仙台「同性婚」家事審判事件
2026/7/10 14:10
仙台家庭裁判所は、本日、小濵耕治氏とパートナーの男性が婚姻届の受理を仙台市太白区長に求めていた家事審判事件において、小濵氏らの申立てを却下する審判を出した。昨年9月末に、仙台市太白区長から意見書が出て、全ての主張立証がなされてから、実に9か月以上の時間を要した上での判断であった。
小濵氏らは令和6年2月6日に仙台市太白区長に婚姻届を提出していたが不受理とされたため、同年2月14日に家事審判を申し立てた。この申立ては、現行の民法・戸籍法の下で同性カップルの婚姻を認めることができるとするものであり、最高裁判所に係属中の国家賠償請求訴訟とは違ったアプローチから同性婚の実現を求めたものである。この審判で婚姻届の受理を求める審判が出されれば、法改正を待たずに同性婚の実現に道が開かれることになり、多くの同性カップルにとっても意義が大きい家事審判である。
今回の審判は「本件諸規定が異性(男女)間の婚姻を当然の前提としていることは明らかであり、同性間の婚姻の成立を許容していると解することは文理解釈の限界を超えるものであって採用することはできない」「仮に本件諸規定が異性間の婚姻のみを定めていることが憲法に違反すると解釈したとしても、申立人が主張する合憲的に解釈された本件諸規定や本件諸規定のうちの違憲部分を除いた合憲部分は、そもそも、同性間の人的結合関係に適用することができないものというべきであるから、本件諸規定の一部が適用されることを前提に、本件届出が婚姻の成立要件を満たす適法なものと解することはできない」と述べた上で、現行の民法は同性間の婚姻を認めていないとして仙台市太白区長には婚姻届を受理する義務は無いとした。
しかし、民法には、同性同士であることを婚姻ができない事由とする規定は無い。そういった形式的な根拠だけではなく、民法、特に家族法の分野が平成以降に何度も改正され、婚姻と親子の関係が切り分けられることによって、「子を産み、育てること」だけが婚姻の目的で無いことが一層明らかになってきた中で、同性カップルによる婚姻を排除する解釈をすべき理由が無くなっていること、また、そのような解釈は憲法13条、14条1項、24条1項及び2項に反することも、申立人らの主張の中心となっていた。
そうであるにもかかわらず、婚姻届の不受理を適法と判断した仙台家庭裁判所の判断には失望を禁じ得ないだけではなく、高齢となった小濵氏らの、早期に婚姻をしたいという切実な思いを理解しようとする姿勢が見られなかったこと、その結果、小濵氏のパートナーが、昨年末に逝去し、その思いを届ける機会が永遠に失われたことにも憤りを感じている。申立人らが再三にわたって、申立人らの意見を直接聞く機会を持つように求めたのにそれを行わなかった事実に、仙台家庭裁判所の姿勢が端的に表れているといわざるを得ない。
申立人である小濵氏も弁護団もこのような結論を受け入れることはできず、今後、その是正に向けて懸命に取り組む所存である。
令和8年7月10日
わたしたちはもう待てない―同性婚仙台家事審判事件弁護団
呼びかけに応えて下さった皆様に心からお礼を申し上げます。
この弁護団の代表電話に電話したことがある。
寄付して間もない日のことだった。
「同性カップルの家事審判で」と言いさして、一瞬で電話の向こうで空気が変わったのを感じた。おそらく窓口にはクレームが来るのだろうと察し、寄付をしたこと、彼らは大勢のゲイのためにそれをしてくれていること、応援しているとふたりに伝えて欲しいことだけを告げ、切った。
あの日はまだ希望があった。

