【前編】「エルメス」の強さとは?|定量分析編
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別格のラグジュアリーブランド —— 1837年に母体企業が設立され、1867年パリ万博での馬具部門銀賞受賞をきっかけに貴族御用達のブランドとしても名声を得たフランスのエルメス・インターナショナル社(以下、エルメス)。
現代でもエルメスの価値創造力は金融マーケットから非常に高い評価を受けているほか、経営学の題材として扱われることもあります。同社の強みを理解することは、ラグジュアリーブランドに限らず他の企業を分析する際の助けにもなるでしょう。
PBR 14倍超
まずは、エルメスが金融マーケットから別格の評価を受けていることをイメージしやすいように株価と株価純資産倍率(PBR)の推移から見てみましょう。
エルメスの株価は過去20年間で57倍に上昇。切り取る期間でパフォーマンスは変わるものの、他のラグジュアリーブランドと比較して株価の上昇が目立ちます。

以下のグラフは2009年から2024年までの年末時点におけるPBRの推移です。なお、プラダは香港証券取引所に上場した2011年以来のデータをプロットしているほか、シャネルは非上場企業なので以下のグラフから除外しています。

筆者作成
エルメスのPBRは24年末時点で14倍超。他社と比較して突出して高い評価を受けています。また、他社の多くはパンデミック発生後の金融緩和期にPBRが上昇した後、2022年から2023年までの世界的な利上げサイクル期に失速し、その後は欧州中央銀行が利下げに転じた2024年においてもPBRの低下傾向が続いていますが、エルメスは2022年を底にしてPBRが上昇基調に戻りました(リシュモンのPBR推移も悪くはありませんが、エルメスとは水準が大きく異なります)。
なぜ、これほどまでにエルメスは市場から高い評価を受けているのでしょうか?
話が難しくなりすぎないよう、前半のこの記事では業績をもとにグラフなどを使いながら分かりやすく定量的なデータを比較します。後半の記事(ドクタープラン限定)では分析に少々コツが必要な定性的な情報として、エルメスのビジネス戦略やガバナンスの特徴をなるべく平易に解説します。
なお、この記事ではあくまで過去の業績推移をベースにした分析を行いますが、金商法で禁じられている売買判断の材料になり得るような「株価の将来予想」や「理論株価」、「割高・割安」等の話は含みませんのでご容赦ください。
また、私はエルメスの株主なのでポジショントークと思われるかもしれませんが、この記事で皆さんにお伝えしたいことは「エルメスの経営が素晴らしいから、エルメス株に投資した方がいい!」ということでは全くありません。中長期的な価値創造を実現する優れた経営とは何か?という普遍的かつ定性的な情報を分析するための切り口をご紹介し、他企業の経営分析などに活かしてもらうことを意図しています。実際の経営学のように抽象的な話が多くなると一般の方には分かりにくくなるでしょうから、今回のエルメスは具体的な事例のひとつとして捉えてください。参考になれば幸いです。
ドクターメンバー向けにこの記事の音声概要をディスコード(【池田投稿用】noteアップ告知チャンネル)で共有します(試験運用中)。また、エルメスの株主になった経緯については6月29日(日)20時から行うドクタープラン限定配信でお話しします。
後編はこちら↓↓
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