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川の街リュオーレの物語② 小景(1) 季節が行き交う日

丘へ向かう細道は、弧を描きながら畑を抜け、
木々の中を上っていく。

昔は、この先に茶畑が続いていたという。

今は、わずかばかりのお茶の木と、
収穫を終えた果樹が残るばかりだ。

ハルナギは、夕暮れの道を歩いていた。

やがて道はふたつに分かれる。
ひとつは、ハルナギが暮らす小屋へと丘を上り、
もうひとつは、西にそびえる山々へと続いている。

分かれ道の右脇に、小さな石の祠があった。

ずっと前に作られたのだろう。

隣に立つ木よりも昔から。

はじめは、ただの石のように見えた。

ある日、石のくぼみに花が置かれているのに気づいた。
近くに咲く季節の花だ。

ここが誰かの特別な場所なのだと思った。
ハルナギも、ときどき花を置くようになった。

今日は、黄色い花が供えられている。
祠にそっと目礼し、そのまま小屋へ向かう右の道を進んだ。

冬の寒さが戻ってきたような一日だった。

それでも、市場にはもう春の色が並んでいた。

八百屋の前を通ったとき、
女主人が野菜を包んでくれた。

苦みのある菜っ葉だ。

昨日作った根菜のスープに加えてみよう。
季節が混ざった味になるかもしれない。

小屋にたどり着いた。
庭から街の方角を眺めた。

日が落ちた暗がりのなかで、
遠くぽつりぽつりと小さな明かりが見える。

その中に、西の橋の灯りもあるはずだ。


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リュオーレの物語は、静かに続いていきます。
第1話の最後に、各話への道しるべを置いています。

川の街リュオーレの物語: 第1話 橋守|湖上珊歩