パートさんにも時給を払って整体を受けてもらう。人を大切にする経営は、言葉では終わらない
健康経営は、社員だけの福利厚生ではない。食を供給し続ける会社の、現場を守る経営投資
パートさんだから、そこまではしない。
短時間勤務だから、社員とは違う。
福利厚生は社員中心で十分。
多くの会社では、それが普通かもしれない。
でも私は、その普通にずっと違和感がある。
現場を見れば分かる。
出荷場に立っているのは社員だけではない。
袋詰めをしてくれる人がいて、選別をしてくれる人がいて、箱を作ってくれる人がいて、毎日の出荷が形になる。
そこには、社員もパートさんも関係ない。
身体を使い、時間を使い、生活の一部を会社に預けてくれている人たちの姿。
2026年7月7日
七夕の日 10:00~11:30
健康経営セミナー開催。
当然仕事のセミナー。
パートさんには時給を支払っての参加要請。
アクサ生命さんより事前アンケートのフィードバックを行い健康についての講演をして頂き、常務からハウスや環境制御、水槽、太陽光発電、苗ハウスの説明会をパートさんにも改めて知って頂く事で仕事へ繋げてもらう設え。
最後に、私はパートの皆さんへ頭を下げた。
「毎週土曜日、ぜひボディーバランス整体を受けてください。
30分分の時給は会社で支払います。整体料金も会社負担です」
命令ではない。
強制でもない。
お願い。
なぜなら、
パートさんがいるから、
私を含め社員も仕事ができる。
パートさんがいるから、
毎日の出荷が止まらない。
パートさんがいるから、
うちの経営理念に近づける。
私は心筋梗塞を2回経験。
毎日薬を飲み、90日に一度通院し、薬で命をつないでいる身体。
だからこそ、きれいごとではなく伝えたい。
『健康はただではない。
健康は何よりも勝る資本』
健康は仕事。
そして、人を守ることも経営そのもの。
第1章 健康経営には5つの段階がある

健康経営という言葉は、いま多くの会社が使っている。
健康診断。
ストレスチェック。
セミナー。
ポスター。
認証制度。
福利厚生。
もちろん、どれも必要な取り組み。
しかし、現場で働く人から見た時、その会社が本当に健康を大切にしているかどうかは、もっと違う場所に出る。
腰が痛い時に、相談できる空気があるか?
肩が重い時に、我慢で片づけられないか?
膝に違和感が出た時に、早めに手を打てるか?
暑さで疲労が抜けない時に、現場全体で気づけるか?
短時間勤務の人にも、同じように身体を気遣う仕組みが届いているか?
私は、健康経営には5つの段階があると思っている。
第一段階 口だけの健康経営。
「健康に気をつけてください」
「無理しないでください」
「体調管理も仕事です」
言葉はある。
ただし、仕組みが弱い。
会社は注意喚起をして終わり。
あとは本人任せ。
この段階では、痛みも疲れも個人の問題にされやすい。
第二段階 制度だけの健康経営。
健康診断を受ける。
資料を配る。
セミナーを開く。
社内に掲示物を貼る。
形は整ってくる。
しかし、現場の身体の変化までは見えにくい。
書類は残っても、腰の痛みは残ったまま。
セミナーは終わっても、明日の作業姿勢は変わらない。
制度は入口。
それだけでは、
現場の身体まで届かない。
第三段階 社員中心の健康経営。
社員には手厚い。
健康診断も、福利厚生も、面談もある。
ここまで来れば、会社としての意識は高い。
でも、ここで一つ問いが残る。
パートさんはどうなのか?
短時間勤務の人はどうなのか?
出荷場を支えてくれている人たちは、その対象に入っているのか?
会社は社員だけで回っていない。
特に
農業法人の現場では、パートさんの力がなければ出荷そのものが成り立たない日が多い。
第四段階 現場全体で守る健康経営。
社員だけではなく、パートさんにも健康の意識を。
必要な取り組みに参加できる形を。
参加の時間に対価を。
そして
会社として、身体の状態を見える化する。
ここまで来て、
健康経営はようやく現場の言葉へ。
第五段階 理念とつながる健康経営。
なぜ健康を守るのか?
なぜ会社が整体料金を負担するのか?
なぜパートさんにも時給を払って受けてもらいたいのか?
