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【旅日記#1】のんびり出かけただけなのに、オホーツクの厳しさを思い知らされた早春の週末

大学時代の友人・Sくんから、温泉に行きたいと誘いを受けた。そこで、軽いドライブを兼ねて美幌町びほろちょうにある私の行きつけの湯に行くことになった。今回はその模様をお送りしよう。


2025年3月30日(日)

12:20 出発

懐かしのキャンパス前でSくんを車に乗せる。先月にもこうして出かけた仲だが、この春から4年生になるという彼が、よくぞ1年しか通わなかった私と未だに遊んでくれるものだ。素晴らしい縁の巡り合わせに感謝である。風こそ強いものの暖かな青空はまさに春模様といった感じで、のんびりドライブするには最高の日和だろう。

さて、温泉の前にまずは腹ごしらえということで、とりとめのない話をしながら車は北見市街を抜け津別町つべつちょうへ向かう。道道27号北見津別線は全線を通して非常に走りやすく、開成かいせい峠にて市町界を越える。

開成峠頂上の写真
開成峠頂上(2022年7月撮影)

ここを境に常呂ところ川水系から網走川水系となり、北見側は峠の麓まで集落が点在するのに対し、津別側はしばし深い森の中を走ることになる。
標高は227mと高くはないけれども、駐車場とトイレを備えるうえ切り通しになる前の旧道も残っており、峠らしさがコンパクトに詰まった隠れスポットだと勝手に思っている。


13:00 津別町で昼食

私が津別に来たら必ずと言っていいほど訪れるのが「つべつ西洋軒」だ。創業からおよそ1世紀にわたり愛され続ける、まさに地元の名店である。
国道沿いではないので初見では少し探すかも知れないが、1985(昭和60)年に国鉄相生あいおい線が廃止されるまで、ここは駅前通りだった。店の歴史の長さを考えれば、納得の立地と言えよう。

つべつ西洋軒の外観写真
白いのれんが営業中の証(2020年10月撮影)

さすが木工が盛んなまち、内装には木がふんだんに使われており温かい雰囲気も魅力のひとつ。今日は日曜で、時間帯も相まって結構な賑わいであった。幸い待つことはなく座れたので、早速注文しよう。

メニューは色々あるが、私とSくんは塩ラーメンを選択した。具材はチャーシュー・メンマ・長ネギ・わかめとシンプルで、すっきりとしたスープと細麺がよく合っており、もはや何度これを食べたかは分からないがその度に感動を覚えるほど。素人があまり語っても仕方ないので、味のこだわりについて詳しくはつべつ西洋軒公式HPを参照していただきたい。

つべつ西洋軒の塩ラーメンの写真
飾らない優しい味に、思わずまた足を運びたくなる

美味しさのあまり、あっという間に平らげる私。いつもは大盛りにするのだが、今日は普通盛りでちょうど良かった。Sくんの口にも合ったようで、二人とも満足である。

店を出ると、先程まであったのれんが外されていた。そういえば食べている時、厨房から「なくなった」という声が聞こえてきたので、仕込んである材料が盛況のため切れたのだろう。あと少し遅ければ、我々も危ないところだった。


13:45 津別町でまったりタイム

続いて最近開業した複合施設「ウッドリーム」に立ち寄る。以前ここにあったスーパーマーケット「グリーンマートつべつ」とカフェ・図書館・バスターミナルが一体となった町民の憩いの場で、食後はここか国道を挟んで向かいの「さんさん館」でくつろぐのがお気に入りである。

ウッドリームの外観写真
「ウッドリーム」外観。空が曇ってきた
ウッドリームの休憩スペースの写真
開放感がある休憩スペース。図書館は階段を上った先

外がよく見える席で談笑しているとバスがやって来た。ただ一人の男性客を乗せ、バスは走り出す。公共交通の存続が危ぶまれる昨今、こんなよくある光景ももはや当たり前ではなくなりつつある。
そんなご時世の中でバスターミナルの整備に公費を投じた津別町は素晴らしいと思う。採算性は厳しいはずだが、路線バスを残して地域住民のニーズに応えようという姿勢が事業から感じられるのだ。

津別バスターミナルの時刻表
バスの案内も分かりやすい

人口は確かに減少の一途をたどっているものの、津別町が衰退しているとはあまり感じず、むしろ活気がある印象を受けるのはこの町民本位の町政ゆえかも知れない。我らが網走市にも見習ってほしいものだ。

