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性加害者の社会復帰に賛成する私が、どうしても譲れないと思ったこと

はじめに

漫画家による性加害事件と、その後の出版社の対応をめぐり、いま多くの議論が巻き起こっています。
被害者の方々の回復を心より願うばかりです。
被害を訴え裁判してくれた勇気に感謝です。安心できる場所や人がありますように。

私はスクールカウンセラーとして、そして一人の母として、「誰もが被害に遭わず、安心して生活できるために何ができるのか」を日々考えています。この問題には多様な見方がありますが、特に「前科のある漫画家が名義を変えて活動を続けること」について、なぜそれが社会復帰として危ういのか、私の視点で整理してみたいと思います。


Part1:なぜ私は「社会復帰に賛成」なのか

まず大前提として、私は加害者の社会復帰そのものには賛成です。

排除では再発防止にならない

完全に社会から排除し、居場所を奪うだけでは解決になりません。加害者もこの社会の中で生きていくしかありませんし、自立して更生していくプロセスを歩む権利はあります。支援職としても、「人は更生できる」という信念は持っていたいと思っています。

職業選択の自由と現実

憲法では職業選択の自由が担保されています。実際に、刑務所での経験をレポ漫画(『刑務所わず。』など)として出版し、表舞台で活動されている方もいますよね。それを禁止する法律もありません。

ですが、「法律で規定がない=何をやっても許される」ということではない。そこには大きな落とし穴があると感じています。


Part2:私が「漫画家としての復帰」に反対する理由

私は、性犯罪者が(特に不特定多数に向けた)漫画家として活動することには明確に反対します。その理由はシンプルです。「被害者に直接的な害があるから」です。

今回の事件では、被害者の方がPTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しんでいると報道されました。PTSDには大きく4つの症状があります。

今回の事件では、被害者の方がPTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しんでいると報道されました。PTSDには大きく4つの症状があります。

・侵入症状(その出来事が頭の中に入り込んでくるように繰り返しよみがえり、制御することができない)
・その出来事を思い出させるあらゆる物事の回避
・思考や気分に対する悪影響
・覚醒レベルと反応の変化

MSDマニュアル

いわゆるフラッシュバックというその時のことを再体験することがあり、それに苦しむことがあり、それの引き金は様々です。
引き金はとなる出来事は加害者の関連していたり、犯行現場と関連していたり、自分の状態であったり多岐にわたります。

それを避けようとして、家に出られないという状態になる方もいます。
そこまでではなくても、加害者と関連していないことを確かめないと安心できない状況になります。

PTSDの原因となる可能性の高い出来事は、恐怖、無力感、戦慄の感情を引き起こす出来事です。戦闘、性的暴行、自然災害や人災がPTSDの原因としてよくみられます。

MSDマニュアルPTSD

戦争と並ぶPTSD率を見て頂ければ性加害がいかに被害者への影響が大きいかも想像つくのではないでしょうか。

PTSDについて正確に理解したい方は、詳細はこちらをご覧ください。

PTSDは安心が損なわれている状態なので、個人の安全がとでも大事なです。性的暴行という、恐怖と無力感に叩き落とされる経験をした方にとって、「安心感」は何よりも優先される回復の絶対条件です。
治療や回復の必須の条件と言っても良いでしょう。


Part3:見えない「引き金(トリガー)」の恐怖

PTSDを抱える方は、フラッシュバックを防ぐために、加害者に関連するあらゆるものを避けようとします。家から出られなくなる方もいれば、「加害者と関連していないか」を必死に確かめないと安心できない状態になる方もいます。

回避コストを誰が負うのか

現状、電車で被害に遭えば電車に乗れなくなるなど、被害者が一方的に「回避するためのコスト」を負わされている構造があります。これは極めて非対称的で不条理なことです。

名義変更という「罠」

今回の名義を変えた活動は、この「回避する権利」を奪う、最も良くない形でした。 「知らずに加害者の作品を楽しんでしまった」という事実は、被害者の安全を根底から損なう再体験になります。エンタメを愛する子が、一生漫画に触れられなくなるような恐怖を植え付ける。それは配慮ではなく、害にしかならない行動です。
治療や回復に明確に害があります。


Part4:法と倫理、そして職業の責任

「法的に問題ないならいいじゃないか」という意見もありますが、法律はあくまで社会の「最低限のルール」に過ぎません。それ以上の倫理をどう築くかは、私たち市民社会が担うものです。

自由は「公共の福祉」によって制限されるものです。 特にメディアや教育など、影響力の大きい領域において、どのような立場の人が表現を行うかは極めて重い意味を持ちます。

実際前科があるとつけない職業もありますね。
漫画家には、その規定はおそらくないと思います。実際に刑務所のレポ漫画などありますよね。

前科がありながらも表に出る活動をしている方もたくさんいます。
が、加害者と被害者がいる事件、とりわえ性加害者は表に出ることの悪影響が強いので、表に出ないほうがいいと思っています。

被害者の人生が元に戻らないのであれば、加害者の人生だって元通りにはならない。
それを踏まえた上で、被害者の害にならない職業を選ぶことは、加害者の最低限の責任ではないでしょうか。


Part5:望ましい社会復帰のあり方とは

私が考える社会復帰は、決して「排除」ではありません。

  • 接触リスクの低い職種(完全に裏方に徹するなど)

  • 表に出るなら情報の透明性を保つ(受け手が選択できるようにする)

  • 専門家(心理士や精神科医)との緻密な連携

特に未成年への性加害は再犯リスクが高いと言われています。加害者の判断や周囲の組織の判断ではなく、第三者の専門家とともに「本当に被害者に害がない形なのか」を検討し続ける努力が必要です。
今回の一連の対応から、それが全く感じられませんでした。


おわりに

学校現場でも、被害者と加害者が同時に存在する場面に直面することがあります。そこにあるのは正解のない問いですが、ただ一つ、「被害者の安全を軸に考える」ことだけは、関わる全ての人が持っていなければならない視点です。

「社会復帰」という言葉が、被害者の安全を切り捨てる免罪符になってはいけないと思います。
加害者を排除するのではなく、被害者の安全を中心において、誰がその安心感を守っていけるのか。支援職として、そして母として、これからもこの社会の中で考え続けていきたいです。

こちらの派生で親として考えたことも書いています〜


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