その答えが、会社の理念と一本につながっている状態。
うちの経営理念には順位がある。その最上位にある理念
①『生命の源「食」を、つつがなく供給し続けること』
がある。
この理念は、社長一人では達成できない。
社員だけでも足りない。
パートさんがいて、現場が回って、日々の出荷が形になって、初めて理念に近づく。
食を供給し続けるには、人が健康でなければならない。
人が倒れれば、供給は止まる。
身体を壊せば、現場は続かない。
痛みを我慢しながら働く人が増えれば、会社の未来は細くなる。
だから、パートさんの身体を守ることは、福利厚生の一部ではない。
理念を守る経営判断そのもの。
故に、経営理念順位2位として
②『ここに集う皆さんが人に優しく、健康であり続けること』
理念は真似できる。
でも、その理念に時間とお金を使える会社は多くない。
経営理念①を達するためには経営理念②が絶対的に必要だと自負する。
第2章 人財という言葉の請求書は、会社に必ず届く

会社はよく「人財」という言葉を使う。
人は財産。
人は宝。
人を大切にする会社。
働く仲間を守る経営。
響きはいい。
求人票にも書ける。
ホームページにも載せられる。
社内資料にも入れやすい。
けれど、その言葉には必ず請求書が付いてくる。
人を財産と言うなら、
教育に時間が必要。
人を宝と言うなら、
労働環境への投資が必要。
人を大切にすると言うなら、
健康への会社負担が必要。
人財と言うなら、
その人の時間にも対価が必要。
『人財とは、会社が時間と金を差し出して初めて重みを持つ言葉』
ここを避けると、人財という言葉は薄くなる。
きれいな言葉の皮をかぶった、ただの労働力扱いになってしまう。
現在、うちでは社員に月2回、就業中に30分、理学療法士兼柔道整復師によるボディーバランス整体を実施している。
ただ揉んでもらうだけの時間ではない。
理学療法士としての知識を人それぞれアプローチして貰い、各位の身体のポジティブとネガティブを見てもらい、身体へのリハビリテーション及び弱い箇所のトレーニング。
柔道整復師の技術で、弱った箇所のほぐしを行い心身ともに癒しを得てもらう。
腰、肩、膝、姿勢、疲労の出方、身体の使い方。
どこに負担が出ているのか。
どの作業で痛みが出やすいのか。
どの人に、どんな兆候が出始めているのか。
それを専門家に見てもらい、
レポートを上げてもらい、会社として共有。
身体の状態を個人の感覚だけにしない。
痛みが大きくなってから慌てない。
怪我の前に、違和感の段階で気づく。
これが目的。
そして今回、私はパートの皆さんに改めてお願いした。
『毎週土曜日、ぜひボディーバランス整体を受けてください。
30分分の時給は会社で支払います。整体料金も会社負担です』
パートさんだから強制はできない。
家庭の予定もある。
土曜日に都合がつかない人もいる。
考え方もそれぞれ。
だから、命令ではなくお願い。
私は頭を下げて伝えた。
パートの皆さんがいるから、私を含め社員も仕事ができる。
皆さんがいるから、出荷ができる。
皆さんがいるから、経営理念が達せられる。
パートさんも、うちにとって大切な人財。
アクサ生命の方からも、こう言われた。
「パートの方に整体を、時給を払ってまで受けてもらうという話は聞いたことがありません。上場企業の一部で社員にはそう言う提供はありますが、中小企業でかつ「農業」でそれをやるとは......。
凄い福利厚生ですね。驚きです」
ありがたい言葉だった。
でも、私の感覚では、
特別なことをしているつもりはない。
むしろ、
ここにお金を使わない経営の方が怖い。
パートさんは、会社にとって都合の良い調整弁ではない。
忙しい時だけ来てもらう人でもない。
安く働いてもらえばいい存在でもない。
現場を支えてくれる人。
社員が次の仕事へ進めるように、日々の作業を支えてくれる人。
食の供給の一部を担ってくれている人。
そこを見落とした瞬間、
会社は静かに痩せていく。
人が辞める。
新しく入っても続かない。
社員の負担が増える。
空気が悪くなる。
採用費が増える。
品質に影響が出る。
取引先への供給不安につながる。
その時になってから「人手不足」と言っても、もう遅い。
人手不足は社会問題でもある。
ただし、会社側の姿勢で変えられる部分も確かにある。
働いてくれる人の身体に、
会社がどれだけ向き合っているか?
短時間勤務の人にも、
どれだけ敬意を払っているか?
ありがとうを言葉だけで終わらせず、
時間とお金に変えているか?
