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風燕伝: 清河裏物語解説 英雄の陰で暗躍する懸剣 <無間無相 田英> その一

皆さん風燕伝楽しんでいますか?
風燕伝のストーリーと文化要素はファンタジーと実際の歴史を実に上手く融合させて作られていると思います。
その魅力を他のユーザーにも感じて貰いたいと思いこのような記事を無定期ですがやっていきたいと思っておりますのでこれからもよろしくお願い致します。
少し長いのですが記事は不定期に公開しようと思いますので、その都度Xでのアカウントでお知らせいたします、他の記事もありますのでフォローして頂けると幸いです。
saineinei
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今回は清河最後の鎮守であり裏物語の主人公でもある田英という人物にスポットを当てたいと思います、彼に関する任務、書物、伝承などは清河の各地で色々と出てくると思いますが中々どういう人なのかを掴むのが非常に難しいかと思います。
田英の物語は後晋、後漢、後周、宋と4つの王朝に跨りますので歴史の出来事と彼の成長を合わせて順序に解説して行きたいと思います。

※あくまで専門家ではなく素人一個人の趣味でやっておりますので間違っているところや不足な点があれば優しく指摘いただけると幸いです。
またどうしてもネタバレが含まれる事があるので観る前に是非ご了承ください。

前提としてゲームの時代の五代十国と宗とは
五代十国(907〜960/979年)は、唐の滅亡後、黄河流域の華北を支配した5つの短命な漢民族王朝、五代: 後梁→後唐→後晋→後漢→後周→(宋)と、周辺地域に割拠した10余りの地方政権、十国: 前蜀・後蜀・呉・南唐・荊南・呉越・閩・楚・南漢・北漢(※十国全てが同時期に存在したわけではない)が争った分裂時代です。唐末の節度使が自立した武断政治の時代で、最終的に北宋によって統一されました。

今回の主な登場人物と関係図

-戦乱-
田英の生まれに関しては詳細はないのですが幼少時代に遭遇した戦乱の始まりはゲームの時代から約27年前まで遡る、933年に五代王朝の後唐の明宗が死去するとその養子李従珂が即位したばかりの閔帝を殺害し帝位に就いた。これに対し明宗の女婿であった石敬瑭は晋陽で反乱を起こすが、圧倒的な兵力の差により包囲されたため契丹に援軍を求めその後契丹の援軍は後唐軍を退けこれを機に後唐は消滅し936年に開封を首都として後晋が建国する。
皇帝となった石敬瑭は契丹に見返りとして燕雲十六州を割譲し、そして北華王朝の天子で有りながら実質契丹の臣下となった。
この歴史的出来事が風燕伝でよく言われる燕雲十六州奪還の流れを作った原因です。

この当時の勢力図

その後942年に石敬瑭が病死、甥の石重貴が2代目皇帝に即位すると契丹に対して独立を図る、契丹の王 耶律徳光の怒りを買い946年に耶律徳光は自ら軍を率いて3度目の開封侵攻を開始する。それを阻止するべく石重貴は30万の大軍を義理の叔父の杜重威に託す、杜重威は大軍を率いて北上し滹沱河の中渡橋辺りで川を挟んで両軍が対峙するも杜重威は事前に契丹と取引していたためその後大きな戦闘をする事なく兵糧が尽きると全軍契丹に投降。その直前には杜重威が契丹と内通していた事を知らずに王清将軍が自ら2000人を率いて川を渡り奇襲をかけ敵を蹴散らし善戦するも杜重威は王清からの援軍要請を全て無視し王清将軍と彼の兵は敵陣にて無念の死を遂げる。

ゲーム内で出てくるこの方が王清将軍です。

契丹はこの勢いに乗り一気に南下し開封城は落城、石重貴は捕虜となり後晋は滅亡、耶律徳光は開封城の玉座で国号を「遼」と改め漢民族を支配する中原の天子として正式に君臨した。
※天子となったが遼が五代王朝に入らない理由として異民族国家、征服王朝、対等以上の存在だったなどの理由があるからとされている。

