【事件】オホーツク初、道内3例目の道の駅廃止!地方を取り巻く環境の変化とこれからを考える
時は2025年12月19日。仕事終わりにふとスマホを見ていると、衝撃のニュースが目に入った。
道の駅が、なくなる!?
年の瀬も近づき、先日オホーツクを襲った大雪の影響も相まって多忙を極める今日この頃であるが、その情報を見た瞬間、私の全意識がこのことに集中した。
物心ついた時から道の駅を愛してやまない私にとっては由々しき大事件であり、しかもそれが母ゆかりの地・オホーツクは遠軽町の出来事だというから只事ではない。
何かの間違いであってくれと願いながら検索を続けるも、町公式を皮切りに道の駅連絡会、各種報道機関といろいろな所からの発信があり、この事実が確かなものであることをいやがおうにも認識させられた。
幼い頃からその賑わいを知っていて、私の以前のnoteにもちらっと登場した地元の道の駅だからこそ、そのショックは大きかった。
そこで今回は、この度廃止された道の駅を主題に、観光や交通をめぐる地方の現況と課題、そして今後の未来についての個人的な所感を取り急ぎ綴っていきたいと思う。
道の駅「まるせっぷ」の概要
オホーツク西部の山あいに位置する遠軽町丸瀬布地区(旧・丸瀬布町)。その街外れにある道の駅「まるせっぷ」は、旭川と遠軽を結ぶ主要な道路ながら山深く沿線人口が僅少な国道333号において貴重な憩いの場として重宝する場所。
オープンは1994(平成6)年、通し番号は道内131駅中15番というかなりの古参で、最盛期には年間で100万人に迫る来客が訪れるほどの人気施設だった。

入口に並ぶのぼりが当時の活気を物語る
(2019年9月撮影)
独特な形が目を引く緑の三角屋根はメイン施設の「木芸館」といい、360度どこを見渡しても木に囲まれた温かみのある雰囲気と自動演奏のピアノが旅の疲れを癒してくれる。
店頭には木のおもちゃなど触って楽しめる木工品も多数揃っており、旧町域の9割以上を占める森林の恵みがふんだんに詰まった空間なのだ。

館内にはカフェもあり、リラックスムードは満点
(2025年8月撮影)
さらに別棟のレストラン「フォレスト」では地元の山菜を使ったメニューをはじめ、こちらもほっとするような食事をいただくことができた。末期には営業を休止してしまっていたが、この先には北見峠というオホーツクと旭川方面を隔てる難所の山越えがあるから、現役当時にはさぞ多くのドライバー達がここで英気を養ったことだろう。
なぜ廃止されてしまったのか?
道内に登録された131の道の駅のうち、現在までに登録取り消しとなったのは「まるせっぷ」のほか「足寄湖」「フォーレスト276大滝」の計3駅とごくわずか。遠軽町の発表によると、廃止の理由は次のように説明されている。
利用者数の減少や町の財政負担の観点から「管理方法の見直し、民間事業者への貸付け、売却等を検討する」との方向性が示され、町ではこれを受け運営方針を検討した結果、道の駅の廃止決定に至ったところです。
(遠軽町公式HP)より引用
つまるところ「お客さんが来なくて赤字だから」ということだが、日本全土に普及した道の駅は、もはや地域のインフラとも呼べるほどの存在となっている。その中でこうして廃止の決断を下すとは、よほどの事態に違いない。
あれだけの魅力を持ち人気を誇った道の駅がそれほどまでに客足が遠のいてしまうなんて、いったい丸瀬布に何があったのかを紐解いていこう。
この件について特に大きな影響を与えたのは、旭川紋別自動車道の延伸だと私は思う。
旭川紋別道はその名の通り旭川方面と紋別方面を結ぶ高規格道路で、北見峠の険しい山道をパスして安全かつ速く往来できる、非常に頼もしい道路である。私も遠くに出かける時は、いつも大変お世話になっている。
しかし、人々の移動が便利になることは、その間にある小さな町たちの関係人口を極端に減らすことにもなった。事実、近頃の下道はいつ見てもびっくりするほどガラガラで、かつては「いつも通るついでに立ち寄っていく場所」として親しまれてきた道の駅も、今ではどうしても素通りしてしまいがちに。
さらに丸瀬布にとって向かい風なのが、町内にあるもう2つの道の駅だ。
白滝地区(旧・白滝村)にある道の駅「しらたき」は道内唯一となる高速道路のパーキングエリアにある道の駅で、長いトンネルが続く山越えの麓という立地も手伝って、多くのドライバーの休憩スポットとしての根強い需要がある。

