見出し画像

【旅日記#6】第2の故郷でのんびりと。佐呂間・遠軽で、田舎の元気に触れたある夏の日

以前、私は北海道・オホーツク管内の各市町村で配布されている「オホーツクキャラクターカード」を集めるべく紋別地方を回ってきた。

その後も着々とカードの収集を進めており、お盆にも帰省を兼ねて2枚をゲット!今回はその時の模様をお届けしたい。


2025年8月9日(土)

10:30 出発

GWもそうだったが、例によって私の会社に長期の休みはないので帰省といっても普通の土曜日である。
あえて目覚ましはかけずに、のんびり起きて支度ができたら出発。気合いの入った長旅もいいが、近場ドライブの日ならではのゆるい朝も捨てがたい。

まずは国道238号を西へ。この路線といえば網走から稚内まで延々と続くオホーツク海のイメージが強いものの、意外と内陸寄りを走る区間も多く、沿道には網走湖や能取のとろ湖、牧場に畑と海は見えずとも北海道らしい自然豊かな光景が広がっている。

網走市 国道238号からの能取湖の写真
沿線にはかつて国鉄湧網ゆうもう線が走っていたが、
今はサイクリングロードになっている(2019年6月撮影)

そして常呂ところを過ぎると、道内最大の面積を誇るサロマ湖を間近に望める分岐がある。そこからの眺めはさながら海のような雄大さだが、今日はあいにくの曇天のためパスすることにした。
この辺りは学生時代によく自転車で来た思い出がある。気が向いたら、当時の日記なんかも引っ張り出して投稿してみようかな。


11:40 佐呂間町

道道103号に進路を移し、相変わらずの農村地帯を進んで行くと佐呂間町さろまちょうの市街地にたどり着く。一番大きな店はホームセンターというのが、いかにも田舎町らしい。

佐呂間のキャラクターカード配布場所は町の交流施設「さろま〜る」。メインストリート沿いではないものの、セブンイレブンのある角を曲がってすぐなので迷うことはないはず。

佐呂間町 さろま〜る前
外装や看板はシンプル。
軒先にあるかぼちゃの馬車が目印

駐車場が入れないようになっていたためやっているのか心配になったが、人の気配はある。どうやら舗装工事をしたばかりらしい。ひとまず向かいにある役場に車を停めさせていただき、さっそく入ってみよう。

その雰囲気はまさに小さな町の観光案内所といった感じで、所狭しと並ぶポスターやTシャツがこじんまりとした建物を彩っている。

佐呂間町 さろま〜るの観光案内所
頭骨とメロンって、どんな組み合わせ⋯?

中には女性スタッフがひとり。キャラクターカードが欲しいと告げると、佐呂間のおすすめスポットが載ったパンフレットも同時に下さった。道路側には落ち着いてくつろげるスペースもあり、町に関する本や資料が並ぶほか、リモートワークにも活用できる。

佐呂間町 さろま〜るのコミュニティスペース遠景
あまり広くはないものの、
気分転換や作業にはぴったりだろう

その中でも面白かったのが、30年以上にわたって町を盛り上げた「シンデレラ夢まつり」の歩みを振り返る冊子。企画の立ち上げから開催に至るまでの関係者の奮闘などが会話形式で綴られており、彼らの地域振興に対する情熱がありありと伝わってくる短くも引き込まれる読み物であった。
現在はコロナ等により祭りの伝統は途切れてしまったというが、これを読んでいる間にも若い世代の事業者が訪れて話をする様子が見受けられ、今後の動向にも期待が持たれる。

さて、何だか真面目な話になってしまったものの、ここでキャラクターカードの紹介といこう。
ここ佐呂間町のキャラは「モモちゃん」で、その姿はズバリかぼちゃそのもの!手にはサロマ湖のホタテを持っており、シンプルながら農産だけでなく水産も盛んなのがよく分かる。

佐呂間町のオホーツクキャラクターカードの写真
カントリーサインもかぼちゃのキャラだが、これは別人。
モモちゃんの方が愛嬌がある

かぼちゃなのに何でモモ?と思ったら、どうやら佐呂間町開基100周年にちなみ「ももちゃん」という名前がついたらしい。カードではカタカナの「モモちゃん」、町の公式HPではひらがなの「ももちゃん」と表記が安定しないが、まさか漢字まであったとは。
性別不詳の19歳という点も含め、何かとツッコミたくなるポイントが多い。