この一連の戦乱に巻き込まれ幼い田英と弟の田斉は流浪の旅をして清河の抱山湖付近にある村に流れ着きそこで燕大鉄の父に引き取られ鍛冶屋の手伝いをして日々の生計を立てていました。
そんなある日、華北を占領した契丹軍が村に押し寄せ静かだった村は一日にして廃墟と化し村人は散々になり何とか逃れた田英兄弟と燕大鉄ですが行く場がなくある時親切な人の誘いに乗り山の集落へ合流する、しかしいざ入ってみるとそこは略奪や窃盗など賊まがいを繰り返す集団だと気づく。
三人は賊まがいな生活が嫌になり脱走計画を立てたところにある日、一人の白衣を着た侠客が集落にやってくる、侠客は長剣を抜き流れるように次々と賊を切り捨てていく、これをチャンスと見た三人は侠客に助太刀し賊どもを退治する。
そしてこの日に見た白衣の侠客の姿は少年田英の心の中で乱世を救う一筋の光となった。

-春秋別館-
遼が建国した翌年の947年統治能力の不足や兵站に支障が生じたため耶律徳光はわずか3ヶ月で華北を去り(帰国途中で体調が悪化した耶律徳光はこの旅で病死する)、その後節度使であった劉知遠が後漢王朝を建国したのを経て、951年開封城の玉座には五代十国最後の王朝である後周の初代皇帝太祖 郭威が鎮座していた。
田英もまた今後の彼の運命を決定する柴栄(郭栄)や魏仁浦達と出会う。
柴栄は後の後周の2代目皇帝で様々な改革を行い乱世の流れに終止符を打った五代十国の随一の英雄とされている、彼の旧知の同志である魏仁浦もまた後に軍師となり彼を支えた。

柴栄の姿は実はオープニングの映像で出て来てました。
太祖の養子だった柴栄が世継ぎとなったのは郭威と柴栄の妻や子息、親族160人余りは
後漢末期の2代目皇帝に全員処刑されたため跡継ぎが柴栄しかいなっかたため、なんと惨い時代…

柴栄は952年に魏仁浦と共に燕雲十六州へ視察する、その地で目にしたのは遼に属するも日々契丹人の掠奪や虐殺に怯える民の姿でした。
そこで二人は燕雲の地で出会った難民約百名を連れて帰り清河に春秋別館を開き難民達に寝どころと学問や武術などの処世術を教えなが戦乱の救済を行った。

おなじみの春秋別館入口

この時の田英兄弟と燕大鉄は難民から十六傑の噂を聞き春秋別館に辿り着くそこで田英は春秋別館十六傑のメンバーにかつて出会った白衣の侠客の姿を目撃し自分も救世の一筋の光に成りたいと心に決意する。
田英はやがてこの地で修行を重ねて武術や学問の才を徐々に開花させていく、時が経ち難民達と豊作村を荒地から切り開き、そこで燕大鉄は豊作村での安住を決意したが田英は自分の理想のために更なる学びを求め燕大鉄と別れ弟の田斉と共に商隊に混ざり北へ出発した。

豊作村の奇遇任務で燕大鉄が幼いころの田英との思い出を色々と語ってくれました

-盲目の少女との出会い-
商隊と旅をする田英はあるとき小鹿村という村に着くと村長からの招待で村長の息子の結婚式に出席することになった。
披露宴は夜中まで行われ皆が歌い踊りをして祝う中、突然新郎がもがき出し発狂したかのように暴れ出す、すると他にも同じように発狂する者が現れそこら中にある物を手に次々と出席者を襲い始め披露宴は一瞬にして血の海に染まりその中で逃げまとう人々を掻き分けて田英は新婦である怯える盲目の小女を庇い披露宴から脱出する。
村長は村人を引き連れて発狂した者達を何とか鎮圧すると、自らの手で涙ながら息子の息の根を止めた…
その後村長から今後の後処理の人手ために商隊にもう少し村に滞在して欲しいと商隊にお願いをすると商隊はそれを渋々了承した。

