見出し画像

私の教師人生を繋いでくれた


ふと、新卒で教師を始めたころのことを思い出した。


そのときは、大学院に通いながら私立学校で勤務をしていた。

学び足りていなかったから大学院に進学したけど、早く現場も経験したかったため、進学と仕事をどちらもとるという欲張りセットだった。


教育実習はうまくいった。

荒れていた母校の中学校に行き、暴れている生徒と戦った。

当時のようにバイクで廊下を駆け抜けている生徒はいなかったけど、喫煙や非行などはまだあった。

最初は指導をしても聞く耳をもたれなかった。
それでも粘り強く話し続けたら、最終的にはわかり合うことができた。「もうこんなことはやめるよ」と言ってくれた生徒もいた。

授業は、優しさ全開で生徒の心をつかむことができた。

教育実習を通して教師になる前の心構えが身についたし、生徒指導の自信にも繋がった。



自分ならできる。

そう信じて疑わずに、私立学校で初めて “教師” として教壇に立った。



……だめだった。

新任ということで、生徒もどこまで悪さできるかの境界線を見極めながらだったけど、その境界線を見事に越えられた。

教育実習ではうまくいったが、それは実習生ということで多めに見てもらえていただけだったのかもしれない。

私立学校では、優しくするとどんどん境界線を越えてきて、途中から厳しくしようとしてももう指導は入らなかった。

おかげで、授業中の私語は当たり前。遅くまで起きてつくった授業は意味をなさず、私語を注意しても反抗されるだけだった。

どれだけ授業のやり方を変えても、面白そうな豆知識を入れても、状況は変わらなかった。



つらい。

涙が出た。

もう学校に行きたくないとまで思った。


中学生のころからなりたいと思っていた教師。
自分なりの憧れがあったし、たくさんの素敵な先生方を見てきて「自分もあの先生のようになりたい」と願い、努力はしたつもりだった。

大学院でも「こうしたら生徒指導はうまくいく」みたいな手法は山ほど学んだ。


でも、現実は甘くなかった。

理想と現実のギャップを感じて悲しかったし、何より授業もまともにできない自分が情けなくなった。




そんなときに助けてくれたのが、1人の生徒だった。
騒がしい教室の中で、いつもおとなしくしてくれていた子だ。

ある日、その生徒が授業終わりの休み時間に職員室まで来てくれて、こう言った。


「先生の授業、わかりやすいし面白いです!」


びっくりした。

短いけれど心がこもった言葉。

まさかこんなことを言ってくれると思わなくて、また涙が出そうになった。

もしかして、負けそうになっている自分に気づいて声をかけに来てくれたのだろうか。

その生徒の一言を受け取るとき、確かな重みを感じたことを覚えている。


嫌なことがあったときは、それが全体にまで波及していると考えがちになる。

正直、全員に嫌われていると思っていた。
全員にナメられていると感じていた。


でも、違った。
大勢いるクラスの中で、自分の授業を聞いてくれている生徒は確かにいた。

その事実だけで、自分の中のやる気がみなぎってきた。


「聞いてくれている子のためにもがんばろう」

それからは、100人中99人に嫌われていたとしても、たった1人でも信じてくれている人がいるのなら続けようと思うようになった。


すぐにうまくいくようになったわけではない。
それでも、自分の中で何かが吹っ切れたように対応できるようになれた。




1年の終わりが近づくころになると、騒いでいた生徒たちとも少しずつ仲良くなることができた。


次の年、その学年からは外れることになった。


あれだけ嫌われていると思っていた生徒たちも、悲しんでくれた。

一時期はつらかったし、憧れていた教師という仕事を嫌いになりかけたけど、この子たちのおかげで強くなれたのは事実。

この1年目の経験は、自分の中でとても大切なものになった。



たった1人の生徒が、私の教師人生を繋いでくれた。


暗闇の中をさまよっているようでも、一筋の光はあるのだと実感できた出来事だった。




🌟この記事は、以下の企画にも参加しています!

#クラスメイトとのnote交換日記


🌟極夜さんから日記がまわってきました〜!

1ばんめのRueさんの様子を連想させてくださるような、素敵な掌編小説でした。

しっかり受け取りました!笑
キーワードとしては、「働くということ」「痛み」「涙」「人のあたたかさ」あたりで構成してみました。


🌟次は、まささんです!

まささんは、飲食歴もマーケティング歴も豊富な方で、メンバーシップでは日々学びがある記事を発信されています!

投げるカタチになりますが、あとはお任せしました…!




そういえば、気づけば25日でnoteで活動を始めて2年が経ちます…!

こうして楽しく活動ができているのも、いつも記事を読んでくださる皆さまのおかげです! 本当にありがとうございます🌟

3年生になるSaka.も、よろしくお願いいたします〜!


いいなと思ったら応援しよう!

Saka.先生 もし、私を応援してくださる方がおられましたら、チップをいただけると励みになります…🌟 いただいたものは、クリエイター活動で使わせていただきます!