それから話題はSくんの今後についてになった。すでに地元の企業に内定が決まっていて、あとは卒業論文を提出するのみ。ここまで順調に来た優秀なSくんならば留年はしないと思うので、北海道に居るのは残り1年。
となれば今年のうちに北海道各地を共に回っておきたい。さらに、彼が就職して落ち着いたら今度は私が向こうにお邪魔させていただく話ももう上がっており、楽しみはどんどん広がっていくばかりである。


14:45 美幌町でひとっ風呂

津別に着いた時は6℃もあったはずなのに、気付けば風雪が吹きつけてきた。どうやら春とはまだ名ばかりだったらしい。油断してサイドブレーキを引いて駐車していたので、速やかに出発する(私の車は、寒冷時は1速かバックに入れてエンジンを切った後クラッチを繋いで停めるようにしないと、サイドブレーキが凍結して走れなくなることがあるのだ)。

雪の降り方自体は弱いものの、この寒々しい風景はいかにも最果ての北国といった雰囲気である。私は生まれて以来ずっとこれを見て育ったから特に何も思わないが、西日本出身のSくんにとっては半分異国のようにも感じられるという。
自分の中での当たり前が、他人からすれば特別なことかも知れないし、逆もまた然り。どんな土地にもそこに住んでいる人がいて、その人たちの日常がある。ただ行って「すごいな」で終わるのではなく、そこでの暮らしや人々の営みなどにも目を向ければ、全ての体験がより心に残るものになるだろう。私もその精神を忘れずに旅を続けていきたいと改めて思った瞬間であった。

峠の湯びほろの外観写真
美幌はそこまで雪が降っていなかった

そして車を走らせること20分、今日の目的地「峠の湯びほろ」に到着。日帰り入浴がメインとなる施設だが、お食事処・寝袋を持ち込めば泊まれる簡易的なログハウス・キャンピングカー用の車中泊スペースなどが揃い、アウトドアの拠点にもってこいである。

入って左手には特産品の販売コーナーもある

入浴料金は大人600円。ここの男湯と女湯は日によって入れ替わるようで、奇数日は左側が男湯なのに対し、偶数日に来ると決まって右側となっている。左右で浴槽の種類に少し違いがあるが、今回は右側を紹介する。

浴場内の天井は高く、開放感がある。内湯は通常のものとジャグジー・ジェットバス・薬湯があり、サウナ・ミストサウナ・水風呂も完備する。露天風呂は静かで、裏手に広がる森の景観には高いリラックス効果がありそうだ。
地元のお年寄りから行楽客まで、来訪者は近隣に比べて多めだが、洗い場の数に不足は感じない。ボディソープとリンスインシャンプーは備え付けのものがあるので、別途レンタルする必要がないのは嬉しいところ。

気の置けない友人といるとつい長湯をしてしまいがち。ちょっとのぼせかけてきたので上がって休もう。なお脱衣場のドライヤーは無料で利用できる。休憩スペースは広々としており、自販機のほかアイスクリーム・フロートなどが頂けるコーナーもある。

峠の湯びほろの休憩スペースの写真
自然を眺めながらくつろげる空間
瓶を見つけるとつい選んでしまうのはなぜだろう

以上が施設の概要である。今回は泉質には触れなかったが、本稿執筆中に温泉ソムリエ認定セミナーに参加してきたので、後日その知見を活かしてレポートしたいと思う。


17:30 緊急事態発生!

温泉でのんびりした後は、美幌町内で夕食を頂きSくんを北見に送り届けて解散という流れで考えていた。そろそろ良い時間かなと出たところ、外はなんと猛吹雪となっていた。

数十メートル先も見えないほどの吹雪の写真
写真では伝わりにくいかも知れないが、
数十m先すら見えないほどだった

まっすぐ網走に帰るだけならまだしも、この状況で北見を経由する、すなわち2回の山越えをするのは自殺行為である。幸い17時51分に美幌駅から北見へ向かう列車があったので、急遽Sくんはそれに乗って帰ることになった。

吹雪の中の車窓の写真
上の写真から数分後。
早くも路面に積雪が(Sくん撮影)

ここから駅まではそれなりの距離がありギリギリの時間になってしまったが、なんとか乗ることができたという。私も18時35分に網走に着き、とりあえずお互い無事に帰れて何よりだ。

余談だが、そんな激しい雪も21時頃に止み、翌日には何事もなかったかのように溶けてしまった。オホーツクの気候には長年住んでいてもたびたび驚かされるものである。果たして、今年はいつになったら本当の春が訪れるのだろうか。


今回は以上になります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
北海道を拠点に旅や温泉の記録などを書いておりますので、よろしければこちらもご覧いただけると幸いです。

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