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研究×申請書|研究の新奇性とは?|評価される書き方とビジネスにも通じる視点

これまでの「研究×申請書」シリーズでは、海外で研究を続けるためのフェローシップの活用法について整理してきました。
研究費を獲得し、キャリアを継続していくうえで、フェローシップは欠かせない制度です。

では、そのフェローシップや各種研究費の審査で、実際にどうやって採否が決まるのでしょうか?

重要な要素のひとつが「新奇性」です。
どれだけ計画が緻密で実行可能性が高くても、新奇性が弱ければ「ありふれた研究」として埋もれてしまいます。

一方で、新奇性を明確に示すことができれば、「この研究には投資する価値がある」と強く印象づけられます

でもその新奇性、こんな風に考えていませんか?

「世界初」と書けば伝わると思っている…
「未解明です」と書くだけで新しさを示したつもりになっている…
小さな改良を新奇性と呼んでしまっている…

実はこれらは、審査員には響かない典型的なパターンです!!

本記事では、この「新奇性とは何か」を整理し、申請書でどのように伝えるべきかを考えていきたいと思います!

※これまでの記事では、海外学振を代表に各種フェローシップについてまとめています。ぜひそちらもご参考にしてください。


申請書でよくある「新奇性の勘違い」

新奇性を意識して書いたつもりでも、審査員にはうまく伝わらないことがあります。ここでは、よく見かける3つの失敗例を紹介します。

1. 「世界初」を強調する

研究の世界では「世界初」であること自体は当然の前提です!
新しいテーマを扱っている以上、基本的に誰もやっていないことに取り組んでいます。

そのため「世界初」をわざわざ強調しても、新奇性のアピールにはなりません。むしろ「何がどう新しいのか」具体性が欠けている印象を与えてしまいます。

2. 「未解明です」を新奇性と捉える

「この分野はまだ分かっていないことが多い」「未解明な点が残されています」と書くだけでは、新奇性を示したことにはなりません!

それは研究全般に当てはまる一般論であり、あなたの研究がどのように新しいのかは不明瞭となってしまいます。

3. 小さな改良を「新奇性」と呼ぶ

例えば「従来の方法を少し改良した」程度では、新奇性は弱いと判断されます!

もちろん技術的な改良自体は価値がありますが、それを学術的意義に結びつけなければ、単なる既存研究の延長とみなされてしまいます。


申請書で新奇性を示す具体的な方法

では、どうやって新奇性を示すか。私が意識しているのは次の流れです。

1. 先行研究をレビューし、「現在地」を明示する

まずは分野の「地図」を描くように、これまでの研究を整理します。
「この分野ではA〜Cの研究が進んでいる。しかしDについては十分に解明されていない」、こうした書き方で、自分の研究がどこに位置づくのかを明確にします

例:
代謝研究なら、主要代謝経路は詳細に解明されているが、副経路に関する知見は限られている。

2. 課題点を具体的に示す

単に「未解明です」では弱いため、「既存のアプローチでは〇〇が解決できない」といった形で課題をはっきり示します。
課題の提示が曖昧だと、新奇性の根拠も曖昧になってしまいます

例:
従来法では代謝物の定量が困難であり、細胞全体の流れを捉えることができなかった。

3. 新しい視点・方法で切り込む

ここで「私は△△という異なる視点から、この課題に挑む」と宣言します。
視点の転換や方法の組み合わせによって、既存研究の流れに風穴を開けられることを伝えるのです。

例:
新しい分析機器や定量方法を開発し、これまで測定が困難だった副経路の代謝物を定量する。

4. 研究領域の拡張に結びつける

最後にこれが一番大事!
「この研究を通じて、〇〇学の新たな基盤を築く」といった形で締めます。

単発の成果で終わらせず、「新しい研究領域を切り拓く可能性がある」と結びつけることで、申請書全体の説得力が大きく高まります

例:
新しい分析機器や定量方法を開発し、これまで測定が困難だった副経路の代謝物を定量することで、副代謝経路を基軸とした生命維持システムのメカニズムを提唱できる。これは従来の「主要経路中心」の理解を大きく拡張し、新しい研究領域を切り拓く基盤となる。


新奇性がなければ始まらない

新奇性が弱いと「ありふれた研究」と見なされ、どれだけ実験計画が緻密でも評価は上がりません!

逆に新奇性が強いと、その研究は「学問の流れを変える可能性がある」と評価されます。

審査員は「この研究に投資する価値があるか」を短時間で判断します。そのとき、最も目を引くのが新奇性です。

ここで独自性を示せなければ、申請書全体の印象は弱くなってしまいます!

また学術研究の進歩は、単なる新しい事実の積み上げではなく、新しい視点の提示から生まれます。新奇性は研究者にとってキャリアの差別化にも直結する重要な要素です!


ビジネスにおける新奇性は市場を開拓する視点

研究費の申請書では「新奇性」を示すことが必須です。
ただ、この考え方は研究に限ったものではありません

実は、ビジネスの世界でも同じ発想が重要です!

たとえばスマートフォン。
従来の携帯電話は、カメラを付けたり画面を大きくしたりと便利にはなっていきましたが、あくまで「電話機の延長」でした。

一方でスマホは、携帯を少し改良するのではなく、「世界をポケットに入れる」ことを目的に設計されました。
インターネット接続やアプリストアを組み合わせることで、電話は「生活のプラットフォーム」へと姿を変え、まったく新しい市場が生まれたのです。

ビジネスでも同じことが言えます。
小さな改良では競争力は限定的ですが、新しい視点や発想の転換が市場そのものを変える

そしてそれこそが、持続的な競争優位や新しい価値を生み出す原動力になると私は思います。


まとめ

研究における新奇性とは、既存研究の延長ではなく、新しい視点で課題に挑み、研究領域を広げることです。

申請書では、この流れを明確に示すことで「なぜこの研究に価値があるのか」を伝えられます。

そしてこの発想は、研究だけでなくビジネスにも通じます。スマホが「電話の改良」ではなく新しい市場を生み出したように、新奇性は開拓精神そのものです。

新奇性を意識することで、研究もビジネスも新しい可能性が開けます!
そのことを意識しながら、ぜひ自分の挑戦を形にしてみてください!


いかがでしたでしょうか?
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次回は、申請書における各項目の繋がりについて考えてみます。


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ビジネスへの比喩(スマホで考える新奇性)

研究の「新奇性」は、ビジネスで言えば 「新しい市場をつくること」 に近いです。

スマートフォンを例にしてみましょう。
昔の携帯電話は、通話やメールなどの機能を少しずつ改良していました。
カメラが付いたり、画面がカラーになったり──もちろん便利にはなりましたが、あくまで「電話機の延長」です。

一方、スマホの登場は少し違います。
電話機にインターネット接続やアプリストア、GPSやセンサーなどを組み合わせることで、
「通話機器」から「生活のプラットフォーム」へと役割が変わりました。
その結果、まったく新しい市場=スマホ市場が立ち上がったのです。

研究も同じです。
• ちょっとした改良だけでは「既存研究の延長」に見えがちです。
• でも、新しい方法や視点を持ち込み、これまで見えなかった現象を測定できるようになると、
 研究の枠組み自体が変わり、新しい分野が生まれる。

これが申請書でいう「新奇性」にあたります。

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