公式のPVアニメより冥婚のシーン

次の日村人は死んだ村長の息子のために盲目の小女を使って冥婚の儀式を行おうとした、それを目撃した田英は急ぎ止めに入ると自分が持っていた小刀を少女に渡しこう囁いた「自分の命は、自分で勝ち取るものだ」少女は涙を拭き田英から小刀を大切そうに受け取った。

盲目の少女の今後はどうなるのでしょうか…

田英はあくまで商隊と共に旅をしていたためこれ以上手荒な行動をとることは商隊に迷惑をかけることとなるためここは怒りを抑え村長に問いただすと、実はかつてこの村で呪いの病が流行り発症した者は次々と発狂し徐々に石となってしまたというそして当時鹿の仮面を被った女性が村にやってきてその看病のお陰で村から病が消えたが昨晩でまたその呪いが復活したのではないかと。そこで息子の結婚相手として買ったこの少女を生贄に冥婚を行うことで昨晩無くなった魂を弔い再び鹿仙人の出現を願ったのだと。
更に村長は田英の身のこなしを見込んで森で鹿仙人の行方を捜して欲しいと願い出る、田英は了承し代わりに例え見つけられなくとも少女を生贄にしないことを約束させ村人からの手がかりを辿り鹿仙人の探索に出た。
田英達は三日三晩森で鹿女仙を探したが結局彼女に出会うことはできなかった…村に戻ると今後旅先で呪い病の治療法の手がかりがあれば必ず知らせるのを村人達に約束し、呪いから救えなかったという無力さや無念を抱きながらも小鹿村と盲目の少女に別れを告げて再び北の地へ出発した。

この時鹿仙人(柳青衣)は既に他界していたため出会えるはずもないですね…任務蛍の淵より


-文津館-

商隊と北の地契丹へたどり着いた田英兄弟はある時文津館の秘伝書十相の書が契丹人の手に堕ちている事を耳にする。
(まだ実装されていませんが文津館はゲーム内の流派の一つで全国各地から才のある若者たちが集い、そこであらゆる武芸学術を学び、研究や鍛錬の場を提供し国の将来を補うような人材を育成するために設立された国営でも私営でもない塾のような組織かと思います)
そこで田英兄弟は書の隠し場所を突き止め潜入し見事書を取り返すその後文津館を訪ね書を返還した。
この事を知った館長馮道はこれほど勇気と才覚がある青年が居たのかと感服し田英兄弟を文津館への入門を誘い田英も更なる学びを得る事が出来ると思い入門を了承した。
(馮道という凄い歴史人物をここであっさり入れて来る所は流石風燕伝です。彼は生涯5つの王朝と11人の皇帝に奉仕ししかもほとんど宰相という高位に封じられ乱世の中でも民を慈しむ心と執政能力の高さは契丹皇帝の耶律徳光からも絶大な信頼を得ていた、と一方では世渡り上手で忠義にかけるなど批判的な評価もある)

ゲーム内の長楽老人が馮道です

さて文津館へ入門した田英ですが書庫に篭り書を漁る日々を繰り返していた、しかし彼はどの書も3ページめくっては投げ出しそれを見た他の門徒は彼を揶揄い 「田三頁」というあだ名を付けた、この名を耳にした馮道は田英を呼び出し訳を聞くと彼はかつて自分が見た救世の光にたどり着く道を書の中から探っていただけと答えた、してその道は見つかりましたかと更に問うと田英は只首を横に振るだけでした。
文津館に入門したものの田英は自分の進むべき道は書の中にあらずと悟り落胆していた、そんな彼の元に魏仁浦こと魏先生からの手紙が届く。

魏先生から田英への手紙


-陰陽の書-

魏先生からの手紙を読み、かつて春秋別館で見た侠客達を思い出し自分の進むべき道はこれだと直感した田英は快く承諾し文津館を去り、弟と再び清河へ帰ることにした。
清河へ帰るとまず兄弟は魏先生から陰陽の書を与えられ太平鐘楼が建つ隠月山の隠れ家で修業をすることになった、武芸の才覚に恵まれていた田英の成長は著しく書から太極拳、乾坤挪移などの奇術や奥義を次々と習得しさらにそれらを弟の田斉にも教えながら二人は修行に励んでいました。

