブレイク:18(全体2位)
ディフェンダー突破:43(全体4位)

・ジョシュ・モービー

トライ数:12(全体2位)
獲得メーター:610m(全体9位)
クリーンブレイク:13(全体7位タイ)
得点:60点(全体10位)

・ケイレブ・クラーク

トライ数:7(全体5位タイ)
獲得メーター:660m(全体6位)
クリーンブレイク:15(全体3位タイ)
ディフェンダー突破:32(全体10位)

・ティモシ・タヴァタヴァナワイ

キャリー数:139(全体2位/NZ勢1位)
ディフェンダー突破:79(全体1位)
オフロード:18(全体1位)

・レスター・ファインガアヌク

キャリー数:137(全体3位)
ディフェンダー突破:51(全体2位)
オフロード:16(全体3位タイ)

・クイン・トゥパエア

トライ数:7(全体5位タイ)
キャリー数:127(全体4位)
ディフェンダー突破:33(全体9位)

TKハウデン

ラインアウト獲得:51(全体2位タイ)
タックル成功数:189(全体1位)

・サム・ダリー

ラインアウト獲得:51(全体2位タイ)
タックル成功数:163(全体2位タイ)

・サミソニ・タウケイアホ

トライ数:9(全体3位タイ)
キャリー数:117(全体10位)

といった感じになると思います。間違いく言えるのは、攻撃面において、今シーズンフィネアンガノフォとタヴァタヴァナワイがとにかく驚異的であることがわかると思います。

しかし、数字は、選考の答えそのものではありません。今後タンギタウさんのように怪我も絡んでくるかも知れません。HCとコーチ陣のチームの方向性、好みなどもあるでしょう。

ただし、レニーHCの初年度においては、「しがらみがないと」言った以上この部門において、現状のスーパーラグビーで、オールブラックス選出へ向け手を挙げているのかを知る、かなり有効な手がかりになります。

今年、最初のスコッドとなる34人のメンバーの発表は、6月22日。果たしてどんな選出となるのか楽しみです。

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