『週刊 ゆきおとこ』 第9号
第 9 号 2025/3/3 刊 ▲ 雪男の記事一覧
― セガレン 『良き旅人よ』 より
街道果てる街
あれや これや
選ぶなかれ
また 交互にやってくる
■ 連続小説 ― アメリゴ・ハウンドドッグ
~ プレリュード 青い星
その物語は
何もない ただ黒いだけの宇宙空間からはじまった
真っ白な宇宙船がゆく
船の両舷中央には
大きな水車の形をした推進装置がついている
ときおり まだ名前が無い彗星が我々の横を飛び越えていく
― まるで アホウドリのカールのように
宇宙船の中央船室には
古い柱時計のような形をした原子時計がおかれていた
そいつは 毎日0時を1秒超えると
西暦による日付と
地球までの距離
帰還までの日数を機械ぽい女性の音声でアナウンスする
何もない宇宙空間では何もすることがなかった だから 我々はほとんどの時間を眠っていた
母胎に浮いているような
極低温の仮死状態では夢を見ない
しかし 不思議なことに
毎0時のその女性の声だけは 欠かさず聞こえてきた
いや 聞こえているものと
脳が騙していたのかもしれないが
乗員がみな 完全冷凍されて宇宙船が "無人" になったころ
壊れた Profet-5 のような音で
「ロッキン・イン・リズム」 が船内に鳴り響く
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