隠れ家にある修行の場、使い捨てられった武器の数が修行の激しさをもの語っています

このひと時は弟の田斉とって幼いころ兄と過ごした自由気ままな放浪生活に戻ったかのように思えて心の中では大変嬉しく感じていました。
しかしある日兄が書いた日記を偶然目にするとそこには兄の救世への思いがせきららに書かれていました、田斉はこの時初めて自分は兄の傍に居ながら彼の思いや覚悟を今まで全く理解していなかったと悟り、このままではやがて彼の夢の足枷になるだろうと思い田英の元を静かに去ることを決意した。

田斉から田英への手紙

田斉が去った後も田英は日々鍛錬を重ねやがて陰陽の書を完全に極めると
陰陽術が気を通して心身のバランスを整え病や怪我をも癒すことができるのを発見しこれを過去に約束を交わした小鹿村の人々に伝えるべく隠月山を後にした。
小鹿村は以前よりも病が広がり村も荒れ果て村長はよそ者が巻き添えにならないよう名を荒魂村に変え人を寄せ付けないようにした、田英はさっそく村人に陰陽術を伝え根本的な完治とはならなかったが石化の苦しみをある程度緩和することができた。

荒魂村で観る事が出来る村人の手紙、治療法は未だに見つからず…

-懸剣-
小鹿村の人々との約束も果たし田英は春秋別館を再び訪ねいよいよ懸剣に合流することになった。
「懸剣」という組織は柴栄と魏仁浦が長年構想を立て、設立は952年に春秋別館を開いた時難民救済の裏で密かに進められていた。
当初柴栄は燕雲十六奪還には強大な重騎兵軍団を何十万も有する遼と正面で対決するのは余りにも無謀と理解していた、当時は鉄砲などの兵器がまだ発明されておらず戦場では騎馬兵力が勝敗を決する時代でしたので良質の馬を多く産出できる北方の遊牧民族は無類の強さを誇っていました。
そこで諜報員を使い予め燕雲や敵地契丹の奥深くに潜伏し諜報活動や暗殺などを密かに行う事で燕雲での契丹勢力を弱体させ奪還へ布石を打つのを目的とし、その人材発掘と指揮を魏仁浦に任せていた。
(日本語版だと「剣影」、ちょっと安っぽいので中国版で行きたいと思います…「懸」という字の意味は日本でも「先手を取って攻撃する」という意味がありおそらく脚本を書いた人はそれを意識しているのかと思うので本来の意味を尊重して)

ゲーム内だと春秋別館は既に荒れ果てていますが、それでも懸剣が居た痕跡が残されていました

この当時懸剣は燕北盟と協力し隠燕作戦を何年も実行していました、隠燕作戦とは燕北盟の義士達の顔を洛神(寒おばさん)の変容術で変え契丹の地で燕州奪還のために身分を偽り契丹の情報を懸剣に知らせる諜報員として潜伏するものだった。

変容の術はリスクもあり失敗した者は顔が崩壊し一生包帯で隠さなければいけなかった、また作戦が暴露するのを避けるため、いつ成就するか分からない燕州奪還が終わるまで失敗した者達は皆活人医館の井戸に隠された暗い地下施設で過ごさなければいけなかった…耐えきれずに我を失う者やそのまま2度と日の光を浴びる事なく去っていった者も沢山いたのでしょう…

田英もまた自分も顔を変えこの作戦に参加するのではないかと思っていたが、ある晩魏先生から呼び出され懸剣の一員としての初任務を聞かされることになる…

果たして彼に与えられた任務とはいったい何でしょうか次回からいよいよ歴史の裏で田英の暗躍が始まります。
ここまでで田英編の前編とさせてください、ではまたお会いしましょう。

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