生まれは1994(平成6)年と古株であり、道の駅やマンホールをはじめ町内各所で見かけることができる。今年10月からはその名を冠した公共ライドシェア「ももちゃんタクシー」もスタートし、今も変わらず町民からの支持が厚いことがうかがえる。

そして正午を回ると、続々と人と車が動き出した。昼休みの社会人に、部活終わりの学生。大きな防災無線の音と共に、人っ子ひとりいなかった街に一気に賑わいが生まれるこの瞬間がいい。
旅をしているとつい特別なものばかり気になってしまいがちだが、田舎だからこそ、観光地を巡るだけではなかなか見ることのない現地の日常を観察するのもまた面白いものである。


13:30 遠軽町

次に向かうは遠軽町えんがるちょう。佐呂間とは隣町だが、ここは十勝管内足寄町あしょろちょうに次いで全国で2番目に面積が広い町。平成の大合併までは4つの町村に分かれていて、特に今回目指すカードの配布地の旧・白滝村しらたきむらはその中でも最奥部にあるので、その道のりは車でも1時間を超える。

国道333号には並行してE39 旭川紋別自動車道が伸びており、遠軽ICを過ぎると下道はこれまで以上にガラガラになった。交通の難所として名高い北見峠へと近づくにつれ周囲の山も険しさを増してきて、どこか幽玄な雰囲気すら感じられるよう。

道の駅 まるせっぷの外観写真
道中にあった、特徴的な外観の道の駅「まるせっぷ」。
最近は遠軽の人気に押されているが、
温かい空気感と多彩な木工品が目白押し

(追記:道の駅「まるせっぷ」は、2025年12月19日をもって登録取り消しとなりました。
昨今の人出の少なさには心配しておりましたが、事実採算が厳しく運営が困難になってしまったとのことです。詳しくはこちら↓)

やって来たのは役場支所に併設する「遠軽町白滝ジオパーク交流センター」。白滝は黒曜石や旧石器時代の遺跡が多い地域で、その出土品はなんと日本最古の国宝に指定されているのだからすごい!

白滝ジオパークの中核となる施設だけあって、
人口3ケタの秘境の村ながらかなり大々的

館内は2階建てで、1階の展示はすべて無料で見ることができる。無料といってもその内容は非常に充実していて、火山活動や地質学の観点から白滝・遠軽周辺の成り立ちを学べるほか、質が高く希少な岩石もたくさん。

特に注目すべきはやはり黒曜石(別名:十勝石)で、他の岩石とは一線を画する独特の輝きに魅了される。なんでも、これは岩石中に多く含まれるガラス成分によるものらしい。そのため断面は大変切れ味が鋭く、昔の人は狩りなどに重宝したそうだ。

遠軽町 白滝ジオパーク交流センターの黒曜石の展示
白滝ジオパーク公式ホームページより引用

同行していた遠軽出身の母は「小学校の時に十勝石でやじりを作って魚をさばく授業があった」と当たり前のように言っており、昔から触れていたものがこうして展示されていることに感慨を覚えていた。ここの2階でも石器や土器の加工・製作体験ができるが、学校でやるとはさすが地元!

素人目線では地質学というものはなかなか難解なものだと思うけれども、子どもにも分かるように丁寧な説明がなされているため、誰でも楽しく理解を深めることができるのが魅力。
はるか昔から続く大地の営みを前に、こうして今を生きていることがいかにちっぽけで、そして尊いものであるかを改めて感じるひとときだった。

そしてキャラクターカードについてだが、遠軽町は「アンジ君」「こけもも姫」で、両方とも白滝ジオパーク由来のキャラ。なるほど、それで他の地区では配られていなかったのか。

遠軽町のオホーツクキャラクターカードの写真
シンプルなアンジ君と、華やかなこけもも姫が対照的。
2人が兄妹なのは初めて知った

他の地区にもゆるキャラはいる中、ここまで白滝を全面に打ち出してくるなんてすごい推しようだ。地域のイベントなどにもよく遠軽代表として参加しており、今やすっかり町の顔となっている。