そこに会社の本性が出る。
第3章 私は心筋梗塞を2回した。だから健康を軽く扱えない

私が健康について強く言う理由は、
きれいな経営理論ではない。
私は心筋梗塞を2回経験。
若い頃から、めちゃくちゃ働いてきた。
寝る時間を削った。
休むことを後回しにした。
目の前の仕事に突っ込んだ。
自分がやれば何とかなると思っていた。
自分が止まれば会社が止まると思い込んでいた。
経営者だから仕方ない。
今は無理をする時期。
落ち着いたら休めばいい。
まだ大丈夫。
そんな言い訳を、自分に何度もしてきた。
そして身体が壊れた。
心筋梗塞。
言葉にすれば四文字。
でも、その四文字で人生の景色は変わる。
命があることは当たり前ではない。
朝、普通に目が覚めることも当たり前ではない。
薬なしで生活できることも当たり前ではない。
病院に行かずに済む身体も当たり前ではない。
今の私は、毎日薬を飲んでいる。
90日に一度、通院している。
薬で命をつないでいる身体。
これを武勇伝にするつもりはない。
同情が欲しいわけでもない。
苦労話として聞いてほしいわけでもない。
ただ、事実として、私は
健康を失いかけた人間。
そして、その経験があったからこそ、農業を始めようとした部分もある。
もし心筋梗塞がなかったら、今の私はなかったかもしれない。
農業を始めていなかったかもしれない。
今の社員、パートさん、取引先、関係者の皆さんと出会えていなかったかもしれない。
その意味では、
今の出会いには感謝しかない。
でも、だからこそ強く思う。
皆さんには、
私と同じように心筋梗塞になってほしくない。
毎日薬を飲み、通院し、薬で延命するような身体になってほしくない。
健康を失ってから、あの時こうしておけばよかったと悔やんでほしくない。
健康は『ただではない』
若い時ほど分からない。
忙しい時ほど後回し。
少しの痛みは我慢。
検査の数字が悪くても、まだ大丈夫。
疲れが抜けなくても、明日になれば何とかなる。
その積み重ねが、
ある日突然、
命に触れる。
経営も同じ。
資金繰りを軽く見た会社は、ある日突然苦しくなる。
人を軽く見た会社は、ある日突然人がいなくなる。
健康を軽く見た人は、ある日突然動けなくなる。
突然に見える出来事の多くは、小さな放置の積み重ね。
だから私は、毎年必ず健康経営セミナーを開催している。
社員にも、パートさんにも、健康を意識してほしいから。
自分の身体を後回しにしてほしくないから。
家族のためにも、会社のためにも、何より自分の人生のために。
健康は仕事。
これは標語ではない。
私自身の身体で学んだ現実。
仕事をするための身体。
家に帰るための身体。
子どもや孫を抱くための身体。
明日も笑って出勤するための身体。
長く生きるための身体。
健康は、すべての土台。
売上があっても、利益があっても、設備があっても、身体を壊したら人生は変わってしまう。
経営者も同じ。
社員も同じ。
パートさんも同じ。
だから、うちでは健康を会社の中で扱う。
自己責任だけで終わらせない。
気合いで片づけない。
我慢を美徳にしない。
倒れてから慌てる会社にはしない。
健康は、失ってから気づくものではない。
働いている今、会社と一緒に守るもの。
第4章 整体は福利厚生ではない。出荷を止めないための経営投資

パートさんに時給を払って整体を受けてもらう。
こう書くと、優しい会社に見えるかもしれない。
福利厚生が手厚い会社に見えるかもしれない。
余裕がある会社に見える人もいるかもしれない。
でも、現実はそんな単純な話ではない。
これは優しさだけではない。
出荷を止めないための経営投資。
人を失わないための防衛策。
会社の理念を守るための実務。
うちは農業法人。
三つ葉を水耕栽培し、日々出荷している。
農業は、自然相手の仕事。
暑さ。
寒さ。
相場。
資材高。
人手不足。
天候不順。
病害虫。
出荷量の波。
取引先への供給責任。
どれ一つ簡単ではない。
そして、その不確実な現場の中心にいるのは人。
設備投資はできる。
ハウスも建てられる。
機械も入れられる。
太陽光も入れられる。
作業環境も改善できる。
でも、最後に現場を動かすのは人。
人が倒れたら、現場は止まる。
身体を痛めたら、作業は続かない。
腰を悪くしたら、立ち仕事が重くなる。
肩を痛めたら、袋詰めも箱詰めも負担になる。
膝をかばえば、別の場所に痛みが出る。
一人の不調は、一人だけの問題では終わらない。
残った人に負担が寄る。
社員にしわ寄せが行く。
出荷スピードが落ちる。
品質確認の集中力も削られる。
取引先への供給不安にもつながる。
だから、身体のケアは経営課題。
決算書には出にくい。
貸借対照表にも載らない。
損益計算書では経費に見える。
でも、
