【名作】オーディブルできく小説 角田光代著『愛がなんだ』【おすすめ】
映画版でモヤる
あまり恋愛ドラマはみないんだけど、SNSで見て知って気になってアマプラでみました。
特別惹かれた作品、ってわけじゃなかったけど。
主人公のテルコ、なぜいまそれいった?とか。
テルコが片思いしてるマモル、おま何考えてんの?とか。
いちばん気になったのは、ちょっと年上のすみれの存在。マモルの片思いの相手。
映画をみ終えて登場人物たちのキャラや言動のディテールが掴めずモヤモヤ。
こりゃ原作をあたろうって流れに。
オーディブルで耳読
オーディブル、はじめました。
『愛がなんだ』の再生時間は5時間ちょっと。
オーディブルは5時間前後がききやすいです。
1日の移動中に1時間きいて。1週間で1作品。
キリがいい。
まずはオーディブルできくことに。
これは名作
オーディブル版の『愛がなんだ』。
「私はただ、ずっと彼のそばにはりついていたいのだ」――OLのテルコはマモちゃんに出会って恋に落ちた。彼から電話があれば仕事中でも携帯で長話、食事に誘われればさっさと退社。すべてがマモちゃん最優先で、会社もクビになる寸前。だが、彼はテルコのことが好きじゃないのだ。テルコの片思いは更にエスカレートしていき……。直木賞作家が濃密な筆致で綴る、〈全力疾走〉片思い小説をオーディオブック化!
オーディブルできく小説。
ほんとに良くてすばらしくて。
ひとことでまとめると、好きなとき好きな場所で朗読劇をきく贅沢。
そしてオーディブルは原作とナレーターのコラボ。
オーディブルはひとつの作品です。
ききながら感動しました。
今回は原作とナレーターの相性がいい。
ちなみにナレーターは佐伯 美由紀さん。
映画とオーディブルを独断と偏見で比較すると。
映画は湿度高め。都内の住宅街の一本奥の路地のにおいがする。キャストも演技が上手な方々が台本に忠実に演じている感じ。
原作の世界を映像としてたのしめる。
原作のアウトラインがわかりやすい。
一方でオーディブルはもっとカラッとした感じ。
ことばのテンポが心地いい。
主人公のテルコはとっても生き生きしてる。
ちょっと、いや相当変わっているけど、ものすごく空気を読みすぎる人だったんですね。
幼少期のクリスマス会のエピソードがよかった。マモルの言葉の裏側にある悪意もビンビンに感じつつ気づかないフリをしてました。
そしてとくにテルコの友人葉子とその母。
映画のイメージより感情のメリハリがあって。
葉子がテルコを怒鳴りつけるシーンとか。
やたら葉子母がテルコにつきまとう感じがとてもいい。
ちなみにナレーターの佐伯 美由紀さんの、葉子のセリフを言うときの声のトーンが個人的に好き。
僕はふだんテレビやラジオを1.5倍速できく習慣がある。1.5倍速に慣れてしまってフツーに聞くとスローモーションのように聞こえてもどかしい。
だから今回も1.5倍速で。それが原因だと思うけど、オーディブル版『愛がなんだ』はとてもテンポがよい。
テルコとまわりの人たちの掛け合いも漫才のようにたのしめた。
ただ原作は「◯◯っす」という言い回しがやや不自然。あえて狙って、なのかな。
以上、比較はこんな感じ。
原作をきいて、やっぱりテルコの恋愛観はいままで会ったことのないタイプで、でも本人がそれで良ければいいのかもしれない。多様性。でももし誰かに嘘をつきつづければ、つき続けるほどその誰かを傷つけてしまう。結末の先の未来もあまり明るくなさそう。
作品では圧倒的にテルコはマモルに報われない。
報われないんだけど、とにかくテルコのまわりの人たちが皆んなやさしい。
葉子も葉子の母も。バイト先の先輩も。高校の時の友人も。そしてマモルが一方的に好きなすみれも。みんなみんな、テルコに対してやさしい。
テルコがいつも危なっかしくてテルコのまわりに集まる人たちはテルコをほっとけない。だからことあるごとに彼女に気をかけて心配して話をきいてくれる。
とくに葉子の実家での葉子と葉子の母親とのやりとり。
葉子宅はまるでユートピアのような愛に満ちた場所に感じられた。
テルコ的にはマモちゃん以外のことはどうでもいい。でもテルコが思う「どうでもいいこと」のなかに奇跡のような愛の場所がある。まるで青い鳥の物語のように。
恋に仕事に疲れた人は『愛がなんだ』の葉子宅シーンをくりかえし読むと癒されますよ。
次回はキンドル版をチャレンジ
『愛がなんだ』はテルコの心情が見どころ。
だから個人的には映像よりも文字のほうが圧倒的に相性がいいと思う。
映像では省かれていたエピソードもよかった。
とくにテルコ学生時代の恋人のエピソード。マッチョで金欠で浮気癖がある男とのやりとりの延長上にマモルとの関係を見ると別の景色がみえてくる。
原作→映画版で微妙に設定をかえてるのには意味があるのか。
マモルの友人の別荘に原作ではマモル、テルコ、すみれの3人しかいってない。映画版では「なかはら」もいて、その後のなかはらの決断にも別荘のエピソードが関係していたり。そもそも原作で「なかはら」は写真家じゃないし。
筑前煮も原作ではバイト先の先輩がもたせたもの。葉子の母がつくったものではない。
などなど。制作上の都合かもしれないけど。
でも小説の映像化ってわりとこういうことがある。
僕はこのような変更点が効果的だったケースをあまりしらない。
映画。オーディブル。そしてキンドル。
今回はオーディブル課金中だったから、おなじ作品をみくらべてみるチャンス到来。
とくに今回の小説をオーディブルできく、は新鮮で楽しかった。
次回はキンドルで読んでみる。
声と文字の差異をたのしみたい。
おまけ。
オーディブルは入眠前とも相性がいい。
タイトルが最高に好きな作品。
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