誰もいない静寂の中で・・・私が「上杉謙信」という武将を取り上げた理由
みなさん、こんにちは。歴史の妄想井戸端会議へようこそ。
前回は「皆さんの推し武将は誰ですか?」と、皆さんの歴史へのこだわりを問いかけさせていただきました。
立ち上げたばかりのこの場所は、まだ春日山城の白銀の静寂のように静かです。
でも、誰もいない静かなカウンターだからこそ、今回は私が信長中毒から「上杉謙信」という武将に深く魅了されるに至った、もう一つの本質的な理由をじっくりとお話ししてみたいと思います。
世間一般において、上杉謙信という存在は「軍神」としてあまりにも神格化されています。
戦えば負け知らず、義理堅く、私利私欲のために戦わない。
しかし、その実像を歴史の裏側から覗いてみると、実に泥臭く、周囲に振り回され、苦悩した「一人の不器用な人間」の姿が浮かび上がってくるのです。
例えば、彼が残したとされるいくつかのエピソードを紐解くと……
■ 周囲に振り回され、キレて失踪しかけた「軍神」
謙信公といえば、毘沙門天の化身として恐れられた圧倒的なカリスマを想像する方が多いでしょう。
しかしその実、彼は家臣たちの内紛や裏切りに、生涯にわたって頭を悩まされ続けていました。
ついに堪忍袋の緒が切れた彼は、27歳のとき、なんと「もう嫌だ、現世を引退して出家する」と言い残し、本当に行方をくらまして高野山へ向かってしまうのです。
周りのわがままに耐えかねて、全てを投げ出して失踪しかける軍神――。
どうでしょうか。一気に、私たちと同じような苦悩を抱えた一人の人間に見えてこないでしょうか。
■ 「義」に生きる不器用さと、領地が増えない理由
また、彼は頼まれると断れない、極端なまでのお人好しでもありました。
他の戦国大名が「自分の領土を広げるため」に戦う中、謙信公は「近隣の大名から助けを求められたから」という理由で、何度も何度も遠征を繰り返しました。
その結果、戦には勝ち続けるものの、自分の直轄地はほとんど増えなかったと言われています。
ここに、戦国という時代の過酷な現実が突きつけられます。
領地が増えないということは、命を懸けて戦った家臣たちに、恩賞として与える新しい土地がないということです。
どれだけ戦に勝っても報われない家臣たちの不満は溜まり、時には命に代えても付き従うはずの身内から、凄惨な反乱や裏切りが引き起こされることもありました。
「義」を貫こうとすればするほど、現実の統治で行き詰まり、身内の造反に心を痛める。
割に合わないと分かっていても、己の信じる「芯」のために身を粉にして戦い、周りに振り回され、孤独に苦悩する。
そのあまりにも不器用でストイックな生き様を知ったとき、私は彼をただの英雄ではなく、心から愛おしい存在として、強く感情移入してしまったのです。
■ 誰もいない静寂から、新しい「もしも」が始まる
まだ誰もいない、静かなこの井戸端会議のカウンター。
しかし、この静寂を見つめていると、もしそんな「人間臭く、周囲のわがままに振り回され続けた謙信公」が、もし卒中で倒れず、自分の譲れない『芯』を貫き通して南へと突き進んでいたら……という妄想が、より一層深く色鮮やかに湧き上がってきます。
完璧なヒーローの快進撃ではなく、泥臭く苦悩する一人の男が、歴史の荒波をどう変えていくのか。
そんな私のこだわりと愛を限界まで詰め込んだのが、現在Kindleで出品中の歴史IF小説です。 白銀の静寂に包まれた春日山城から、軍神がどのような「春」を目指して動き出すのか。
もし少しでも興味を持っていただけたなら、ぜひ以下のリンクから覗いてみてください。
作品の詳細はこちらから 👇
『春日山城 白銀の静寂に燃ゆ —軍神が追い続けた「春」の兆し— 上杉謙信』 Amazon.co.jp: 春日山城、白銀の静寂に燃ゆ: —軍神が追い続けた「春」の兆し— 上杉謙信 eBook : 如月 智司: Kindleストア https://www.amazon.co.jp/dp/B0H31L5DBW
まだまだ始まったばかりの静かな場所ですが、いつかここに集まってくださる皆さんと、じっくり歴史の「もしも」を語り合える日を楽しみに、これからも灯りをともし続けます。
それでは、今回の井戸端会議はここまで。
また次回お会いしましょう!
