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勤務間インターバル・つながらない権利・テレワーク(労働市場改革分科会)

日本成長戦略会議の労働市場改革分科会「とりまとめ」(報告書)を厚生労働省が今年(2026年)6月2日公表しました。裁量労働制の見直し(対象拡大)については別の記事に書いていますので、今回は労働市場改革分科会とりまとめ(報告書)から「勤務間インタバール制度」「つながらない権利」「テレワーク」などについて記載。


労働市場改革分科会メンバー

日本成長戦略会議・労働市場改革分科会のメンバー(構成員)は次のとおりです。

労働市場改革分科会メンバー(構成員)
*議事録では「委員」と記載

上野賢一郎・厚生労働大臣(分科会会長)
*分科会会長代理は厚生労働副大臣、政務官
石崎由希子・横浜国立大学大学院国際社会科学研究院教授
伊藤 仁・日本商工会議所専務理事
片岡剛士・PwCコンサルティング上席執行役員・チーフエコノミスト(日本成長戦略会議構成員兼務)
近藤絢子・東京大学社会科学研究所教授
坂本貴志(株)インディードリクルートパートナーズ・リクルートワークス研究所研究員
神保政史・日本労働組合総連合会(連合)事務局長
中根弓佳・サイボウズ(株)執行役員・人事本部長
水島郁子・大阪大学大学院高等司法研究科教授
室賀貴穂・九州大学大学院経済学研究院准教授
藤原清明・日本経済団体連合会(経団連)専務理事
山田 久・法政大学教授

労働市場改革分科会とりまとめ

まず、日本成長戦略会議の労働市場改革分科会とりまとめ(報告書)には、「本分科会の議論では、いずれも簡単に結論が得られるものではないが、日本成長戦略会議で取り上げた趣旨も踏まえ、労働参加率や労働生産性の向上の必要性に鑑み、労働者の健康維持やワーク・ライフ・バランスを前提とするとの認識を共有しつつ、柔軟で多様な働き方を含む労働時間法制等に係る政策対応については、夏以降の労働政策審議会において、議論を行う必要がある」とあります。

そして労働市場改革分科会とりまとめ(報告書)に個別論点に関する分科会委員(構成員)の意見が紹介されていますが、「勤務間インターバル制度連続勤務規制は、労働者の休息や生活時間を確保するために重要な制度であるが、現行の努力義務の下や現行の変形週休制の下では労働者の健康確保の観点から限界があり、勤務間インターバル制度の義務化や長期の連続勤務の制限などについて、例外措置や代償措置も含め検討を進めるべき、つながらない権利の導入も検討すべきとの意見があった」と記載されています。

また労働市場改革分科会とりまとめ(報告書)には「労働者の健康確保や生活時間の確保が重要であり、これらは多様な人材の労働参加に当たっても重要であることから、連続勤務規制勤務間インターバル制度の法的位置付け、『つながらない権利』の在り方、副業・兼業に当たっての健康確保、テレワークの活用促進などについて、現場の実態や労使双方の立場を十分に踏まえて、検討を進める必要がある」とあります。

つまり「連続勤務規制や勤務間インターバル制度の法的位置づけ」「つながらない権利の在り方」「テレワークの活用促進」などについて、現場の実態や労働者(社員・職員)側・使用者(経営者)側双方の立場を十分に踏まえて、今年(2026年)夏以降に労働政策審議会(厚生労働大臣の諮問機関)労働条件分科会において「検討を進める必要がある」と日本成長戦略会議の労働市場改革分科会とりまとめ(報告書)に明記されました。

第4回 労働市場改革分科会

今年(2026年)5月27日に日本成長戦略会議の労働市場改革分科会が開催され、分科会事務局(厚生労働省)が示した労働市場改革分科会とりまとめ(案)について議論されました。

議事録によると、神保委員(神保政史・日本労働組合総連合会<連合>事務局長)は「誰もが健康で豊かな生活時間を確保できる労働時間制度を確立することが急務かつ重要です。そうした観点に立てば、今後の労政審(労働政策審議会)の議論においては裁量労働制の拡充などの規制緩和ではなく、連続勤務規制の導入や、勤務間インターバル制度の義務化、『つながらない権利』の立法化などの検討こそ深めるべきであることは強調しておきたいと思います」と発言しています。

つまり、連合の神保委員は連続勤務制の導入、勤務間インターバル制度の義務化(現行法では努力義務)、つながらない権利の立法化(法制化)に言及しています。

第4回分科会が開催された当日(5月27日)に連合(日本労働組合総連合会)は『「日本成長戦略会議労働市場改革分科会とりまとめ」に対する談話』(神保政史・事務局長)を公表しました。