市町村合併と高速の開通が重なり一般的にマイナーな場所と言わざるを得ない白滝だが、彼らのおかげで白滝を知り、足を運ぶきっかけができた人も多いはず。これからの時代、ここに輝く類稀な地質と自然の魅力の発信、ひいては地域の活性化には欠かせない存在と呼べるだろう。


14:20 白滝で昼食

そういえば、昼食がまだだった。
何かお店はないかと白滝市街を軽く流してみるが、メインストリートはものの見事に静まり返っていて、近隣の駅が続々と廃止される中でただひとつ特急の停車駅として残った白滝駅前もがらんとしている。目に映るのは古い商店のシャッターばかり、果たして往時の賑わいはどんなものだったのだろうか。

しかし飲食店はおろか道民の心の拠り所とも言えるセイコーマートすら見当たらないとは、なかなか由々しき事態だ。あの時はまだお腹が空いていなかったとはいえ、せっかくパンフレットを貰ったのだから佐呂間で食べておけばよかったな⋯と思いつつ、道の駅「しらたき」へ車を走らせる。

ここはもともと旭川紋別道のパーキングエリアとして開業し、後から一般道とも出入りができるようになったという珍しい道の駅。すぐ西には上川に繋がる北大雪トンネルがあり、おのずと運転も長丁場になるのでここで一息つくドライバーは数多い。

道の駅 しらたきの外観写真
高速の運転はどうしても疲れがち。
こうして緑に囲まれてのびのびできるのは嬉しい

道央道の砂川SAや輪厚わっつPAなどに比べればさすがに規模は小さいが、木の温もりあふれる館内の雰囲気は何だか懐かしくてほっこりする。
店内のBGMが私が幼少期の頃の嵐のアルバムというのも絶妙で、親の車でこれらの曲が入ったMDが流れていた記憶が鮮やかに蘇った(今となってはすっかり死語になってしまったけれども、思い返せばMDってすごく便利だったよなあ)。

道の駅 しらたきの醤油ラーメン
ラーメンも昔ながらの味わい。
少しだけタイムスリップした気分だ

また出入口のそばには「よりみちこっぺ」というコッペパン・鳥飯屋さんが出店しており、人々が行き交う中でかなりの売れ行きを見せていた。
たった今ラーメンを食べたばかりだが、これから訪ねる祖父母への手土産にちょうどいい。おまけに出来たてだというので、たくさん買っていってみんなで食べるとしようか。


15:30 母の実家でまったり

そこから高速に乗って遠軽まで戻り、祖父母宅へ。先ほどのパンを食べながら机を囲み、私たちが来ることを聞きつけてやって来た叔母も一緒に、近況の話などに花を咲かせる。

よりみちこっぺのメンチカツパン
大きなコロッケが2個も挟まる迫力のボリューム。
和牛やカニクリームなど、種類も色々あって大満足

それから外に出てみると、急に天気が良くなってきたので祖母と一緒にブルーベリーを収穫した。ここはたくさんの野菜や果樹を育てる農家で、他にもスイカやメロン、桃まであるのだからたまらない。
これまで散々食べたのに、美味しいからどんどんいってしまう。この調子だと夕飯が食べられるか心配だ(笑)

祖父母宅のブルーベリー
数ある果物の中でもブルーベリーが特に好きな私。
採れたて新鮮、甘くて最高!
祖父母宅からの綺麗な見晴らし
家は高台にあり、少し歩けばこんな景色が。
通学や買い物は不便だったが、
自然の中で遊ぶのは楽しかったと母は語る

というわけで、今回は母の田舎とその周辺を満喫した。私にとっても幼少期から身近な地域だが、大人になってからこうして回ってみると、それぞれの町にかけがえのない良さ、そして人々の暮らしがあることを再認識するきっかけになった。
個人的な思い入れも多分に含まれるけれども、この空気感にはどうかいつまでも残ってほしいものである。

ちなみに、この晩はせっかくの焼肉だったにも関わらず、先ほどの不安どおりすぐ満腹になってしまった。無念⋯。


今回は以上になります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
北海道を拠点に旅や温泉の記録などを書いておりますので、よろしければこちらもご覧いただけると幸いです。

いいなと思ったら応援しよう!