駐在夫のアイデンティティ・ロス|海外帯同で失ったキャリアと自分

こんにちは!家事や育児をしながら、イギリス大学院へのオンライン留学に挑戦している駐在夫Takaです。

妻の海外赴任に帯同し、スイスでの生活を始めてから2年が経ちました。

この間に強く感じたのは、「駐在夫」という立場がもたらすアイデンティティ・ロス(自己同一性の喪失)です。

日本で積み上げてきたキャリアや社会的な役割が一度リセットされ、「自分は何者なのか」が分からなくなる感覚に直面しました。

このnoteでは、駐在帯同によって起きたキャリア喪失、スイスでの生活適応、そしてイギリス大学院での学びを通じた再構築のプロセスを整理しています。



人生の半分を組織人として生きてきた自分

私は大学卒業後、長期間にわたり大きな組織で働いてきた。そこでは「組織名+個人名」という形で社会的なアイデンティティが成立していた。

名刺、肩書き、部署、同僚。

これらが自分の存在を明確に定義しており、「〇〇組織のTaka」として社会に認識されることに疑問を持つことはなかった。

つまり、自分のアイデンティティは「組織に所属していること」と強く結びついていた。


スイス帯同で起きたキャリア喪失とアイデンティティ・ロス

スイスへの帯同生活が始まると、その前提は一気に崩れた。組織という所属先は消え、社会的肩書きもなくなった。

現地での自己紹介は「Taka」もしくは「妻の夫」「子供の父」という家庭内ロールに限定される。

いわゆる駐在夫としての生活は自由度が高い一方で、「社会的に何者でもない状態」を人生で初めて経験した。

そして、これは想像以上に強いアイデンティティ・ロスにつながった。

日本で当たり前だった「組織人としての自分」が消えたことで、自分の存在価値や役割を説明できなくなる瞬間が増えていった。


駐在夫として直面した海外生活の壁|家事・育児と自己効力感の低下

スイス生活では、日常の多くが初めての経験だった。

特に家事・育児の領域は、それまで深く関わってこなかったため、スムーズにこなすことができない場面が多かった。

料理、学校とのやり取り、生活インフラの調整など、すべてが試行錯誤だった。

結果として「できないことが多い自分」と向き合う時間が増え、自己肯定感の低下にもつながった。これもまた、駐在妻帯同における見えにくい課題の一つだと感じる。


イギリス大学・大学院進学によるアイデンティティの再構築

転機となったのは、スイスからイギリス大学院にオンラインで通い始めたことだった。

大学院生という明確な社会的役割を再び持つことで、「評価される軸」と「所属」が再び生まれたのだ。

課題提出やクラスメートとのディスカッションを通じて、自分の思考を言語化し、自分以外の人や外部からのフィードバックを受ける環境は、失われていたアイデンティティを再構築するきっかけとなった。

完全な回復ではないものの、「何者でもない状態」から「学習者としての自分」へと再定義されることで、アイデンティティの空白は徐々に埋まっていき、現在に至っている。


まとめ|駐在夫のアイデンティティは固定ではなく再構築される

駐在夫としてのヨーロッパ生活は、キャリアの喪失と引き換えに、新しい自己理解を迫る経験でもあった。

アイデンティティは固定されたものではなく、環境・役割・所属によって常に再構築されるものだと実感している。

スイスでの帯同生活は、それを強制的に可視化した時間だった。

「失った」のではなく、「一度ほどけ、再び結び直している途中」という表現の方が近いのかもしれない。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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