#25 眠れない夜に、やってはいけないこと
羊を数えるのは、一種の苦行だと思う。
一頭、二頭と柵を越えさせるたびに、数えるほど目が冴えていく気がするからだ。
眠れない夜、一番やってはいけないのは「眠ろうと努力すること」かもしれない。
布団の中で正解を探し始めると、枕の角度や掛け布団の重みまでが敵に見えてくる。
「あと5時間しか寝られない」という計算が始まったら、もうその夜の負け越しは確定だ。
本を開くのも、実は考えものだ。
一行だけ、と思ってページをめくると、いつの間にか物語の深みに足を取られている。
気づけば東の空が白み始め、一冊読み終えた達成感と、絶望的な寝不足が同時にやってくる。
眠りとは、追いかければ逃げ、背を向ければ寄ってくる気まぐれな存在らしい。
「眠らなきゃ」という義務感を手放した瞬間に、ようやく向こうからふらりと戻ってくる。
もし本を手に取るなら、三行で意識が遠のくような難解な哲学書や、自分が昔書いた古い論文くらいが丁度いい。
知的好奇心を刺激せず、ただ視線を滑らせるだけのもの。
それなら、眠りの神様も苦笑いして迎えに来てくれるだろう。
今夜は、一番つまらない本を枕元に置いておこう。
開かずに済むのが、本当は一番幸せなのだけれど。
そうだ、決してnoteなどを書こうとしてはいけない。
・シリーズで読む(マガジン)
大学教員の憂鬱
だから僕は旅にでる
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