現場を知っている経営者なら分かるはず。
怪我を未然に防げた価値。
離職を防げた価値。
痛みを早めに拾えた価値。
安心して働ける空気の価値。
会社が見てくれているという実感の価値。
これは、数字に出る前の資産。
『健康を経費で見る会社は、未来の欠損に気づかない』
短期で見れば、整体料金も時給も経費。
でも
長期で見れば、現場を守るための投資。
人への投資は、すぐに売上へ変わらない。
今日整体を受けたから、明日の売上が倍になるわけでもない。
レポートを共有したから、今月の利益が急に増えるわけでもない。
それでも続ける価値がある。
なぜなら、会社は一日で作るものではないから。
現場は一人で守るものではないから。
理念は言葉だけで達成できないから。
うちでは、
健康診断、インフルエンザ予防接種補助、暑熱対策、作業環境改善、週休3日制、有給休暇取得、健康経営セミナー、そしてボディーバランス整体を一つずつ積み上げてきた。
派手さはない。
一発逆転でもない。
SNS映えする話でもない。
でも、現場を長く続ける会社には、こういう地味な積み重ねが効いてくる。
経営には、攻めの投資がある。
ハウスを増やす。
設備を入れる。
生産量を増やす。
販路を広げる。
一方で、守りの投資もある。
人の身体を守る。
働き続けられる環境を作る。
痛みを見逃さない。
疲労を軽く扱わない。
現場の声を拾う。
攻めだけの経営は、強そうに見えて脆い。
守りだけの経営は、優しそうに見えて伸びない。
必要なのは両方。
設備に金を使い、人にも金を使う。
売上を見る一方で、身体も見る。
利益を追いながら、働く人の人生も考える。
これが、私の考える健康経営。
「パートさんなのに、そこまでやるのか」
そう思う人もいるかもしれない。
私は逆に聞きたい。
パートさんがいなくなった現場を、
誰が支えるのか?
身体を痛めた人が増えた時、
誰が出荷を守るのか?
人を大切にすると言いながら、
その人の身体にはお金を使わないのか?
ここに、経営者の本音が出る。
後継者へ 人を守れない経営者に、食は守れない

これから会社を継いでいく中で、数字を見ることは絶対に必要。
売上。
粗利。
営業利益。
借入。
返済。
預金残高。
設備投資。
資金繰り。
どれも見なければならない。
数字から逃げる経営者に、会社を守る資格はない。
ただし、数字だけを見る経営者にもなるな。
現場には、決算書に載らない数字がある。
朝の表情。
歩き方。
腰に手を当てる回数。
肩を回す仕草。
少し遅くなった作業スピード。
無理して笑う顔。
言いたくても言えない痛み。
そこを見ろ。
社員も、パートさんも、会社の理念を現場で支えてくれる人財。
雇用形態で敬意を変えるな。
勤務時間の長さだけで価値を測るな。
会社に来てくれる一人ひとりの身体に、必ず目を向けろ。
人を守るとは、甘やかすことではない。
長く働ける環境を作ること。
怪我を未然に防ぐこと。
健康を失う前に手を打つこと。
感謝を言葉だけで終わらせず、会社の仕組みに変えること。
健康は仕事。
人を守ることも経営。
食を供給し続けるには、まず働く人の命と身体を守る必要がある。
お前が社長になる頃、時代はさらに厳しくなっているかもしれない。
人は簡単に集まらない。
採用費は上がる。
物価も上がる。
社会保険料も重い。
農業の現場も甘くない。
葉物野菜の冬の時代も続くかもしれない。
その時、削りやすい経費から削りたくなる。
人への投資を後回しにしたくなる。
健康への取り組みを「余裕ができてから」と言いたくなる。
でも、そこを間違えるな。
余裕があるから人を守るのではない。
人を守るから、会社に余力が残る。
この順番を忘れるな。
会社は設備だけでは続かない。
資金だけでも続かない。
理念だけでも続かない。
人がいて、健康があって、現場が動いて、初めて食を供給し続けられる。
お前が見るべきものは、数字の奥にいる人。
お前が守るべきものは、出荷量の奥にある身体。
お前が継ぐべきものは、会社の株だけではなく、人を大切にする覚悟。
最後に、読み手にも問いたい。
あなたの会社は、人を大切にしていると言いながら、その人の身体に本気でお金を使えているだろうか?
投資 × 未来 × 覚悟 = 後継者備忘録
#健康経営
#健康経営優良法人
#農業経営
#水耕栽培
#三つ葉
#人を大切にする経営
#パートさんに感謝
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#中小企業経営
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#後継者育成
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