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本と偶然

キムチョヨプは、「わたしたちが光の速さで進めないなら」を読んで魅力された韓国の若手作家。

偶然に出会ったこの本に心躍らされた。勝手に、若い友達ができたような気分になった。彼女が、普段どんな知識を得てどんなものを見て何を考えているのか、知りたくなった。
この本は、彼女がどんな読書遍歴の中で作家になったのか、どんなことを考えて今の作品を書いているのかを綴ったエッセイ。ようやく図書館に入った。予約が全然入ってない!世の中の人のセンスの無さを憂う(くらい激推し)。

素敵すぎる。憧れる。本に向き合う姿勢がカッコ良すぎる。理系出身であるというよりは、研究者的な態度である。まず、自分の興味があることについての先人の知恵に敬意を示し、しっかり彼らの痕跡を辿る。自分の興味はつまるところ何なのかを頭の中で整理しながら、新しい仮説や問いを立てる。自分は何ができるのか。この仕事を通して何を伝えるのか。とにかくとことん追求する姿勢と、物事に対し誠実に偽りなく向き合う姿勢に、ただ憧れを抱いた。化学の研究者にはなれなかったと書いてあったが、その姿勢は十分に研究者のそれだ。時間をかける。粘る。諦めない。

SF小説を読破するうち、自分がなぜこのジャンルに魅了されたのかを改めて知ることになった。わたしはSFの根本にある態度が好きなのだ。SFの話者、SFの登場人物は世界を深く理解しようとする。(中略)この世界のおかしな点や欠点、未知のなにか、奇怪な現象に遭遇したとき、多い隠したり逃げたり、「そういうもんかな」と言わずに、粘り強く掘り下げて知ろうとする態度が根底にある。(中略)未知の世界への理解をあきらめない気持ち。わたしはそれをSFから学んだ。

キムチョヨプ(2025)本と偶然

エッセイというのは、著者の趣味思考が中心的であり、その人の人となりがふんわりと伝わって、ああ好きだなとか、そうそうわかる!と、共感したりするものだと思っていた。
この本に関しても、ベースはそうなのだけど、読んでキムチョヨプの生活が垣間見られたわけではない。本を読むことと書くことに対する彼女の人間性が、しっかりとした裏付けとしてまとめられていた。その構成そのものが、彼女らしさなのかもしれないけれど。

やっぱり好きだ。他の本も読もう。

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