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細田守監督「果てしなきスカーレット」感想B面 「ストーリーの中の違和感」を追うと、見え方がすべてひっくり返る。

※ネタバレ注意

 前回は「この話はストーリーを追うことには意味がないのでは」という感想を書いたが、「ストーリーを追う見方」もしてみた。

 前回指摘した、「クローディアスとガートルードの人物像が余りに雑。ただの置物と化している(特にガードルード)」という問題を中心に深堀りしたものである。

 映画を見ている途中、矛盾とまでは言わないが妙に引っかかる箇所がいくつかあった。

①なぜ、ガートルードはスカーレットの目の前でスカーレットが描いた夫の絵をビリビリに破り捨てたのか。
②「夫は娘を愛しすぎている」とガートルードが言ったのは何故か。
③クローディアスは、なぜスカーレットの顔に唾を吐きかけたのか。
④唾をはきかけられたスカーレットは、なぜあれほど取り乱したのか。
⑤聖はなぜ、(煉獄にいる他の人間も悲惨な境遇にあるのに)スカーレットにだけ「君は傷ついている」と言ったのか。
⑥スカーレットは、なぜ母親のガードルードには何も言及せず、対峙もしないのか。
⑦なぜアムレットはスカーレットに、「許せ」と言ったのか。
⑧アムレットの「許せ」という言葉が、物語の「真」であった「王女である前に一人の娘として自分が生きることを許せ」という意味なら、なぜスカーレットはその言葉に反してラストで王になったのか。
⑨アムレットはなぜ、クローディアスやガートルードが自分に向ける感情に気付かなかったのか。もしくは気付いていたのに放置していたのか。

 そして最大の疑問は、
⑩なぜ映画のキャッチフレーズが「愛を知りたい」なのか。
 スカーレットは父親に溺愛されていたのだから、愛は知っているはずだ。キャッチフレーズは「愛を知りたい」ではなく「愛を思い出したい」であるはずだ。

 ①~⑩に深く考えずに答えるなら、
①ガートルードを「悪役」として手っ取り早くキャラ立てするため(メタ視点)
②スカーレットに対する嫉妬から出た言葉でそれ以上の意味はない。
③クローディアスは信じられないほど下劣な悪人だから。
④スカーレットには、クローディアスのような下劣な悪人が存在すること自体が信じられないから。
⑤二人の間に恋愛感情が生まれる可能性があることを匂わせている。
⑥そこまで話を広げるとストーリーがややこしくなるから(メタ視点)
⑦物語で語られたことがそのまま「真」
⑧「一人の女性として愛を知った、その自分が王になること」が「自分らしさ」だから。
⑨アムレットは余りに善人すぎて、クローディアスやガートルードのような考えが存在するなど思いつかないから
⑩「愛を思い出したい」よりも「知りたい」のほうが語呂がいいから(メタ視点)
となる。

 メタの都合が三つも入っているなら、ストーリーを追う意味がない。
……と思ったが、この①~⑩の疑問について「この要素が加われればすべて筋が通る」と思った前提がある。

 その見方だと「果てしなきスカーレット」は自分が普通に見た話とはまったく違う話になる。
「隠蔽するための物語」に近い。

 ただ、「本当にそうではないか」と確信が持てるほどの根拠はない。
「この要素とこの要素はこうつなげられるけれど、こうつなげて良いというサインが物語内に存在しない」
 なのでほぼ完全に推測だが、「こうではないか」と思う「果てしなきスカーレット」の「真の物語」(?)を語りたい。

※以下はセンシティブな内容を含みます(R18)

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