そこには「誰もが安心して働き続けられる社会の実現には、健康で豊かな生活時間を確保できる労働時間制度の確立が不可欠である。労政審(労働政策審議会)では、(労働市場改革分科会)『とりまとめ』にも明記された『連続勤務規制や勤務間インターバル制度の法的位置付け、「つながらない権利の在り方』など『働き方改革』を前進させる方策の検討を深めるべきである」と記載されています。

第3回 労働市場改革分科会

今年(2026年)4月22日に日本成長戦略会議の労働市場改革分科会が開催されましたが、議題は「労働市場改革について」。

議事録によると、水島委員(水島郁子・大阪大学大学院高等司法研究科教授)は「勤務間インターバル制度は、平成31年(2019年)に事業主の努力義務となりましたが、制度を知らない企業がいまだ少なくありません。勤務間インターバル制度は、労働者の健康確保の観点から効果的な施策と考えられ、導入が望まれますが、現行の努力義務、リーフレットの作成や周知による導入促進では限界があると言わざるを得ません。私見では、努力義務から義務化へ、労働時間等設定改善法による規制から労働基準法による規制へと展開することが望ましいと考えます」と述べています。

室賀委員(室賀貴穂・九州大学大学院経済学研究院准教授)は「柔軟で多様な働き方の拡大に関して、まずテレワークについて申し上げます。テレワークは通勤時間を削減し、労働供給の余地を拡大させる効果があります。加えて、近年の実証研究では、テレワークの実施により、家事・育児時間の増加や家族で過ごす時間の増加、さらに生活を重視する意識への変化が確認されています。こうした点から、テレワークの普及を促していくべきだと私は考えております」と意見しています。

また室賀委員は「(働き方の)柔軟化には課題もあります。家庭内負担との境界の曖昧化や、長時間労働につながる可能性があるため、勤務間インターバル制度や『つながらない権利』の導入についても併せて検討すべきです。また、柔軟な働き方の提供が賃金抑制圧力として作用する可能性もあるため、均等待遇ルールの強化も重要であると考えます」とも述べています。

伊藤委員(伊藤仁・日本商工会議所専務理事)は「勤務間インターバル制度につきましても意見を申し上げます。現行の労働時間制度においても、時間外労働の上限規制によって、年・月単位で極めて厳格な労働時間管理を求められております。勤務間インターバル制度ではこれらに加えてさらに日単位で労働時間に管理・制約を課すことになりますので、企業の労働時間配分や業務対応への柔軟性を欠くことにつながりかねないと考えております。従業員の健康確保に向けて、企業が自主的に勤務間インターバル制度の導入を行うこと自体には全く異論はございません。他方で、一律の義務化についてはこうした点にも十分留意し、慎重に検討していただきたいと思います」と意見しています。

神保委員(神保政史・日本労働組合総連合会<連合>事務局長)は「働く者がしっかりと休息や生活時間を確保できるよう、休日労働を含めた長期の連続勤務を制限するルールの導入、勤務間インターバル制度の義務化つながらない権利の立法化の検討を進めることが重要であると考えております。これらの施策の実施は、労働者のリ・スキリング時間等の確保にもつながり、企業の生産性向上にも資するということを申し上げておきます」と述べています。

石碕委員(石崎由希子・横浜国立大学大学院国際社会科学研究院教授)は「勤務間インターバルについて、私は水島委員(水島郁子・大阪大学大学院高等司法研究科教授)と同様、将来的に義務化が必要ではないかと考える立場ですが、しかし、現状を考えますと、やはり直ちに義務化することは困難であると考えておりまして、まずは導入に向けた労使の協議を一層促す、そのような立法的対応が必要なのではないかと考えております」と意見しています。

また石崎委員は「(勤務間インターバル制度)義務化に当たっても、硬直的な規制というのは現場の実態に合わず、かえって実効性を失うおそれがあるので、やはりそこに関しては一定の例外を認めたりというようなことが必要ではないか。ただし、その場合も代償休息の確保を求めるような方向で設計をすべきではないかと考えております」とも述べています。

そして石崎委員は「室賀委員(室賀貴穂・九州大学大学院経済学研究院准教授)から御指摘がありましたけれども、フレックスタイムであったり、テレワークであったり、そうした柔軟な働き方を進めていくということが、特にいろいろな制約を抱えている労働者にとっては非常に重要であると考えますし、将来的には全ての労働者との関係で、そうした柔軟な働き方の導入について協議する権利を認めるような方向性も併せて検討すべきではないかと考えます」と意見しています。

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