最近は出来たてのパンが味わえるお店も出店。
規模は大きくないが、高速から降りなくて良いのが◎
さらに、2019年には遠軽地区の道の駅「遠軽 森のオホーツク」もオープン。現時点での旭川紋別道の終点である遠軽ICから非常に近く、広い駐車場はいつも大勢の観光客たちでごった返している。スキーにジップラインと他にはないアクティビティ要素もあり、ここ自体を旅の目的地とする人も数多い。

EV充電器に冷凍食品の自販機、そのうえ足湯まで!
このように、高速道路の開通によるそもそもの交通量の激減に加え、高速ユーザーの支持を集める後発の道の駅が近隣にできたため、以前「まるせっぷ」に訪れていた層の大半がそちらに流れてしまったことが推測される。
特に「遠軽 森のオホーツク」ができてからの利用客の吸われ方は凄まじく、オープン初日から早くも丸瀬布の今後が心配になったほど。
それからまさかわずか6年でこのような幕引きになるとは思わなかったが、交通の変革と新たな競合がもたらす地域への影響は、思った以上に大きいものであった。
北海道の道の駅の今とこれから
道内に現存する道の駅は128駅(2025年12月現在)。土地ごとに趣向を凝らした駅たちは見て回るだけでも面白く、スタンプやマグネットなどたくさんの場所を巡りたくなる要素も用意されており、道の駅に行くことを目当てに旅をする人も少なくない。

カントリーサインマグネットを集めることが趣味。
写真は去年のものだが、現在の訪問達成率は9割ほど
しかし、道の駅巡りを始めて16年、こうして長い年月をかけて色々な地域を見ていると、繁盛している所とそうでない所の差がだんだん広がってきているような感覚がある。
この広い北海道のことだから地理的なハンディはもちろんあるだろうが、スマホで何でも簡単に調べることができ、誰もが体験をありのままに共有できるようになった時代の流れもまた大きな要因ではないだろうか。
昨今のネット社会における人々の関心といえばやはりSNS。そこで話題となった場所は多くの人が訪れ、そして発信も増えてどんどん盛り上がっていく反面、特定の所に人気が偏ってしまうことも懸念される。せっかく魅力があるのに知られる機会が少ないために客足が伸び悩んでいる所もあるだろうから、その辺りのバランスは難しいところだ。
そして、依然として数を増やし続ける道の駅の展開についてだが、今後はそこまで増えないのではないかというのが私の見解である。
北海道に道の駅が初めて開業したのは1993(平成5)年とすでに30年以上前であり、そろそろ施設の老朽化も気になってくる頃。
今もいくつかの自治体では新規オープンに向けて事業が進んでいるけれども、ここ数年は新しくできるよりもリニューアルする道の駅の方が多く、これまで述べた利用者数の格差や維持コストも考えると、役目を終える駅もさらに出てくるはず。
2022年の2駅とこの度の「まるせっぷ」の廃止は、その皮切りとなる出来事と言ってもいいだろう。これからは一つ一つの魅力と発信に磨きをかけ、“数で広げる”から“質を深めて整理する”という方向へシフトしていくに違いない。
最後に
というわけで、今回は地元・オホーツクにあった道の駅の廃止を受け、私個人の道の駅に対する考えをまとめてみた。
あくまで素人の考察なので実際とは異なる部分もあるだろうが、地方の交通や観光のあり方が転換期を迎えていることは確か。人口減少や財政難といった課題も重なり一筋縄ではいかない状況になっているものの、そのような中でいかに地域を彩る魅力的な場所を作っていくかがこれからの見どころだと思う。
ここまで色々と書いたけれども、私自身も田舎に住む者として、それぞれの地域の営みがより良いものになることを何より願っている。この記事が読者の方々にとって少しでも地方に関心を持つきっかけになれば、それより嬉しいことはない。
道の駅は地域の表情を映す鏡。
もし今後あなたが道の駅を訪れる機会があれば、景色や名物だけでなく、その土地の背景などにもぜひ目を向けてみてほしい。
今回は以上になります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
北海道を拠点に旅や温泉の記録を書いておりますので、よろしければこちらもご覧いただけると幸いです。
